青色申告で赤字の繰越を最大限に活用

会社を経営して事業を始めて、利益が生じるようになると税金がかかるようになる。もし法人を設立したのであれば、法人税、住民税、事業税がかかってくる。経営者になると、自分がどのくらいこれらの税金を納めなければならないのかとても気になる。できれば払いたくないのが人情かもしれないが、そこまで行かなくても、必要な分はきちんと払う必要はあっても無駄な税金まで払う必要はない。そのため「節税」についての知識は経営者にとって大切だ。「脱税」に陥らないための節税にはどういうものがあるのか、以下に少し見ていきたい。

もともと事業で収入より経費が多い状態、つまり赤字になった場合、この赤字になった分を翌期以降に繰り越すことができるというメリットがある。事業開始時には赤字でスタートするケースも多いと思うが、次期以降に利益が出ても差し引けるわけだから、これだけでも大きな節税になる。これは「青色申告」という制度を利用しなければならないが、個人事業主が3年間しか繰り越せないのに対して、会社設立をしていれば9年間の繰り越しが認められていたが、さらに制度改正によって欠損金額の繰越期間は10年まで認められるようになった。

不良債権や不良在庫はないか

念のためお話しすると、「青色申告」というのは、確定申告をする際に、複式簿記等の方法により記帳する申告制度のことを指す。新たに青色申告をするためには、管轄の税務署に青色申告承認申請書を提出し、承認を得る必要がある。青色申告の申請が承認されると、帳簿を備え付けることや正しく記帳することが義務になる。もしその義務の遂行を怠ったり、申告書を期限内に提出しなかった場合には、青色申告の承認が取り消されてしまうから注意が必要だ。

話を元に戻す。節税には基本的にお金を使う必要がある。利益が出た時、(経費として)お金を使うことで、利益が圧縮され、結果として節税できるという段取りだ。そこで節税だけに目が行ってしまっていると、必要のないもの、大して事業の生産性や拡大に役立たないのに、やたら高い設備や、不要な交際費などにお金を使ってしまいがちだ。それで節税できても、会社に残る利益を減らすだけで、将来への展望を開くことはない。

それなら、せめて利益が出すぎた時などは不良債権の償却や不良在庫の処分を思い切って行うといった対応を優先した方がよほど賢い節税の方法だろう。不良債権とは請求する権利はあるものの回収できる見込みがないものを指す。不良在庫とは売れる見込みのない商品のことだ。これらはそのままにしておいても、無駄な資産として会社に残ることになるわけだから、できるだけ整理しておくに越したことはない。その際、不良債権は相手方に債権放棄の通知を出すとか、不良在庫なら実際に廃棄して、廃棄業者から廃棄証明書をもらうなど、きちんと後に証拠を残すことが重要になる。

各種制度の利用も候補に

前向きな節税対策としては、社員の教育費に充てる、社員旅行など福利厚生に充てる、新しい機械設備を導入する、研究開発に乗り出す、などが挙げられるだろう。例えば、社員の資格試験の受験代を会社負担にしたり、社員の研修会を会社負担で実施したりすれば、支出が増えて節税になる上、社員の技術の向上も見込むことができる。社員旅行などもそれで社員の普段のストレスが解消できて、日々の業務の効率がアップすることが期待できるなら、節税と一石二鳥だろう。

また、会社経営にリスクはつきもの。こうしたリスクには利益がある順調な時にこそ対応しておかなくてはならない。
リスクと言えば、「中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)」に入るのもお勧めだ。これは万が一、取引先が倒産してしまった場合、積み立てた掛け金の10倍の範囲(最高8000万円まで)を貸し付けてくれる(無担保・無保証人・無利子)制度だ。仮に得意先の倒産によって自分の会社への入金がなくなり、支払先への支払いが不能になった場合、逆に自分が倒産しかねない。このような、いわゆる連鎖倒産を避けるための制度だが、毎月の掛け金は5000円~20万円の範囲内で設定でき、掛け金総額が800万円になるまで積み立てることができる。そしてその掛け金は損金に算入される。

「小規模企業共済制度」は小規模企業の事業主や役員を対象にした退職金の共済制度。対象は小規模企業の役員や個人事業主、組合員が20人以下の企業組合や協業組合の役員。個人事業主の共同経営者も対象になる。毎月の掛け金は1000円~7万円の間で500円単位で選択でき、掛け金は全額所得から控除される。また、納付した掛け金総額の範囲内で、事業資金などの貸付を受けることも可能となっている。

従業員や事業主との間に使用従属関係が認められる同居の親族に対しての退職金制度としては「中小企業退職金共済制度」がある。これは中小企業者が勤労者退職金共済機構と共済契約を結び、従業員ごとに事業主が毎月の掛け金を納付する。毎月の掛け金は5000円~3万円まで。その掛け金は損金として参入でき、全額非課税になる。

生命保険の活用も

生命保険を活用するのも手だ。個人事業主なら生命保険料控除は適用限度額年4,5万円しかないが、会社を設立していれば保険商品によっては全額または半額の損金算入が可能で、利益を繰り延べることができる。繰り延べなので解約時や満期時には課税されることになるが、役員退職金と組み合わせることで、節税効果を上げることができる。

最後になったが、会社がある程度間違いなく利益が十分に上げられることが予測できるのなら、手っ取り早く社長個人が受け取る毎月の給料(役員報酬)を上げるのも良いだろう。基本的に事業年度ごとに自分の給料をいくらにするかを真剣に検討しなければならないが、その際、法人税にかかる税率と、所得税にかかる税率を見比べながら、その損得を判断することになるだろう(中小企業の法人税率は年間所得が800万円を超える部分は23.2%、800万円以下の部分は15%の軽減税率が適用される)。
ただ、個人事業主であればすべてが自分のお金と考えることができるが、法人の場合、会社のお金はあくまで会社のお金であって、社長のお金ではない。会社のお金を生活費に使うといったことは論外であることを蛇足ながら付け加えておく。

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