楽しい「後だしジャンケン」

休日に近所のスポーツセンターに行ってサウナに入っていると、必ずと言っていいほど前夜に試合のあったプロ野球談議が花盛りだ。
「あれはこうすべきだった」「なぜ監督があのように判断したのか分からない」と負けたチームの批判をし、周囲もそれに呼応してああでもない、こうでもないといった話が続く。

ただ聞いている分には楽しいが、実際にプレーしている選手からしてみると、その場で決断、行動しなくてはならなく、結果が出た後で、「だからおまえはダメなんだ」と言われてはたまったものでない。

米国でも「マンデー・クォーターバック・シンドローム(月曜のフットボール談議症候群)という言葉があるくらいだから、洋の東西を問わず「後だしジャンケン」のような話は多いのだろう。

勝てば官軍

企業で言えば、プロジェクトが成功に終わると「自分がやったのです」、失敗に終わると「だから反対したんだ」と言い出す社員がどんどん出てくるのもその例かもしれない。実際、大手企業にもそんな例は枚挙にいとまがないという。

「勝てば官軍」という言葉が浮かび出てくる。業績が良い企業がやっていることは何でもよく見える。
でももし同じようなことをしている企業で、うまく行っていない(失敗した)企業だってあるかもしれない。
その逆で、失敗した企業と同じようなことをしていても、うまく行っている企業があるかもしれない。

ひょっとすると、「成功した企業の研究」「失敗の研究」がいろいろ出されていてもなかなか成功できない、同じような失敗が無くならないのも同じことなのかもしれない。

大切なことは個人の記憶の中

だから成功企業から学ぶことも、失敗から学ぶこともそれほど簡単なことではないと思っている。

そもそも「なぜ失敗したのか」という原因を考える時に、個人においても組織においても、その意思決定のプロセスがきちんと記録に残っていることはめったにない。もちろん、役員会の資料や議事録はあるだろうが、本当に大切なプロセスの大半は、個人の記憶のレベルにとどまる。

その個人の記憶がどれほどいい加減なものかは言うまでもない。失敗から学ぶことも、そもそもなぜ失敗したのかをきちんと追うことができなければ、「学んだつもり」の自己満足で終わっている恐れもある。

記憶は「再構成」されている

「記憶とは銀行に預けているお金を引き出すようなものではない。記憶は引き出される時に作られるものである」といった言葉もある。つまり、記憶は思い出す時に本来なかったはずの細部が加えられたり、逆にあったものが削られたりして「再構成」されるといわれる。

記憶の曖昧さによって過去の成功体験が美化されたり、逆に(故意にではなくても)失敗した体験の都合の悪い部分が削られたりしていると、似たような失敗を繰り返すことになっても不思議ではない。

「だから失敗から学ぶなんて無駄だ」というつもりはまったくない。ただ、そうした傾向があることを知って振り返ってもらい、是非活かしてもらいたいと思うのだ。

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