人材についてよくある悩みのひとつが、せっかく採用しても業務とのミスマッチや職場に馴染めないなどで早期に退職してしまう社員が多いという問題です。
こうした課題を解決するひとつの策として、インターンシップ(以下インターン)の実施が挙げられます。
インターンは学生だけでなく、受け入れる企業にもメリットがある制度です。

長期インターンのメリット

1ヶ月以上のインターンは「長期インターン」に分類されます。
基本的に有給で、実際に業務を体験してもらうものです。
有給なので費用はかかりますが、長い時間をかけて社員同様の業務を経験したい「本気度の高い」学生が集まりやすいという特徴があります。

面接で優秀な人材だと思っても、実際に雇ってみると期待ほどではなかったという事例は枚挙に暇がありません。
短い面接の中で学生の良さやポテンシャルを見出すのは熟練した面接官であっても難しいものです。
採用過程で見極めができていないと、ミスマッチによる早期退職やモチベーション低下などの問題が発生しやすくなります。
逆に言えば、採用時に能力や適性を見極められていればミスマッチを減らせるのです。

長期インターンを経てからの採用の場合は、長い時間を一緒に過ごすことで、能力や適性、人格の見極めをしやすくなります。
100%失敗しないとは言えませんが、わずか数時間の面接で採用をするよりも確実性は高いでしょう。

また、インターンシップを経ずに採用すると、会社の雰囲気を体験しないまま働くことになります。
その場合、学生側が知っているのは人事を通じた会社の姿だけになってしまい、実際に働きはじめると会社に馴染めず悩んでしまうというケースも発生しやすいです。
インターンシップを実施していれば、学生側も会社側もお互いの本当の姿が見えるようになり、そうした問題を予防できます。

短期インターンのメリット

短期インターンは1日〜1週間ほどで、業務の疑似体験をしてもらうものです。
イベント仕立てになっていて、給与は発生しないケースが多いようです。
短期インターンは、学生にとっては気軽に参加しやすく、企業にとっては費用や社員にかかる負担も少ないというメリットがあります。

ただ、企業の知名度によって参加者数が大きく変わるので、中小企業は参加者を集めるのに苦労するようです。
交通費を負担したり、時給を支払ったりして参加者を集めることもできますが、お金目当てのアルバイト感覚でやってくる学生が混ざりやすいという懸念も生じます。
また、長期インターンと比較すると、短期インターンは採用に進んでくれる確率が低いという問題もあります。

とはいえ、そもそも応募者がいなければ何もはじまりません。
参加者が集まらない場合は、より多くの学生と接触し、自社を知ってもらうための機会だと割りきって、給与などのインセンティブを用意するのも一手です。
長期インターンを実施する前の練習のつもりで短期インターンを実施し、流れや感覚を掴むのもよいでしょう。

インターンは社員のマネジメント経験になる

インターンを受け入れるときには、年の近い先輩社員をメンターとしてつけるのが一般的です。
メンターの経験は、担当する社員にとてもよい勉強になります。
普段、マネジメントをすることのない若手社員が、インターンの指導を通じてマネジメントの経験を積む機会になるからです。
また、インターンの模範にならなければという意識から、業務への取り組み姿勢やモチベーションがよい方向に変化するきっかけにもなります。

終わりに

このように、インターンは学生だけでなく、実施する企業にもメリットがある制度です。
人材のミスマッチや人材育成に課題がある企業は、インターンの実施を検討してはいかがでしょうか。