正しいクッション言葉

「恐れ入ります」「誠に勝手ながら」のような言葉の前につける言葉を「クッション言葉」と呼びます。
ストレートに伝えると角が立つような内容を柔らかい印象にしたり、感謝や謝罪の気持ちを強調したりといった役割をします。

代表的なクッション言葉の正しい使い方をまとめましたので、普段何気なく使っているクッション言葉が正しいかどうかを確認してみてください。

申し訳ございませんが

「申し訳ございませんが」は謝罪の意を伝えるクッション言葉です。
相手を待たせるとき、商品在庫がないときなど、さまざまなシーンで使われます。

例文:申し訳ございませんが、もう少々お待ちいただけますでしょうか。

恐れ入ります

「恐れ入ります」は感謝と謝罪の2つの意味があります。
「申し訳ございません」は謝罪の気持ちを表すために使いますが、「恐れ入ります」は「お手数ですが」という意味も含まれているため、多少謝罪のニュアンスが柔らかいです。

(1)感謝:自分より目上の人の行為に対する感謝を表す
(2)謝罪:相手の手をわずらわせてしまったときの謝罪を表す

例文:恐れ入りますが、少々お待ちいただけますでしょうか。

恐縮ですが

「恐縮」は「恐れ入る」という意味なので、「恐れ入りますが」と似たようなニュアンスのクッション言葉です。
こちらの都合で相手に何かを依頼するときなどに使います。

メールでよく使うクッション言葉で、ビジネス文書では文末に「ご多用のところ恐縮ですが」という一文を添えることが多いです。
再送を依頼するときなどは、「重ね重ね恐縮ですが」というように謝罪の意を強調します。

例文:
・大変恐縮ですが、本日中にご確認いただけますでしょうか。
・私事で恐縮ですが、来週はお休みをいただいております。
・ご多用のところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

お手数をおかけしますが

「お手数をおかけしますが」は、「手間を取らせて恐縮ですが」という意味で使います。
接客業でお客さんに対して使うことが多い言葉です。
「お手数ですが」という言い方もします。

例文:お手数をおかけしますが、アンケートにご協力をお願いできますでしょうか。

失礼ですが

「失礼ですが」は主に電話で使うクッション言葉で、相手の名前を尋ねるときなどに使います。
電話で相手が名乗らなかった場合、「失礼ですが」を添えて名前を尋ねます。

例文:失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか。

差し支えなければ

「差し支えなければ」は相手に何かを依頼するとき、「都合が悪くなければ」というニュアンスを込めて使うクッション言葉です。

例文:差し支えなければ、ご解約の理由をお伺いできますでしょうか。

あいにくですが

「生憎(あいにく)」は、「都合の悪い」という意味です。
「あいにくですが」は、相手に何かを誘われたとき、スケジュールを尋ねられたとき、都合が合わないことを柔らかく伝えるための言葉として使います。

例文:お誘いいただき、ありがとうございます。ただ、あいにくですが、その日は予定がございまして…。

誠に勝手ながら

「誠に勝手ながら」は自分の都合で相手に何かを頼むときに使うクッション言葉です。
会社を休むことを取引先に伝えるとき、定休日以外でお店を休むときなど、主に自分の都合で休みをとることを伝えるときに使います。

例文:誠に勝手ながら、◯日までお休みさせていただきます。

申し上げにくいのですが

「申し上げにくいのですが」は何かを断るときなど、言いづらいことを切り出すときに使うクッション言葉です。
「誠に申し上げにくいのですが」「大変申し上げにくいのですが」など、謝罪の意を強調する言葉を使う場合もあります。

例文:申し上げにくいのですが、お断りさせて頂きます。

おわりに

クッション言葉を正しく使いこなすと、会話や文章の印象がぐっとよくなります。
スムーズに話せるようになるためには慣れが必要ですので、普段から積極的に使っていきましょう。

そして、そのクッション言葉の意味に沿った気持ちで話すと、なお相手に柔らかい印象を与えます。