働き方改革に2つのポイント

政府が唱える「働き方改革」を実行する際、2つのポイントから見直すことが必要とされている。1つは「労働時間法制の見直し」によるもの。これは働き過ぎを防ぐことで、労働者の健康を守り、多様なワークライフバランスを実現することを目的にする。そして、2つ目は「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」で、同一企業内における正社員と非正社員との間にある不合理な待遇の差をなくし、どのような雇用形態を選択しても納得できるようにすることが目的とされている。

残業の上限は月45時間、年間360時間が原則

まず1つ目の「労働時間法制の見直し」について。この見直しは8つの項目から成る。2019年4月1日施行となっているが、中小企業は残業時間の上限規制については2020年4月1日施行、月60時間超の残業の割増賃金率引き上げは2023年4月1日施行となっている。

☆残業時間の上限規制
施行前は法律上残業時間の上限はなく行政指導のみだったが、改正後は法律で残業時間の上限を定め、これを超える残業はできなくなった。
残業時間の上限は原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできない。臨時的な特別の事業があって労使が合意する場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできない。また、月45時間を超えることができるのは年間6か月まで。

☆「勤務間インターバル制度」の導入促進
1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する仕組み。この仕組みを企業の努力義務とすることで、働く人の十分な生活時間や睡眠時間を確保する。

☆年5日間の年次有給休暇の取得(企業に義務付け)
改正により使用者が労働者の希望を聞き、希望を踏まえて時季を指定すること、年5日は取得させることが企業に義務付けられた。

☆月60時間超の残業の割増賃金率引き上げ
改正前は月60時間超の残業割増賃金率が大企業は50%、中小企業は25%だったが、改正により大企業、中小企業ともに50%になり、中小企業の割増賃金率が引き上げられる。

フレックスタイムで柔軟な対応

☆労働時間の客観的な把握
改正により健康管理の観点から、裁量労働制が適用される人や管理監督者も含め、すべての人の労働時間の状況が客観的な方法、その他適切な方法で把握されるよう法律で義務付けられた。労働時間の状況を客観的に把握することで、長時間働いた労働者に対する医師による面接指導を確実に実施する。

☆「フレックスタイム制」の拡充
改正前は清算期間が1か月以内だったが、改正により3か月以内となり、例えば6月に働いた時間分を8月の休んだ分に振り替えできるようになった。これにより事業者は3か月の平均で法定労働時間以内であれば割増賃金の支払いが必要なくなり、労働者も改正前は8月に所定労働時間働いていない場合欠勤扱いとなっていたが、6月に多く働いた時間があるためその時間は働かなくても欠勤扱いにならなくなった。

☆「高度プロフェッショナル制度」を創設
高度の専門知識を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件(少なくとも1075万円以上)を満たす労働者を対象に、労使委員会の決議及び本人の同意を前提として、年間104日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を講じることにより、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しない。制度の対象業務は、金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務、資産運用の業務、新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務等とされている。

☆産業医・産業保健機能の強化
労働者に対する健康相談の体制整備、労働者の健康情報の適正な取り扱いルールの推進として、産業医等による労働者の健康相談を強化し、事業者による労働者の健康情報の適正な取り扱いを推進する。

待遇差はダメ

2つ目の「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」について。この見直しは3つの項目で構成され、施行期日は2020年4月1日。但し、中小企業における不合理な待遇差の禁止―パートタイム労働者・有期雇用労働者の施行期日は2021年4月1日。

1.不合理な待遇差の禁止
同一企業内において正社員と非正社員の間で基本給や賞与等あらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることを禁止する。裁判の際に判断基準となる「均衡待遇規定」「均等待遇規定」を法律に整備する。均衡待遇規定は職務内容などの相違を考慮して待遇差を定めて不合理な待遇差の禁止を定めたもの。均等待遇規定は職務内容などが同じであれば差別的取り扱いの禁止を定めたもの。
(1)パートタイム労働者・有期雇用労働者
①均衡待遇規定の明確化
個々の待遇(基本給、賞与、役職手当、食事手当、福利厚生、教育訓練等)ごとに当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化した。
②均等待遇規定
新たに有期雇用労働者も対象にする。
③待遇ごとに判断することを明確化するため、ガイドライン(指針)を策定。

(2)派遣労働者
改正により以下のいずれかを確保することを義務化した。
・派遣先の労働者との均等・均衡待遇
・一定の要件を満たす労使協定による待遇
あわせて派遣先になろうとする事業主に対し、派遣先労働者の待遇に関する派遣元への情報提供義務を新設した。
2.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
改正により非正規社員は正社員との待遇差の内容や理由などについて、事業主に対して説明を求めることができるようになった。
<雇入時>有期雇用労働者に対する雇用管理上の措置の内容(賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用、正社員転換の措置等)に関する説明義務がある。
<説明の求めがあった時>非正規社員から求めがあった場合、正社員との間の待遇差の内容・理由等を説明する義務がある。
<不利益取り扱いの禁止>説明を求めた労働者に対する場合の不利益取り扱い禁止規定を導入。 3.行政による事業主への助言・指導や裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の規定の整備 改正により、行政による助言・指導等や行政ADRの規制を整備する。都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続きを行う。

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