新年の計画通り進んでいますか

年が改まってすでに4分の1が経過した。時の経過の早さを嘆いたところで仕方ないが、中にはすでに新年に立てた計画が実態と大いに乖離してきていて困っているという方もおられるだろう。何を隠そう、私もその一人だ。そんな時、これまでだったら、新年の計画もろともこれから見込んでいたことも諦めてしまうか、また新年の計画に代わるものを新たに作るかといった選択になった。まあ、改めて計画を作ったところで、また数か月後には計画倒れ繰り返すことになることは目に見えているのだが。結局のところ、気休めということか。

このように計画が期待通りに進まないとき、私もそうなのだが人は生活を大きく変えることに考えが向かい勝ちだ。事務所の模様替えをする、午前中は事務作業に徹して午後からは営業に当てる、食事はジャンクフードを止めて菜食主義者にでもなってみる、休日は座禅を組みに寺に行くことを空想するなど。しかし、このような大きな変化を起こそうとしたところで、結局は手ごわそうなので何もせずに、不満を抱えたまま立ち止まってしまうことになる。人生の問題が一気にかたづくことはないのだ。

小さな変化を積み重ねる

しかし、いろいろな人生の話や仕事での転機を聞いていると、むしろ大きな変化を求めるより、小さな変化を積み重ねることが、目標にたどり着くには有効であることが多いことを教えられる。大阪市の助役を務めた弁護士の大平光代氏も小さな変化を積み重ねてきた一人だろう。

大平氏は22歳の時に人生をやり直そうとして就職先を探したが、中卒で資格もないから面接すらしてもらえなかった。そこで、テレビで知った宅地建物取引主任者の資格取得に向け、勉強を始める。それでも最初は机の前に5分と座っていられなかった。とにかく座る姿勢を体に覚え込ませようと、椅子に足を縛った。1時間から始め、トイレも行かずに5、6時間机に向かっていられるようになるまで、毎日縛り続けたそうだ。気が散るのを防ぐため、勉強に必要なもの以外は、机の周りから徹底的に排除したという。

そうして読めない漢字と意味の知らない単語ばかりだった参考書を、辞書を引きながら何度も何度も読んだ。繰り返すことで記憶が定着し、思考が深まる。持久力もつく。「最初から大きな計画を立てるとメゲルから、無理は禁物です。でも、どうせできないと、自分で自分をあきらめてもあかん」と大平氏。

単細胞生物は進化により植物や動物に

彼女のように、それまでの人生に成功体験が少ない人は失敗に慣れっこになっている。私の計画倒れも同じだ。失敗しても、「どうせそんなものさ」と思い、いつかやる気を失っていく。成功癖をつけることが大切なのだ。小さな成功体験でも、積み重ねていけば自信につながる。そうやって大平氏は宅建に続いて司法書士の試験にも合格した。徐々にハードルを上げ、その延長上に司法試験の一発合格があった。後から振り返ると奇跡のように見えても、「行動の変化」は奇跡とは違う。起こるべくして起こる仕掛けがあるのだ。

実際、自然界においても「革命」でなく、「進化」が好まれている。単細胞生物は徐々に形を変えて環境に順応し、最終的に複雑な植物や動物に進化した。大陸は長い年月をかけて海を移動し、今の形になった。そして、それは今も移動を続けている。人生や仕事においても、それは同じだろう。変化は過程であって出来事ではない。一度の決断で過去のしがらみを断つより、小さな変化を積み重ねて自分に価値ある方向に舵を取る方が有効であることが多いのだ。一発逆転ホームランなどは狙って打てるものでない。

失敗のコストが少ないメリット

小さな変化から始めることには、大きなメリットがある。何より失敗のコストが少なくて済む。失うものがほとんどないことに気が付けば、プレッシャーが減り、踏み出しやすくなる。控え目で現実的な目標の達成を目指すことで、着実に成功に向けた歩みを進めることができる。そして、それがまた自信につながってくる。

最初にその小さな変化を起こすための工夫は必要かもしれない。例えば、その一つが簡単に行動を起こせる環境を整えることだ。机の整理をするだけで仕事に没頭でき、必要な書類などを素早く探し出せるために、時間を効率的に使えることになる。また、昼の食事は仕事仲間とすることでコミュニケーションを活発にできる。計画の達成に障害となっているものがあるのなら、それを予め取り除いてやることも必要だ。

小さく舵を変化させるだけで、船はまったく針路を変えることができ、最終的に舵を切らなかった場合と比べて、まったく異なる場所に行き着くことはよく言われることだ。まずは小さな一歩から始めてみよう。