勘が鋭いのは恐ろしいこと?

新入社員らしき姿を街中で見かける季節。私にとってはもう40年近く前の話になるが、今でも彼らを見る度に思い出すことがある。それは私の教育係をしていた10年ほど上だった先輩が放った、「やっぱり勘の鈍い奴はだめだなあ」と言った強烈な言葉だ。自己弁護のために言っておくと、それは私に言った言葉ではなく、当時一緒に仕事をしていた先輩の同僚に向けたものだった。まだ初々しかった(?)私は否定も肯定もできずに、「そんなものかな」ぐらいにしか思っていなかったが、私も今、それを痛切に感じることが多くある。

その教育係をしていた先輩はとても仕事のできる人で、私にとってははるか遠くにいて、とにかくおっかない人だった。仕事ができる人というのは自分に対しても厳しいのだが、その先輩は周囲に対しても自分と同じレベルで仕事をすることを要求した。常に神経を張り巡らせピリピリした感じを醸し出していたが、誰もその先輩が出す成果に対しては文句のつけようがなかった。だから勘が鋭いことは、私の中では仕事ができるということと同義で、特に勘が鋭いとは言えない自分にとって、とても恐ろしいものと同じような意味を持つ。

勘が鈍いと損をする

実際に私の先輩だけでなく、一緒に仕事をしている相手に対して勘が鈍いと感じるとイライラさせられるのは事実だ。「どうしてそこまで言わないと理解できないのか」、「どうしてこんなことぐらいできないのか」と思うと、自分の仕事の出し方、指示の仕方の良し悪しを棚に上げて、それだけでもう相手のことを「仕事のできない奴」との烙印を押してしまう。

特に上に立つものの勘が鈍いと、部下は大変苦労することになる。私の新入社員時代の職場の例で言えば、上司がデータの収集や分析の指示を出すのだが、この指示が勘が悪くて見当はずれだと作業が一からやり直しになってしまう。これは下にいるものとしてはとても徒労感が大きいものだ。先の私の先輩が思わず口にした言葉もこうした状況の中で発したものだった。逆に、一緒に仕事をしていて本当にやりやすい、仕事がはかどる人もいる。その上司はほぼ間違いなく、勘の鋭い、相当な技量の持ち主といえる。

それは仕事だけではない。もし生活のあらゆる場面で勘が鈍いと、それだけでその人はとんでもない損をしていることになる。

勘は修練の中で養われる

では勘とは何かというと、「物事の良し悪しを直感的に感じ取り、判断する能力。第六感、インスピレーションとも言う」と辞書にある。あの松下幸之助氏も「勘」について言っている。「勘というと、一見非科学的なもののように思われる。しかし勘が働くということは極めて大事だと思う。指導者は直感的に価値判断のできる勘を養わなくてはいけない」と。では、そうした勘はどうしたら持つことができるのだろうか。頭が良くなくても勘を養うことはできるのだろうか。

再び松下幸之助氏の言葉より。「勘が働くか働かないかは大きな問題です。長年経営の仕事をしていると勘が働くんですね。優れた勘は経験を重ね、修練を積む過程で養われていくものだと思う。昔の剣術の名人は相手の動きを勘で察知し、切っ先三寸で身をかわしたというが、それはそれこそ血のにじむような修行を続けた結果であろう」。「指導者としても、経験を積む中で厳しい自己鍛錬によって、真実を直感的に見抜く正しい勘というものを養っていかなくてはならない」としている。

自分の速度で知識や経験を積み重ねる

「経験」、「自己鍛錬」とか言われると何だか難しいことのようにも思うが、「いたずらにハウツーを追い求めるのでなく、たとえ人より遅くても、とにかく自分の速度でいいから、知識や経験を積み重ねることをしなければろくなものにはなりません」とモノの本に書いてある。「これを苦痛と思うようではいけない」とも。ただ、苦痛と思うのはテーマの選び方ややり方が間違っていることもありそうだ。なぜなら苦痛を我慢しなければならないような方法では、決して長続きはしないから。楽しくて遊んでいるような気分のテーマややり方を選んだ方が良さそうだ。

そういえば、今年の平昌オリンピックでも、メダリストの中ではただひたすらにしんどい練習に耐えてきたというコメントより、競技そのものを楽しんだというコメントが多かったように感じた。それが勘を養い、成果をもたらすことにつながったのではないだろうか。一つひとつの練習が論理的必然性を伴うため、本番でのいろいろな場面で的確な行動がとれるようになる。これが「鋭い勘を持つ」ということなのだと思う。勘は単なる思い付きとは異なるということだ。

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