その補充は本当に必要か

人手不足が当たり前の時代になろうとしている。会社にとっていかに人を確保するかは、当然のことながらこれからのその会社の成長にとって重要な課題だ。しかし、人が辞めると当然のように代わりの人を補充すべきだと考えるのは早計だ。人を補充するのでなく、今までの仕事の中に無駄な仕事はないかをまず見直すべきだ。

同様に、新しい仕事が増えたらその仕事に合わせて人を増やそうとするのも間違いだ。そんなことを繰り返していると、無駄な仕事はいつまでたっても残ってしまい、社員の生産性はどんどん低くなってしまう。人が辞める時などは、不要な業務を捨てるチャンスだと捉えなければならない時代だ。

「ECRSの原則」で業務改善を

これからの時代、ますます価値のある仕事だけを残して、生産性を高めることが求められる。そこで参考になるのが、生産現場の業務改善で使われている「ECRSの原則」だ。
「Eliminate(排除)」
業務の目的を再度見直し、その業務が無くせないかを考える。
「Combine(結合)」
業務をまとめて一緒にすることで、その業務にかかる時間を短くできないかを考える。
「Rearrange(順番の入れ替え)」
仕事や作業の順番を入れ替えることで、効率的にならないかを考える。
「Simplify(単純化)」
もっと簡素化したやり方で、同じ結果を生み出せないかを考える。
このE→C→R→Sの順番に業務を見直すというものだ。

1名の採用に100~200万円のコスト

そもそも会社が人の採用にどれだけのコストがかかるかを考えるべきだ。まず、リクナビやマイナビなどの就職サイトへの求人広告費、採用ホームぺージ、会社パンフレットなどの制作費、会社説明会の会場費など。大都市圏の会社は平均すると1名の採用に100~200万円程度かけているといわれる。

中小企業であればハローワークでの採用が中心で、そこまでの費用はかからないと思われるかもしれないが、採用にかかるコストは応募してもらうためのコストだけではない。選考にかかるコストや入社後に戦力化するためにかかるコストはどうしてもかかってしまう。しかも、その結果採用しても何の戦力にもならず辞められることさえあるのである。

自身の仕事を見直してみる

私の以前勤めていた会社でこんなことがあった。1人しかいない資料編集室で、その1人が突然辞めることになった。会社は当然のように、急きょ穴を埋めようとしたが、なかなか人選が決まらない。そのうち、どうしても必要な作業は個々人が行うことになり、やがて資料編集室自体がなくなってしまった。

結局この1人がいなくなってもまったく問題がなかったということだ。ひょっとしたら、無くてもいい仕事をしていないか。よくジンザイには「人財」「人材」「人在」「人罪」の4種類あるといわれるが、「人在」(ただいるだけ)や「人罪」(存在自体が罪)になっていないか、自分自身を振り返って見る必要もあるかもしれない。