採用面接では、業務に関係しないことを質問してはいけません。
例えば、面接で愛読書を尋ねてはいけません。軽い気持ちで聞いてしまいがちですが、愛読書は個人の思想に関する事項なので面接で質問してはいけないのです。
今回は、そういった採用担当者なら必ず知っておくべき、採用面接でのNGな質問の例をまとめましたので、採用面接に臨む前にぜひ一読ください。

採用面接の質問の範囲に関する法律

職業安定法には、求職者等の個人情報の取扱いを定めた法律があります。
面接での質問に該当するのは職業安定法の第五条の四です。
第五条の四では、以下のように定められています。

第五条の四 :
公共職業安定所等は、それぞれ、その業務に関し、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。
引用元:職業安定法 | 電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

公共職業安定所等というのは、ハローワークだけでなく、採用企業も含まれます。
少々わかりにくい書き方がされていますが、業務に無関係な個人情報を収集してはならない、つまりは業務に関係ないことを求職者に質問してはならないということです。

採用面接での質問に関する法律があることをご存じない方も多いと思いますが、このようにしっかり定められています。
最後に書かれているように、「本人の同意がある場合、その他正当な事由がある場合」はこの限りではないですが、基本的に採用面接では業務に無関係な質問はしてはいけないことになっています。

採用面接でのNG質問例

では、具体的にどんな質問がNGとされるのでしょうか?
採用選考の基本的な考えとしては、求職者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないことなので、適正・能力以外の事項の質問はNGです。
以下の質問は、採用面接ではしてはいけないことになっています。

・家族状況、家族のこと(職業、家柄など)
・生活環境
・本籍、出生地
・宗教
・支持政党
・思想
・愛読書
・労働組合や学生運動への参加経験
・結婚、出産予定
・交際相手の有無
・体重や身長、スリーサイズなど体型に関する質問

本籍、出生地、家族のことなど、本人にはどうすることもできない事項に関する質問はNGです。
家族の仕事や勤務先、学歴などは本人の能力や適正とは無関係ですので、これらの事項で採否が左右されることがあってはいけません。

愛読書に関する質問をする面接官は多いと思いますが、実は愛読書を聞くことは個人の思想を問うことにつながるので、面接では聞いてはいけません。
面接官としては話を広げるために軽い気持ちで聞くかと思いますが、愛読書については面接では聞かないようにしましょう。
愛読書について質問するのがNGであるため、「最近読んだ本はなんですか?」と、愛読書とは別の角度で質問する面接官も多いです。

結婚や出産の予定を聞くのはセクハラにあたるので、質問NGです。
会社としては採用後にすぐ寿退社したり産休や育児休暇をとられるのは困るな…という気持ちがあると思いますが、結婚や出産予定を採否の判断に含めるのはルール違反となります。

恋人の有無を尋ねるのは、結婚・出産に関する質問と同様セクハラに当たります。
「優れた営業マンは異性にモテる」という俗説がありますが、それによってこの質問の妥当性が認められるケースはないでしょう。

体重や身長など、体型についての質問も同様です。身長や体重について制限のある業務でない限り、これらもやはりセクハラと捉えられかねません。スリーサイズを聞くのはモデルや芸能事務所以外では必然性を認められないでしょう。

応募者に悪印象を与えてしまう質問

法律に違反しなくとも、応募者に「この質問には意味があるのか?」と思われるような質問をするのは避けたほうがよいでしょう。そのように感じさせてしまうと、採用辞退を増やしてしまいます。

2012年のマイナビの調査によると、下記のような質問に対して応募者が不信感、不快感を抱きやすいようです。

(男性の場合)
Q.面接で「この質問、必要なのか?」とうたがってしまうものを教えてください(複数回答)
1位 彼氏(彼女)はいますか? 23.3%
2位 親の職業は? 22.1%
3位 あだ名は? 17.3%
4位 休日は何をして過ごすの? 16.6%
5位 血液型は? 16.1%
引用元:【男性編】面接で「この質問、必要なのか?」とうたがってしまうものランキング | マイナビニュース

(女性の場合)
Q.面接で「この質問、必要なのか?」とうたがってしまうものを教えてください(複数回答)
1位 彼氏(彼女)はいますか? 25.2%
2位 親の職業は? 23.3%
3位 両親は何歳ですか? 17.1%
4位 血液型は? 16.8%
5位 いくつで結婚したいですか? 13.4%
引用元:【女性編】面接で「この質問、必要なのか?」とうたがってしまうものランキング | マイナビニュース

交際相手の有無や両親の職業など、NG質問で挙げられている質問が上位ですね。違法な上に、応募者にも不快感を与えてしまう「最悪の質問」と言えるかもしれません。

血液型も質問の意図がわかりませんし、本人の意思でどうにかなるものではありません。軽い雑談のつもりで聞いていると思われますが、相手によっては「血液型性格診断なんて非科学的なものを信じる面接官がいる会社なのか」と疑われかねないでしょう。

まとめ

いかがでしたか? 悪意はなくともこれらのNG質問をしてしまった経験のある方は少なくないのではないでしょうか。

思わぬところで法律に違反してしまったり、応募者に悪印象を与えてしまったりしないよう、面接では合理性のある質問を行ってください。「なぜその質問によって業務適性が判断できると考えるのか」を説明できるようにしておけば、無意識にNG質問を行ってしまうことは避けられるはずです。