求められる自信と自覚

水泳の荻野公介選手がプロの初戦で、200m個人メドレーをはじめ200m背泳ぎなどで優勝を飾り、複数種目でこの夏の世界水泳への出場を決めた。

昨秋に右ひじの手術をしてコンディションは万全ではなかった。
それでも大会を乗り切った思いを彼はこう表現している。

「もがき苦しみ、ほふく前進のような感じだったが、気持ちで頑張った」。
恐らく、これがプロとして戦うことの現実なのだろう。

同じく、プロとして最初の全日本選手権を迎えた体操の内村航平選手も、個人総合10連覇を達成した。
それをニュースで見ただけだったが、苦しみながらもプロとしての自信と自覚が完璧な演技をもたらしたように思えた。

プロとアマの違い

スポーツ選手がプロになることのメリットは言うまでもない。
荻野選手も内村選手も会社員では考えられない報酬で競技生活を送ることができる。

一方、デメリットとしては、成績が振るわなかったり、ケガや故障で活動に支障をきたしたりすれば、契約の更新が難しくなる。高額な年俸を手にしながらも、その立場は不安定なものと言わざるを得ない。
将来の保証は何もないのだ。

しかし、最近は実業団の選手たちでも、その多くが競技を問わず、スポーツを仕事にしているという。
会社員でありながらも一般的な仕事はしていないという点では「プロ」と呼ぶべきだろうが、身分上はアマチュアの選手ということになる。

懸念される副業の持つ甘さ

スポーツ選手の場合どんな立場を「プロ」と呼ぶかは、契約の内容や本人の考え方次第になってくるので難しいのだが、同じことがビジネスパーソンでも言えるように思う。

アマチュアとして実業団で活動するスポーツ選手も、企業に所属して仕事をする人も、その立場に安住せず、自信と誇りを持って日々の仕事に向かえるか。
その積み重ねがプロへの道を拓く。あるいは社内で欠くことのできない存在になっていく。

最近は副業を持つことが許される企業が出てきている。また、副業を持つことが可能な時代になっている。

しかし、現状を見て少し違和感があるのは、意識は「アマ」のままでプロとしてのおいしいところだけをとろうとしてはいないか。

やらなければ消えていく弱肉強食の世界

厳しい言葉にはなるが、ひとたびプロになった人たちには、もう贈る言葉も必要なければ、励ましの応援もいらない。
やらなければ消えていく弱肉強食の世界だ。頑張ればいくらでも稼げる。その現実がプロの原動力だ。

これからの世の中、「プロ」としての意識がなければ、なかなか企業の中でも生き残っていくのは難しいだろう。
まして起業するともなればなおさらだ。

その点、副業のまま起業への意思があるにも関わらずなかなかそこに踏み切れない人たちも多いと聞く。

アマチュア時代から内村は言っていた。「若い奴らにはまだまだ負けられない」。
こうした強いメンタリティーと自信を起業家にも求めたい。