どんぶり勘定では経営失格

事業活動の中で最も重要なことの一つがお金を回すことであることは今更言うまでもないこと。なのに大半の社長が財務のことが苦手なのだそうだ。私も常に頭を悩ませているのだが、社長が抱える不安の大半はお金にまつわることだ。事業が赤字の場合はもちろんだが、たとえ黒字であっても資金繰りや資金調達の問題はついて回る。このことを苦手とするだけならまだしも、私が所属する創業間もない企業の集まりの中には、苦手を越えて財務のマネジメントがさっぱりできていないという者も多い。どんぶり勘定がまかり通っていて、基本的な経営の数値さえも把握していないのだ。

「財務のことは税理士に任せている」と考えている社長も少なくない。税務申告や月次試算表の作成などは税理士に任せるとしても、財務マネジメントそのものを税理士に任せるなんてことはあり得ない。重要な経営判断は自社の計数を把握してこそできる。投資や資金調達などの判断までを税理士に任せているなんてことはあり得ないのと同様、財務マネジメントをしっかり社長が行うためにも、財務に関わる社長の責任は大きいと言わざるを得ない。それでもすべての数値を把握する必要はない。大切なのは収益構造、資産負債状況、資金繰りの3つに集約されるだろう。

頭の中にチェック項目を叩き込む

収益構造については、自社の売り上げや利益の推移と、経営環境や事業活動の振り返りを指す。数年前から直近までの売上高を見て、傾向や背景を分析する。過去の実績を単に過ぎたものとして放ってしまうのでなく、それを振り返ることで今後実行すべきことが見えてくる。商品やサービス別の収益状況の把握や部門別の売り上げ、原価、経費を計算して頭の中に叩き込んでおこう。そして、原価率や経費が業界の平均値などと比べてどうか、経費の中で無駄なものはないかなど、いざ数字を前にするとチェックしなければならない項目は次々に出てくるはずだ。

資産負債状況とは、決算書の貸借対照表に記載されているような資産と負債のバランスを指す。ここで大切なのは貸借対照表の数字と実態を比較して把握することにある。まず貸借対照表では各勘定項目の実態をチェックする。例えば、売掛金が500万円あったとしよう。しかし、その中に回収が見込めないものが50万円あれば、売掛金の実態は450万円ということになる。負債の部ではよくあるケースとして、役員や身内からの借り入れがあって返済不要なら負債と見なさなくてもよいだろう。金融機関に見せても同じ判断をするはずだ。こうして資産負債の実態を把握すれば、実質の自己資本(純資産)がいくらなのか算出することができる。

資金繰り表で資金をいつも手元に

資金繰りは、特に中小企業にとって非常に重要になる。近い将来の資金繰りを予測して、早めに手を打つことで資金の枯渇を防ぐことができる。間違っても、「黒字だから安心」などと思っていてはいけない。「黒字倒産」という言葉がある通り、黒字であっても入出金のタイミングが悪いと、手元にお金がなくなってしまうことがあるのだ。この資金繰りを予測するツールとしては「資金繰り表」を作っておくことが有効だ。この表では直近の実績と、向こう半年~1年先の入出金を月別に計上して、月末の現預金残高を予測する。そうすると、「3か月後に資金不足になりそう」などと判明できる。

周囲の社長と話しをしていると、「できれば税金は少額にしたい」と思っているのが大半だ。かく言う私もその一人。しかし、だからといって決算書が赤字になってしまうと、銀行に融資をお願いする際などに困ることになりかねない。だから「収支トントンくらいで少し利益が出ている程度でちょうどいい」と考える向きも多いのが実態だ。しかし、それだけでは自ら目の前のお金を稼ぐことに精一杯で、中長期的な企業の発展を考えていないということを露呈しているに過ぎない。

数年かけて向上する選択肢も

特に中小企業の経営において、毎期確実に増収増益を続けることができるというわけにはいかない。景気の波に左右されるのは大企業と同じだが、その波の受け方が大企業より大きいのは当たり前で、大きな経済環境の変化の中では複数年に渡る赤字を覚悟しなければならないこともある。今般の新型コロナをどう受け止めるかだが、まさに長期の影響を覚悟して取り組みを進めているところもあるだろう。こんな時ほど財務マネジメントが大切になる。

ある中小企業では、「今年から来年にかけては売り上げを作るより、新製品の開発に力を入れるべき」と判断し、実際にその企業の人員の配置/役割を製品開発にシフトした。この間の資金繰りは、従来持っていた特許を売ることで何とか確保した。それでもこの間はその特許の売り上げがほぼすべてなので、開発期間は2年間に限定して取り組むことにしている。まさにこの企業にとっての「背水の陣」だ。そして新製品の開発が終わったら、次は営業にシフトするのだという。こうした機動的な動きができるのも中小企業ならではだろう。今のように変化が激しい時代にあっては、このように必ずしも毎期の決算を基準にしなくても、数年かけて収益を向上させていくという考えがあっても良い。

株式会社 大阪エルシーセンター CUBE電話代行サービスグループ
CUBE電話代行サービスでは、実際に電話応対をしているオペレーターが、電話代行サービスの魅力やビジネスに関する情報を発信しています。日頃の電話応対のノウハウや様々な業種の導入事例等、電話応対にお悩みの企業様や、電話代行を検討している方は是非ご覧下さい。