1週間で髪の毛が蘇った

私はこれまで「朝食をとらないと一日が始まらない」と思ってきた。だから、前日にどれだけ飲み過ぎて気分が悪くても、無理にでも朝食を食べて仕事を始めるようにしてきた。しかし、「朝食をとるから、エンジンがかからない」と唱える人がいる。「少食健康法」で有名な甲田光雄医師だ。

私も何を隠そう、約15年前に、その甲田先生が関係しておられる「健康道場」に、当時勤めていた会社から無理やり送り込まれたことがある。当時から甲田先生がよく話しておられたのは、「体の様々な不調や、恐ろしい病気は、実は食べ過ぎが原因。中でも最悪なのが朝食。朝食を抜き、少食を心がけることで、体は健康になります」ということだ。

私が送り込まれた「健康道場」は、約1週間、寮のようなところに缶詰めになって、その間「少食」を実行させられる。1週間では慣れるところまでもいかなくて、無理やり少食生活を体験させられた感じが残った。正直言って、その間は焼肉を食べる夢を見るほどに、食べ物を渇望した。しかし、腸にたまっていた「宿便」が排せつされたためか、私の場合、その缶詰状態が終わるころには、何と、あれだけいろいろな養毛剤を試しても効果のなかった髪の毛が、私の家族も気付いたほどに増えていたのだった。

それほどの効果を見ると、少食を続けるのが道理なのだろうが、私の場合、その健康道場を終えてからしばらくして海外に1か月ほど出張した時に宴会が続き、また元の黙阿弥に戻ってしまった。

少食で「できる男」に

私もそれから年齢を重ね、この文章を書くときにふと思ったのが、企業の経営者には健康問題で悩んでいる方がたくさんおられたなあということだった。それで、この「少食健康法」を再び思い出したのだ。

朝食を食べないと、それは一日2食で生活することになる。俗に、それを「半断食」ともいう。甲田先生はこの朝食抜きを「甲田式健康法」と命名した。この健康法は国際的にも高く評価され、2001年にはWHO(世界保健機関)から特別講演を依頼されたほどだ。さらに、その他にも国際的に著名な医学賞も受賞しておられるそうだ。

昔から伝えられている養生訓に「腹八分に医者いらず」というのがあるのはご存知の通りである。ヨガの教えには「空腹を楽しめ」という言葉もあるようだ。

「一日3食」という常識に真っ向から対抗するのは甲田先生だけではない。「できる男は超少食」(船瀬俊介著)の本の中にある。その本の中では「3食のうちの2食は自分のため、1食は医者のため」という言葉までも紹介されている。

食どころか、その本の中に紹介されている有名人で、タモリ氏やビートたけし氏、水谷豊氏、元ピンクレディーの未唯mie氏、片岡鶴太郎氏は一日1食。芸能界だけでなく、ジャパネットたかた創業者の高田明氏、星野リゾートの星野佳路社長もそうだという。その他にもたくさんの有名人が少食主義の実行者として挙げられている。

空腹感がスイッチオン

少食の効用について、私がここに書くだけでは疑わしく思われるだろうが、以下のことが、本の中には紹介されている。

「1999年のサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の発見により、少食長寿は医学的にも立証されました。レオナルド・ガレンテ博士(米・マサチューセッツ工科大学)によって発見された長寿遺伝子、それは、カロリー制限でオンになることがわかったのです。

1935年には、すでに「マウスを腹六分で育てたら寿命が2倍に延びる」ことが証明されていました(米・コーネル大学、マッケイ博士)。2009年、アカゲザルを使った研究でも、腹七分にしたサルは好きなだけ食べたサルに比べて1.6倍長生きしたという結果が発表されました(米・ウィスコンシン大学)。

老化は遺伝子の“傷”で起こります。長寿遺伝子が発動すると、全身細胞の遺伝子に“保護層”ができ、活性酸素などから遺伝子を守ります。

その長寿遺伝子をスイッチオンにするのはカロリー制限、つまり空腹感だということが明らかになったのです。さらに、消化吸収のために使われるエネルギーが排毒に向けられるため、病気が治ります。病気の元凶“体毒”がデトックスされるのですから当然です」。

まずは朝食抜きをお試しあれ

そうはいっても、なかなか一日2食にしたり、増して、今まで一日3食しっかり食べていた人が、いきなり1食に抑えるというのは実行しにくい。だから、本の中でも、まず朝食抜きの一日2食から始めることを勧めている。午前中、お腹が空いて我慢ができなくなったら、お茶やお水を飲むのだそうだ。コーヒーや紅茶を飲むなら砂糖、ミルク抜きで。

前日の夕食から翌日の昼食まで、18時間以上開いていることが大切なのだそうだ。これは胃が完全に空になる時間を作って、休ませるためだ。だから、前日の夕食が19時にとったのなら、翌日の昼食は13時ということになる。これはちょっと難しいかな。

もし朝食を抜いただけで手が震えるようであれば、それは低血糖ショックといわれる状態だそうだ。こういう体質の人は、いきなり朝食を抜くのでなく、まず朝食を半分に減らし、そして約1か月かけてゆっくり朝食を抜いていくようにするのが良いようだ。

どにかく、長く続けるには無理せず、気楽に行うことが大事だ。私も再び試してみようかと考えている。さすがに今度は、髪の毛が元通りフサフサにはならないとは思うが、それでも他人に聞かれると笑われるだろうが、一抹の期待はしている。