Dollarphotoclub_94710458

労災が認定されるケースは業務中の被災に限られますが、「出張中に土産を物色しているとき」「バーベキュー大会で世話役をしているとき」「出張で実家に泊まったあと」など、業務中なのかどうか判断が難しいケースもあります。

業務内とみなされるのか、業務外とみなされるのかによって、労災認定の可能性が変わります。
経営者も従業員も知っておいた方がいい、労災認定されるケースとされないケースを5つご紹介します。

(1)出張中にお土産を物色しているときに被災

出張中、プライベートのお土産を探している最中に被災した場合、業務内とみなされるのか、業務外とみなされるのか、判断が難しいところだと思います。
出張中の場合、すべての私的行為が業務内とみなされるわけではありませんが、出張途上にある私的な行為は業務内と判断される可能性があります。

たとえば出張の移動中にタバコを買う行為は出張途上にあるため、出張に伴う行為となります。
お土産を購入する行為も同じく、出張途上であれば労災の対象となる可能性が高いです。

しかし、私的な理由で目的のお土産を購入するために本来の順路を外れて被災した場合、業務に起因するとは言い難いでしょう。
そのようなケースは労災の対象外となります。

(2)バーベキュー大会で世話役をしているときに被災

会社の従業員が参加するバーベキュー大会の世話役を任された際、鉄板がひっくり返ってヤケドするなどの被災をした場合、労災と認定されるのでしょうか?

まず、バーベキュー大会が強制参加であるか任意参加であるかで業務上の被災とみなすかどうかの判断が変わってきます。
強制参加の場合は業務とみなされるため、この場合は労災の対象となる可能性が高いです。
任意参加の場合は従業員が各自で参加を決めるので、費用が全額会社負担でも業務内とはみなされず、労災は認められません。

ただし、今回のケースのように、世話役を任された場合は事情が違ってきます。
任意参加であっても、会社から世話役や幹事役を任された場合、業務とみなされます。
自分の不注意で鉄板をひっくり返したとしても、常識の範囲内の事故であれば労災が認められると思われます。

とはいえ、常識を逸脱した行為による被災は、たとえ職務の一環として世話役や幹事役を任されていても対象外となります。
著しく泥酔していたような場合などは、労災と認められないケースが出てくるでしょう。

(3)出張で実家に泊まったあとの被災は業務中とみなされるのか

出張先が実家に近く、会社が用意した宿泊先でなく実家に宿泊し、そのあとに被災した場合は労災の対象外となるのでしょうか?

実家に宿泊すること自体は私的行為であるため、実家に宿泊している際の被災は労災の対象外となります。
実家を出て本来の出張の順路に戻ったならば、業務遂行性が回復するため、出張途上での被災は労災が認められます。

つまり、私的な理由で出張の順路から外れたときに被災した場合は私的行為とみなされるため、労災が認められません。
私的行為で逸脱しても、出張の順路に戻れば業務に戻ったことになるため、この際に事故などに見舞われた場合は出張中の被災とみなされます。

(4)休憩中、社内食堂へ移動する際に階段を踏み外してケガをした

休憩中、社内食堂へ行くために移動している際、階段から足を踏み外してケガをした場合、労災は認められるのでしょうか?

まず、休憩時間は「労働基準法第34条第3項」によって労働者が自由に行動することが認められており、その間の行為は私的行為とみなされます。
休憩時間中の被災は私的行為であるため、その間の被災は労災の対象外となります。

ただし、水漏れ等で階段が濡れて滑りやすくなっていたり、階段を踏み外したり足を滑らせた原因が事業場施設にある場合は労災が認められる可能性があります。
もちろん、休憩中に社外の施設に出かけているときに被災をしたのならまず労災は認められません。

(5)帰宅途中に立ち寄った日用品店で被災

帰宅途中、洗剤やトイレットペーパーなどの日用品を購入するため、日用品店で被災した場合、労災と認められるのでしょうか?

通勤途中で行う、「トイレに寄る」「新聞紙を購入する」などの「ささいな行為」は通勤の中断とはみなされないため、労災の対象となります。
しかし、これらの「ささいな行為」に外れる場合、たとえば今回のように私的な理由で日用品店に立ち寄った場合、通勤途中であっても通勤の中断とみなされるため、その間の被災は労災が認められません。

ただし、日用品を購入して本来の通勤順路に戻れば通勤として扱われるため、一度通勤を中断しても通勤順路に戻ったときに被災した場合は労災の対象となります。

おわりに

労災は会社にとっても従業員にとっても重大な事柄です。
不明なことが起きたときには、専門家や専門機関に速やかに相談してください。

参照:
労災認定事例(公益財団法人労災保険情報センター)
労災なんでもQ&A(公益財団法人労災保険情報センター)