人材は企業を成長させる最も重要な要素です。
自社の風土にマッチして、やり甲斐を持って働いてくれる従業員が増えるほどにその企業は強くなります。
反対に、風土になじめず、仕事をやらされているという意識の従業員が増えれば業績も悪化するでしょう。

採用のミスマッチを減らし、自社にマッチする人材を採用していくことが採用担当者には求められます。
今回は、採用ミスマッチを減らすために注意すべき4つのポイントをご紹介します。

採用ミスマッチが引き起こすリスク

採用ミスマッチとは、採用した従業員と自社の風土や業務内容がマッチしない状態を指します。
「うちは誰が来ても気持ちよく働けるはずだ!」と思われる方もいるかもしれませんが、人にはそれぞれ向き不向きや好みがあるため、万人にマッチする職場は存在しないのです。

では、採用ミスマッチが起こるとどのような問題が起こるのでしょうか。
以下に挙げる、主に3つの問題が発生します。

■本人のモチベーション低下

人間関係になじめない、業務がうまくできない…といった悩みを抱えながら仕事をするため、本人のモチベーションが低下していきます。
モチベーションが下がると仕事の効率も下がるため、それがさらにモチベーションの低下を招くという負のスパイラルに陥ってしまいます。
同僚や上司のフォローによって改善することも不可能ではありませんが、そもそもミスマッチが生じていた場合、根本的な解決は困難です。

■チームの雰囲気の悪化、パフォーマンスの低下

本人のモチベーションが下がるだけであればまだ傷は浅いですが、悪い雰囲気は伝染します。
鬱々と悩みながら働いている同僚がいるのに、それをまったく気にせず自分の仕事に集中できる社員はまれでしょうし、コミュニケーションも滞りがちになります。
また、愚痴や不満を聞かされるうちに、それまで仕事に満足していた社員まで不満を抱いてしまうこともあるでしょう。
一人のモチベーション低下が原因で、チーム全体の生産性が悪化するのはそう珍しくありません。

■早期退職

やる気も出ない、業績も上がらないとなれば、じきに退職を考えるようになるのは当然の帰結です。
せっかく採用した従業員に退職をされてしまっては、採用や教育にかかったコストがまるまるロスになりますし、補充の人材確保のためにまたコストをかけなければなりません。
従業員の退職は、企業に非常に大きなマイナスをもたらします。

採用ミスマッチが起こる原因

このように、採用ミスマッチは企業にとっても、採用された人間にとっても不幸なことばかりです。
それでは、採用ミスマッチが起こる原因は何なのか。
簡単に原因を挙げてみましょう。

■会社側の説明不足

「業務内容が思っていたのと違っていた」「待遇や福利厚生が事前に説明されていたものと違う」といった不満をもたらすミスマッチです。

■本人の誇大申告

面接で自分をよく見せるために、できもしないことをできると言ってしまったり、過去の実績を誇張したりするのはしばしばあることです。
これを見抜けずに採用をしてしまうと、会社側は「期待していたほどの仕事ができない」とがっかりしますし、本人は「業務がこなせず仕事がつらい…」となってしまいます。

■企業風土とのミスマッチ

スキル自体はマッチしているのに、経営方針に共感できなかったり、職場の人間関係になじめなかったりすることが原因でモチベーションを落としてしまうケースがあります。
「仕事自体はできるから…」と放置をしていると、社内に派閥を作って分裂を招いたり、本人がやる気をなくして退職をしたりといった問題に発展しかねません。

採用ミスマッチの原因は?

採用ミスマッチを防ぐ方法

それでは採用ミスマッチを防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか?
比較的導入しやすい方法を4つ紹介しましょう。

■1.自社HPになるべく詳細で具体的な情報を掲載する

何を当たり前のことをと思われるかもしれませんが、これができていない企業は少なくありません。
求人広告の営業担当者に言われるままに入稿をして、それだけでおしまいになってはいないでしょうか?
求人広告に載せられるような内容は、最低限の情報でしかありません。

自社HPやブログなどを使って、より詳細で具体的な情報を掲載しましょう。
起業をする際の想いや、経営にあたって大切にしていること、一日の仕事の流れ、求める人物像等々、伝えるべきことは書ききれないほどにあるはずです。

志望度の高い人材は、求人広告を目にした後に会社HPもチェックします。
そこに詳しい情報を載せておけば、応募者自らマッチしそうか判断できるので、ミスマッチな人材からの応募が減り、マッチする人材からの応募が増えて採用効率も向上します。

■2.面接時に求人広告や自社HPで伝えきれないことを補足する

いくら求人広告の原稿や自社HPに詳細な内容を伝えても、それで会社のすべてを伝えるのは不可能でしょう。それを補うのが面接時の説明です。
対面でのやり取りで、不足している情報や、応募者の疑問に答えて、お互いの情報ギャップを減らしましょう。
痛いところを質問されても、変にごまかさずに正直に答えてください。
いくら面接の場で取り繕っても、入社すればわかってしまうことです。

■3.面接では過度なプレッシャーを与えず傾聴する

面接官が過度なプレッシャーを与えてしまうと、応募者は面接官の期待に応えるために思ってもいないことを口にしてしまったり、嘘を答えてしまったりしやすくなります。
リラックスして話せるよう、面接では傾聴の姿勢を心がけ、深掘りする質問を行って応募者の本音を引き出してください。

過去の実績やスキルを確認するときは、思ったことや考えたことなどの「心情」ではなく、その場で実際にどのように動いたのか、「行動」にフォーカスして質問をしましょう。
誰にも確認できない「心情」に比べて、客観的な「行動」は嘘やごまかしが効きにくく、応募者の本当の姿を見極めるヒントになります。

■4.一緒に仕事をする人間も選考に参加させる

採用マッチングにおいて、一緒に働く人間との関係は最も重要といって過言ではありません。
配属先の人間が一緒に気持ちよく働ける人材かどうかを判断するには、実際に一緒に働く予定のメンバーに選考へ参加してもらうのが一番です。
選考へ参加したメンバーに「自分が採用した」という意識が芽生え、積極的に教育やフォローを行ってくれやすくなるというメリットもあります。
現場の人間を選考に参加してもらうときは事前に採用活動に関するレクチャーを行い、面接で禁止されている質問などをさせないよう注意してください。

参考:公正な採用選考について|厚生労働省

おわりに

採用に成功すれば企業は成長し、採用された人間もやり甲斐を持って仕事に打ち込めます。
採用ミスマッチは企業にとっても採用された人間にとっても、双方にとってマイナスでしかありません。
正しい情報を応募者に伝えつつ、応募者の資質を見極めることで、採用ミスマッチを防いでいきましょう。