質問を「怖い」と思っていませんか

「顧客第一」と分かっていながら、私たちはあまり顧客の声を聞きとれていないのではないか、そしてそのこととも相まってすぐに提供する商品やサービスの価格の「値引き」に走っているのではないかということを危惧している。実際にそのことを示すアンケート調査などもあり、別の機会で紹介してきた通りだ。

それでは顧客の声を聞くために、どのようなアプローチ(質問)を投げかければ効果があるのだろうか。そのことを考えたいと思うのだが、その前にもう一つ、これは私自身の体験からこれを読んでいる皆さんに聞いておきたいことがある。それは心の中に「顧客に質問を投げかけることが失礼に当たらないだろうか」という不安を持っていないだろうかということだ。

私自身、社会に出たばかりの頃は、どちらかと言えば人見知りするタイプだっただけに、いきなり見知らぬ人に対していろいろ聞いて回るという行為になじめないことがあった。しかし、結論から言うと、これは杞憂だった。試しに、なかなか勇気がいると思うが、顧客を怒らせてもいいぐらいに考えて、質問をしまくってみれば分かる。顧客は怒らないどころか、むしろそれほど関心を持ってもらえたことに、逆に感謝されることさえあることが分かる。

毎日のニュースから本題に入りやすいアイスブレークを用意

最初は顧客と話をすることが苦痛だった私も、それで徐々に慣れていった。その代わり、質問を事前に準備することには時間をかけた。顧客は意味のない質問に対して不快感を持つことはあっても、一生懸命に考えた質問に対しては真摯に対応してくれるのが常だと分かったからだ。質問を考えていると、この質問にどんな答えが返ってくるか、いろいろな答えが考えられ、その一つ一つに対して、どんなことを聞かねばならないか、そんなことを組み立てていく。
そんな風にして作っていったのが、大体以下のような流れだ。何かの参考になれば幸いです。

特に初めて伺う会社(担当者)には、本題に入る前につかみとアイスブレークが必要だ。これは顧客が話しやすい雰囲気を作るだけでなく、どんな感じの人か、話に対してどんな反応を示す人なのかを感じ取るのと同時に、さりげなく自分の人となりも相手に伝えるーつまり、相手のことを真剣に受け止める用意があることを伝えるのが目的だ。
全般的にそうなのだが、ここで特に注意したいのは、相手の反応を見逃すことがないようにしたい。こちらの話す言葉を聞き取りにくそうにしているのに、お構いなしに同じような調子で本題に入るようだとそれだけでその後の話はうまく進みにくくなる。アイスブレークにはどんなテーマでなければならないということはなく、余程何もなければ天候の話などを出すこともあるが、毎日のニュースから顧客に少しでも関係の在りそうな話題を予め用意しておくのが良いように思う。そこで相手が話に食いついてくれれば、そのまま本題に入っていくことができる。

提案は最後、まず相手の話を聞く

つかみとアイスブレークが一通り済んだら、次はいよいよ本題に入るのだが、こちらからの提案をいきなり話し出すのではなく、まずは顧客からの悩み、顧客が感じている問題を聞いていこう。場合によっては、こちらから質問をする前に、顧客から質問がくる場合もある。「まずあなたがどんなことをできるのか、どんなことができる会社なのかを聞かないと、こちらの情報も出せない」というわけだ。そんな時は、できるだけ誠実にお答えし、自分が信用に足る人物であることをさりげなくアピールすればいい。

その上で、顧客がどんな悩み、問題を抱えているのかを探り出すのだ。例えば、自分が人材教育のサービスを売っている営業マンなら、「事務所の雰囲気が明るいですが、何か秘訣でもあるのですか」と切り出したら、「そうなんだよ」と返ってくるかもしれないし、「それが実はそうでもないんだよ」とくるかもしれない。「そうでもない」ときたときはしめたもので、悩みや問題につなげられる。仮に「そうなんだよ」と来た時も、「理想通り」とはなかなかいかないものだ。じゃあ、その理想に近づけるには…ということが問題になってくる。
ここで注意をしたいのは、顧客が話している時に割り込んだり、次の質問を考えようとして顧客の話を聞きそびれたりすることだ。顧客に不快感を与えてしまっては、その先に話を進めることができない。

「何故」を繰り返すぐらいに深掘りする

そうして、徐々に顧客の話を深堀りしていくことになる。深掘りすることでさらに詳しく話をしてもらうことができる。こちらの熱心に聞く姿勢や、相手の話に理解を示す(必ずしも賛成する必要はない。賛成しかねる場合は「何故?」という疑問が起こるはず。それを正直に聞いていこう)ことによって、顧客が相談したくなるような雰囲気をここで作らなければならない。顧客の悩みや問題点は必ずしも顧客自身でさえ気付いていないかもしれない。それらが出ないうちにこちらが提案をしても提案が無駄になるだけだ。顧客の話は最後まで徹底的に聞こう。

顧客の考えがまとまらずに、明確に答えられない場面も出てくるかもしれない。そんな時は答えやすい質問を投げかけなければならない。時に質問がはぐらかされることもあるかもしれないが、要所要所の情報は逃してはならない。聞く方も、質問が単調になっていないか、時に振り返りながら質問を重ねることになる。

そうして提案をするわけだが、ここで気の弱い営業マンは、つい相手の問題解決にできないことまで、「できる」と言ってしまうことがある。そうなると後々、不信感を与えることになったり、クレームにつながりかねない。できないことは「できない」と言える自信が必要だ。そのためにも、「何だったら自信を持って相手の課題を解決できるのか。そして逆に何はできないのか」、自分や自社の強み、弱みは予めしっかりつかんでおく必要がある。

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