背筋がスッと寒くなる…残暑を払う電話にまつわる怪談3選

暑い日が続いていますね。こう暑くては残業もはかどりません。気乗りしないまま仕事をしていると、同僚たちが一人、また一人と帰っていきます。ふと、気がつけばオフィスに残っているのは自分だけになっていました。さっきまでは暑いとうんざりしていたはずなのに、一人になった途端、妙な寂しさと肌寒さを覚えます。ぽつんと自分ひとりが取り残されたような、孤独な気持ちに襲われたそのとき。

プルルルル、プルルルル。

一本の電話が鳴りました。手を伸ばし、受話器を耳にあてると……。

今回は暑気払い。背筋がスッと寒くなるような、電話にまつわる有名な怪談をご紹介します。暑い日の残業のおともにいかがでしょうか。苦手な方はご覧にならないでくださいね……。

しつこい電話

男性の元に一本の電話がかかってきました。知らない番号。出てみると、年配の女性の親しげな声が聞こえてきました。
「あ、鈴木さん?」
男性の名前は「田中」です。
「違います」
答えると、
「じゃあ誰?」
無遠慮な口調でそう聞かれました。あまりに失礼な様子に驚き、ムッとした彼が、
「誰なんて、そんなの言いませんよ」
そう言うと、電話は無言で切れてしまいました。

数日後。また知らない番号から電話が。覚えてはいませんが、前回の番号と似ているように思います。電話に出てみると、あの女性の声が聞こえてきました。
「鈴木さん?」
「違います」
電話を切って確認すると、やはり前回と同じ番号です。鬱陶しい。もうかかってこないようにと、着信拒否に設定しました。

それから一週間ぐらい経ったある日のこと。
また知らない番号から電話がかかってきました。
(最近変な電話が多いな)
無言で出ると、あの女性の声が。
「鈴木さん? ねえ、鈴木さんでしょ?」
親しげに、妙に弾んだ声で繰り返します。なんの疑いもなくそう言う様子が不気味で、なにも答えず通話を切りました。すると、途端に、

プルルルル、プルルルル。

着信を知らせる音が鳴りました。驚いたものの、しつこさにだんだんと腹が立ってきて、一言言ってやろう、そう思って電話に出ました。
「あ、鈴木さん? 鈴木さんだよね?」
やはり嬉しそうに繰り返します。無遠慮な口調もそのままです。
「違いますって! ちゃんと見て! 何度もかけて来ないでください」
腹立ちのまま、怒って言うと、女性の声がすっと男性のように低くなり、
「うん、だって田中だもんね」
そう言うと、電話は切れてしまいました……。

参考:「怪談・怖い話・オカルト・都市伝説な話」
http://kaidankowaihanashi.blog.fc2.com/blog-entry-149.html

5_明かりのついた不気味なホテル_small

笑う自殺者

旅先のホテルでの出来事です。
周囲に比べて頭一つ飛びぬけた高層ホテルからは夜景がよく見えるので、写真に収めようとカメラを取り出しました。美しい夜景に夢中でシャッターを切っていると、レンズの前を何かが通り過ぎました。上から下へ。かなり大きな白い何か。

飛び降り自殺だ。

気づいて、とっさに下を覗き込んで見ましたが、なにもありません。叫び声も聞こえず、歩道を歩いている人たちもなにも気づいていない様子です。
おかしいな、とカメラを確認してみると、そこにはたしかに落ちていく人の姿が写っていました。カメラを見て、にいっと笑う女性の姿が。

後日、ネットで調べてみると、女性の目撃談がいくつも見つかりました。
飛び降り自殺をしたものの、死にきれていないと思っているのか、あちらの高層ビル、こちらの高層団地を行き歩いては、飛び降り自殺を繰り返しているのだと言います。にいっと笑う不気味な女性の姿が恐ろしく、すぐにカメラで撮った画像を消去しました。すると、

プルルルル、プルルルル。

突然、電話が鳴り始めました。おそるおそる通話ボタンを押すと、「外を見て」という知らない女性の声が。操られるように窓の外を見ると、笑いながら落ちていく女と目が合いました。

ベランダに出て、女性が消えていった先を覗き込む勇気はとてもありませんでした。それからも女は死に場所を探してさまよっているそうです。いま、このときにも。

参考:「心霊-都市伝説ナビ-」
http://kyouhu.ldblog.jp/archives/22896734.html

5_錆びた下駄箱_small

さとるくん

「さとるくん」の話をご存じですか?
高校生を中心に流行っている都市伝説だそうです。公衆電話から10円玉を使って自分の携帯電話に電話をかけて切ると、「さとるくん」から電話がかかってくるという話です。「公衆電話、10円玉」という昭和感と「携帯電話」という平成感がハイブリッドしています。数日だけですが「さとるくん」をテーマにした映画「さとるだよ」も上映されたのだとか。トイレの花子さんのような有名怪談になりつつあるのでしょうか。

「さとるくん」はどんな質問にでも答えてくれます。しかしお願いには手続きが必要です。まず公衆電話から10円玉を使って自分の携帯に電話をかけ、「さとるくんさとるくん、おいでください」と唱えて切り、自分の携帯も電源を切ります。すると24時間以内に「さとるくん」から「今、どこどこにいるよ」と、自分の場所を知らせる電話がかかってきます。何度も電話がかかってくるたびに、「さとるくん」は近づいてきます。そして最後に、「今、後ろにいるよ」という電話が。このとき、振り返らずに質問すると、どんな質問にでも答えてくれるのだと言います。

もし振り返ってしまったら? もし質問が思い浮かばなかったら? そのときは「さとるくん」にどこかへ連れ去られてしまうのだそうです。どこかがどこなのかは、誰にも分かりません。

ちなみにこの都市伝説の元になったのではと言われるNHKみんなの歌「さとるくん」や、都市伝説をテーマにした「さとるくんの怪物」という児童書もあります。「さとるくん」に興味がある方はまずはここからスタートするのもいいかもしれません。ただし、小さなお子さんにこの話をするときには要注意。興味本位で試してしまわないように気をつけてください。

まるでハーメルンの笛吹にさらわれるように、もしお子さんが消えてしまったら……。それ以上に怖いことはなさそうです。