「安いほど良い」はウソ

普段仕事の相談を受けていても、「顧客は安ければ安いほど喜ぶ」と考えている方が多いのに驚く。確かに同じ商材を売っているのであればそれも真実かと思うが、その商材にしてもサービスを付加することで、自ずと「適正価格」というのが生まれるように思う。そうでなければ、顧客も安心できないのではないだろうか。

安い単価では、結局、顧客に掛ける時間も少なくなり、顧客に対する責任を全うできないことになる。同じ商材を売る場合でも、単に売り切るだけなら安くできても、それを売るまでの諸々のアドバイスや後々のサービスなどを付加することで、いくらでも「適正価格」を作ることはできる。

価格以外の価値基準を作る

そうは言っても、顧客が価格の安さに目を奪われがちなのは分かる。だから、顧客に何故この価格なのかを説明する努力は欠かせない。それを怠るから価格で比較されることになり、せっかくのサービスも不十分なものになってしまうのだ。こうした罠に陥ってしまうと、なかなかそこから抜け出すのは困難になる。

極端な言い方になるが、理想的には「いつ顧客から切られようとしても大丈夫」といった心構えを持つことが大切なのではないだろうか。そのためには、心に余裕を持ち、顧客に全身全霊で向き合うことが必要不可欠になる。気に入らない顧客は、始めから相手にしないことだ。顧客を選ぶという発想は大切だと思う。

「儲ける」ことは悪くない

もっとも、その前提として必要なのは、(当たり前の話だが)一定の収入が確保できていて自社の経営が安定していることだ。これができていなければ、顧客のために仕事をするのではなく。自社(自分自身)のために仕事をするようになってしまう。そうなると目線が下がり、生活のために仕事を回すという悪い循環が起きる。

しかし、経営者の中には、「儲ける」ことに対して抵抗を持つ方も少なくない。「こんなに請求していいのだろうか」と思うわけだ。自己肯定感がなければ、儲けることに心のブロックが掛かってしまい、いつまでたっても価格競争から脱することができない。私の乏しい経験からいうと、「先生業」と言われる業種でも同様なことが起きている。

顧客への責任を全うする

白状すると、私も一時はそんな風だった。しかし、それでは逆に顧客に対しても失礼ではないかと、最近では思っている。顧客に対しては「全力でサポートし、絶対に成功させて見せます。そのためにどうしてもこれだけのコストが掛かるのです」ということを、自信を持って丁寧に説明することだ。

もちろん、これを実現するのも一朝一夕にはいかないかもしれない。何より顧客からその価値を認めてもらうには、自社(自分自身)が成長して能力を高めなければならない。能力開発を継続的に行う仕組みを経営に取り入れることだ。何しろ、偶然の成果は二度と得られないが、時間を掛けて高めた能力は一生残るものだ。