多様なエネルギーを取り込む

モノやサービスが溢れ、それらがなかなか容易に売れない時代になっている今、企業に求められるのは「気力」、「体力」に加えて「知力」だろう。この「知力」とは「感性」にも通じる。感性豊かな企業としての「品性」が問われているのではないだろうか。そのためにはそれぞれの企業の生い立ちや文化、社会の中の存在意義を見直すことが必須とされる。

その源となるエネルギーは企業が行う社会への情報発信によって高まる。社会に対して情報を開示し、積極的な交流を心がけることで、逆に社会から多様なエネルギーが従業員や企業に入ってくることになる。大手企業がCSR(企業の社会的責任)や広報に力を入れるのはこのためだ。

異質なエネルギーで企業の能力向上

しかし、これからはそのCSRや広報についても、決して大企業だけのものではなくなってくる。むしろ中小企業にこそ、そうしたことが必要なのではないだろうか。様々な分野で活躍する、例えばスポーツマンや芸術家、知識人などとの交流も、異質なエネルギーを企業にもたらすことになるものだ。

異質なエネルギーは社内の意識変革につながるだけではなく、感性、創造性、柔軟性、情報感度といった、目に見えない風土としての企業の資産の蓄積に結び付く。そして、それは従業員の能力を高め、企業の能力を高めることにもつながる。ここまではお話しをしていても納得していただくことが多い。

CSRと広報がなければ飯は食えない時代へ

ただ、だからといってすぐにそれらに力を入れようとはならないのが常だ。何故なら、何といってもCSRや広報にいくら力を入れても、その結果が目に見えにくいためだ。先々効果をもたらすだろうと理解できても、それに力を入れるのは「今でなくてもいい」というわけだ。だが目に見えにくいからしなくていいわけじゃない。

確かにCSRや広報に力を入れている大企業が、必ず売り上げを伸ばしているかと見ても、その相関関係についてきっちり調べたものはあっても分かりにくい。だから、これらCSRや広報で「飯が食えるか」と問われれば答えようもないところが本当だが、だからといって「CSRや広報がなければ飯は食えない」時代になっていることは確かだ。

まずは情報発信から

だから企業によって負担にならないところから少しずつでも始めればよい。まず何といっても基本となる企業からの情報発信は欠かせない。企業の活動について、積極的に社会にそれを問うていくという姿勢が求められる。たとえ社会に良いことをしていても、「陰徳の美」を求めるのは個人としてならともかく、企業としては物足りない。

企業環境が厳しいからこそ、社会からの評価を高めなければ生き残ることさえ難しい時代だ。社会からの評価が高まれば、取引先からの信頼も高まり、商売がうまく回り、結果的に企業業績の向上につながる。CSRや広報は決して派手な活動ではないが、それだけに今後の企業の成長に差がつくものになりそうな気がする。