【学生の視点でイノベーション】

尼崎市で金融機関と病院関係に絞って清掃サービスを手掛ける株式会社栄水化学は、「長期実践型インターンシップ」を導入して、学生とともに新規プロジェクトに取り組み、成果を上げている。

2年前に和歌山大学の3年生をインターンシップとして4か月間受け入れ、小学生を対象にした「エコピカはかせのおそうじ塾」のカリキュラムを作成し、イベントを行っているのだ。


「掃除は子供の躾、習慣教育に貢献できる」との松本久晃社長の考えでスタートしたプロジェクトだが、「学生に入ってもらって新しい視点、アイデアが生まれカリキュラムも充実した」とその効果を話す。


【それぞれが真剣勝負の場】

尼崎市が強く推進するこの「長期実践型インターンシップ」は、一般にイメージする「採用直結型」のインターンシップとは異なり、「事業参画型」に分類される。経営者が本当はやってみたい、試してみたいけれどまだ手をつけられていない、会社の新たな方向性や展開づくりにつながるプロジェクトを、学生とともに一定期間試してみるものだ。

3か月以上のプロジェクトとして実施し、中小企業にとっては事業の成長のエンジンとして、学生にとっては経営者や事業担当者との真剣勝負の場として、それぞれ取り組まれる。

決して「インターン=採用」につながるわけではないが、中小企業にとっては、学生を受け入れることで人を育てる力を磨かれ、その結果、学生にとって魅力的で人が育つ企業になることも期待するところだ。


【企業は受け入れ準備を】

参加する学生は、「成長意欲が高いタイプ」が3~4割、「自分を変える機会を求めているタイプ」が6~7割という。
実際、参加した一人の立命館大学3年生も、「学生団体の中心メンバーを担ってきた。

イベントの主催経験などもあるが、自分のやっている企画が本当に社会の中で通用するか試してみたい」と意欲的だ。


もちろん、こうした学生を受け入れるため、企業側にも準備が必要だ。
まず事前準備として、プロジェクトの設計から始まり、インターンシップ実施に際して受け入れ準備や学生のサポート体制の整備、面談などの実施、そして、実施後にもインターンの成果などの振り返りは欠かせない。


【新卒採用にも影響】

特に中小企業にとっては新卒の採用環境は悪化傾向が続くと考えられている。それを補うように、中途採用の採用、高齢者、女性の活用と様々な手を打っているのが現状だが、まだまだ新卒採用でも、インターンシップの取り組みなどできることがあることをこうした例が示している。

「1日のインターンシップでも精一杯なのに、長期のインターンシップの受け入れなんて、今の業務量を考えると無理」といった声も聞こえそうだが、そんな企業にこそ、こうした「長期実践型」の導入例を参考にして欲しい。

冒頭の栄水化学でインターンシップとして受け入れた和歌山大学の学生は今年の4月に入社が予定されているそうだ。