3つのコントロールを使い分ける

部下の管理に悩みはつきものだ。最近では望むと望まないに関わらず「年上の部下」を持つような時代、そうなると悩みはひと際大きい。ひょっとしたらそれは先輩と後輩かもしれない。先輩にとっては年を重ねても可愛い後輩は後輩であり、それがまさか自分の上司になろうとは夢にも思ってもいなかったはずだ。そんな時は、まず「年下の上司」をもつことになった人の心境を察することから始めなければならない。その上で、部下の管理の基本を押さえていかねばならない。「そんなことは分かっている」と言われるのを覚悟の上で、部下の管理の3原則と呼ばれるものについて改めて振り返ってみる。

部下の管理の3原則とは、①行動コントロール、②結果コントロール、③環境コントロールだ。この3つのコントロールは普段必ずしも明確に意識されているわけではないが、それぞれメリット、デメリットがあるため、通常は単独で使われることはない。いかにそれぞれの場面に応じて、これらを組み合わせていくかが大切だ。それを意識して使うことで、今ならどういうコントロールが必要なのだろうかと考え、応用していく手がかりがつかめることになる。この分析なしに、はやりの手法を試してみようとしても、うまくいかないのではないだろうか。

まずは手堅くルール化する

「行動コントロール」というのは、最も直接的なコントロールだ。誰がやっても同じ結果が得られるように「行動」を管理する。表現は悪いかもしれないが、言ってみれば、手取り足取りいちいち行動を指示するのだ。そうして、こちらが望む結果へと導く。具体的には行動マニュアルの作成と実施、報告書や売り上げ記録などの見本やひな形の作成、マニュアルに沿って行動した結果に対して、賞罰を与えるルールの設定などが考えられる。その究極の目的は作業の正確性と効率性の追求である。

このやり方はコンビニやファストフード店を始め、アルバイトが多くを占めるフランチャイズ店などで多く利用されている。プロでも素人でも関係なく、スタッフのやる気も関係なしに、ただマニュアルに従って行動してもらえれば、思い通りの結果が出せるはずだからだ。コンビニなどのアルバイトは入れ替わりが激しい。「実力があってモチベーションが高い人だけを採用したい」と思っても現実には無理な話だ。そんなアルバイトをいかに短期間で戦力に仕立て上げるかは店にとって死活問題だ。

マニュアルは高度な知識が必要とされる仕事にも用いられている。いわゆるノウハウ本などがあって、それに沿って考えれば問題解決につながるといったものも同様だ。しかし、これが甘いと、例えばラーメン店の味がチェーン展開した後で落ちて、失敗するなどの結果に終わる。

部分最適化を打ち破る

上記のように、役割を与えてその行動だけを評価し、ルールから外れたことをやるとマイナス評価につながるような仕組みを作ると、段々と「部分最適化」が起こる。これは自分に与えられたことはするが、他のことは知りませんという状態だ。これが行動コントロールのデメリットの一つでもある。

似たようなことは会社の成長時にも起きる。会社がまだ小さな時は、一人が多くの役割を兼任し、自然にみんなで助け合う。そして売り上げが上がればみんな我が事のように喜ぶ。ところが会社が大きくなるに従ってルールが増えると、イレギュラーなものは敬遠され、他の部門に下手に口出ししようものなら、反撃にも合うようになる。このような状態にならないために、「結果コントロール」や「環境コントロール」が必要になる。

「結果コントロール」は漠然と「売り上げアップを目指す」のでなく、売り上げアップに必要な「新規顧客を30%増やす」「リピーターを40%増やす」と結果に結びつく指標を具体的に掲げ、それをどうやって達成するのかはそれぞれに任せるスタイルだ。状況の変化に対して臨機応変に対応できる。しかし、しばしば見受けられるのが、まったく目標に関係のない指標を作って管理している例だ。これほど無駄なことはない。それ以外にも、ここでも失敗のリスクがあったり、数字に現れないものが無視されやすいなどのデメリットがあるので注意が必要だ。その典型例は押し売りに代表されるものを想像すればいい。

経営者の役割、責任が重要

「環境コントロール」は組織の文化(風土)をつくる根本的な要素をコントロールすることだ。具体的には経営理念や規律、評価・報酬システムなど、組織全体の雰囲気を作り出す要素や採用、トレーニング、配置など、人そのものに関わる事柄を指す。これらをコントロールすることで組織に人を引きつけ、同じ価値観を持つ会社を作るのが目的だ。

ここで最も大きな役割、責任を持つのは当然ながら経営者だ。どんな目標を目指し、どんな雰囲気の会社を作るのかは、経営者の志にかかっている。但し、志が高ければ高いほどそれで良いというわけではない。社長が熱く思いを語っているのに、社員が斜に構えて聞いていたり、しらけていては会社はうまく回っていかない。中間管理職がいる場合は、彼らの役割がとても大切になるところだ。

会社の成長度合いによってもどのコントロールが良いのかは変わってくる。経営者には過去の経験や精神論に頼るのでなく、ぜひこの3つのコントロールを意識して使い分けていって欲しい。

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