驚きの5000倍の情報量

動画広告はテレビ番組や映画のような映像によるコンテンツの前後や途中で、動画によるメッセージを差しはさむ広告のことだ。動画には文字や音、映像に訴える情報がすべて入っており、実際、文字や写真だけの場合と比べて、一般的には5000倍もの情報量を持つとされている。このため短時間で多くの情報を伝えることができ、広告に動画を取り入れることで受け手の印象を大きく変えることもできる。例えば、文字で「あつあつのご飯」と書くより、湯気の上がる炊き立てのご飯を見せた方が、「おいしそう」「食べたい」と思ってもらえることは容易に想像がつく。

動画は広告のみならず、企業のWebサイトでも、例えば社長メッセージや採用情報としての先輩の声、店舗の紹介の中では店内の様子に加え、店長の挨拶など、今では多方面で利用されている。最近こうした動画が増えてきた背景には、モバイル端末のユーザーが増えたことがある。誰もがスマホで動画を楽しむ時代だということだ。それに加えて、インターネット回線の高速化、大容量化が進み、これまでデータが重すぎてロードに時間を要した動画も、今ではストレスなく再生することができる。そして、それに伴って動画サービスの充実や動画コンテンツ市場の成熟が挙げられよう。動画サービスと聞いて恐らく真っ先に頭に浮かぶYouTubeだけでなく、FacebookやTwitter、InstagramなどのSNS、それにニュースアプリのキュレーションサイトなどでも動画コンテンツに対応できるようになっている。

長けりゃ良いってもんじゃない

人々の動画との接触時間が増えている。面白い動画はどんどんシェアしていくというのが近年の「文化」にもなっている。広告もこの流れを受けて、動画にシフトしてきているようだ。例えばゲームやアニメなど、動画をよく見る若者世代をターゲットにした商品やサービスと動画広告とは特に相性が良いとされる。

動画に関しては2つの流れがあると言われる。一つはライブ動画の普及、もう一つは短時間動画の流行だ。ライブ動画というのはもともと一部のプラットフォームが扱っているだけだったのが、You Tube、Facebook、TwitterなどSNS上でも直接配信することができるようになり、実際スマホで誰もが簡単にライブ配信を行えるようになっている。短時間動画でも同じくSNSで30秒程度の動画が爆発的に増加している。

現在ではあまりに動画が氾濫しすぎて、なかなか長い動画だと最後まで見てもらうことが難しくなっているとも言われる。実際Googleが行った調査では、15秒、30秒、60秒の動画を用意したところ、15秒の動画は早い段階でブランド名などを出すため顧客に浸透し易かったが、一方で長い動画はブラントの好感度を上げることには成功したが、スキップされることも多く、ブランド想起率では劣るとの結果が出ている。

人や商品の紹介に最適

広告として見た時、動画の威力が一番発揮されるのはどんな時だろう。

例えば、私がネットで子どもの学習塾を探しているとする。最近では塾は大手と言われるところから、地元密着型のようなところもあり、その教え方も個別に対応するのが主流になっているようだ。それらを選ぶ基準は人それぞれにあるだろうが、恐らくほとんどの人は、「先生はどんな人かな?」「優しい人かな?」「ちゃんとこちらの話も聞いてくれるかな?」などといった不安を少なからず持っているのではないか。それは学習塾だけではない。サービス業と呼ばれるところは、学習塾の顧客とほとんど同じような不安を抱えているものだ。

その不安を取り除くのは、文字より写真より動画が最適だ。それはその人の話す内容だけでなく、表情や仕草、話し方、声の調子から様々なメッセージを受け取ることができるからだ。サービス業だけでなく、先にも述べたように、様々な企業が社長などからのメッセージとして動画を取り入れているのは、このように人にまつわる不安な要素をまとめて解決してくれる力があることによる。

好きに見れる

また、ネットで買い物をする人が増えているが、ネットでの買い物で最大のデメリットとして挙げられるのが、実際にそのモノを手にとって見ることができないという点にある。商品をより詳しく伝えるため、文字でしっかり良さを伝える、写真をたくさん載せる、顧客の声を載せるなどの手段があるが、それでも伝えきれない、伝えにくい情報がある。そんな時にも動画は有効だ。

ちなみに私が最近買ったリュックサックのことをお話しすると、私は近くのスポーツクラブに通う時に使うものを探していた。ネット上では従来から写真と「お客様の声」があったが、写真では使い勝手が分かりづらかったし、「お客様の声」にしても私の知りたいことがコメントされていなかった。私は実際に人の背中に引っ掛けた時の感じや、リュックサックの中に着替えなどを入れた時の様子が知りたかったのが、同じく添付されていた動画を見て納得することができた。ひょっとしたら、私の見るポイントは作り手の意識したところではなかったのかもしれないが、動画の情報量の多さが見る人を「好きに」見させてくれるのである。