顔に責任を持つ

皆さん良くご存じの第16代アメリカ大統領リンカーンの有名な言葉に、「40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て」というのがある。これは閣僚を選任するに当たって、ある人物が推薦されたのだが、彼と会ったリンカーンは大変有能な人物との推薦にも関わらず、採用を見送った。後日、推薦人から何故採用しなかったのかを問われたリンカーンの言葉が、「顔が悪すぎる。40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持ちなさい」という言葉だったという。確かに人間の持つ品性や知性、考え方は年齢とともに知らず知らずのうちにそっくり顔に現れるようになる。

リンカーンの時代の40歳は今の何歳に相当するのだろうか。まあ、それは良いとしても、どんな人生を歩んできたのか、日々何を考え、どう行動してきたのか、それらの積み重ねによって内面に育まれてきたものが顔に出てくるのは間違いない。思いやりのある人はやさしい顔に、明るく前向きな人は朗らかな顔に、意思の強い人はしっかりした顔に、性根の悪い人は悪人顔に…。そして、それはある程度年齢を重ねた後でも変わるようにも聞く。鬼のような形相でビジネスの場でバリバリ働いていた人が、引退したとたんに好々爺のような優しい面持ちになるといった具合に。

ネットで比べられる写真

私の友人で結婚仲介業を営んでいる者がよくそれと同じ話をする。最近の結婚仲介業はインターネットで何人もの相手候補の顔、姿を写真で確かめることができる。いずれの写真も専門のカメラマンが撮影するので、きれいに良く撮れているのだが、男女ともある一定の年齢を超えると若さでは隠し切れない(?)それぞれの特徴が現れてくるので、見ていて興味が尽きないのだという。一人ひとり見ていてはなかなか分からないことでも、何人か集まれば一目瞭然ということもある。そして、やはりその写真による第一印象によって、お相手が見つかる確率は違ってくるのだそうだ。

これを聞いてまさにとても恐ろしい話に思った。リンカーンの話は以前から聞いて、「そうかもしれないな」ぐらいにしか思っていなかったが、そのようにインターネットで比べられるとなると、これはもう逃げも隠れもできない。それまでもネット時代の怖さについていろいろな話を聞かされてきたが、この時はその中でも最も恐ろしいと感じた一瞬だった。普段からの心がけが顔に出ると言われても、今更どうしようもないし…なんて思い悩んでももう遅い。それほど気になるのなら、普段の考え、これからの行いに気を付ければ良いはずだが、そう思っても大して慰めにはならない。

動画は情報量が桁違い

でも写真以上に、最近は動画で商品や事業を紹介することも増えている。これだと自分の一瞬の切り取り(それも何枚か撮った中で自信のあるもの選んでいるはずだが)では済まず、一連の動きが相手に伝わってしまう。おそらく情報量にすれば、写真の何十倍、何百倍ものものが伝わっているに違いない。ある時、私も動画に挑戦したことがある。その道に詳しい方に勧められて撮ってもらったのだが、これが見るに堪えなかった。時間にしてわずか3分ほどの間のことだったと思うが、我ながら情けなくなるほど恥ずかしくて、画面を正視できなかった。それほど自分の表情は、にやけたオッサン以外の何物でもなかった。

聞けば、YouTubeなどを頻繁に利用しているその人は、何度も何度も取り直して今に至ったのだそうだ。そうだとしても「なるほど、それなら初めて撮った動画が見られたものでなくても仕方ないのか」と思うこともできなかった。それほど酷かった。でも私がその動きを普段顧客先などで晒しているとすれば…と考えると、やはりこれはどうにかしなければいけない。そこで、動画を撮るのは苦手でも、まず録音なら普段からもしていたため、それから大切な話し合いなどは必ず、録音するようにした。そうすると声だけでも、それはそれでいろいろな自分の癖が分かり、随分ひどいと思うことがいろいろ分かった。

録音でも分かる癖

話し始める時に、「えーっ」「うーん」が多い。肝心なところで「押し」が弱い。「それ」「これ」といった代名詞が多い。語尾があいまいなことが多い…。録音だけとは言っても、聞いていて嫌になる。でも、嘘偽りのない話し言葉がそこにある。他の誰でもない自分が発した言葉だ。「何故こんな話し方しかできないのだろう」といろいろ考えていると、準備不足もあるし、その前に何が話したいのか、この人と会って、何を話さなければいけないのかの整理ができていないということなど数え上げればきりがないが、とにかくいろいろ気づかされることが多かった。

今も朝、仕事に出かける際には鏡を見る。剃り残しの髭はないかということと同時に、今では恥ずかしくない表情が作れているかを確認し、「よし出かけるぞ」という気合を入れる瞬間にもなっている。そして夜遅く帰る時も、電車の窓に映る顔を見て、その疲れ切った顔にギョッとすることも多いが、「今日も一日精一杯頑張ることができたか」といったことを聞いてみる。するとそこに映った自分自身がしっかり見返していて何かを訴えようとしてくれる。毎日自分自身との対話でいろいろ教えられている。

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