忙しいのは当たり前

「多忙は怠惰の隠れ蓑」ということばがある。「忙しい」とはオフィスや工場や店舗や、そして家庭の中においてさえも恐らく最も多く使われている言葉ではないだろうか。これを読んでもらっているあなたも多分毎日を忙しく過ごしておられることと思う。経営者であればなおさらのこと、むしろヒマな方がどうにかしている。

しかし、問題はその中味だ。忙しいのは、ひょっとしたら日々の細々としたことを対症療法的にこなして満足しているというサインかもしれない。いろいろな仕事があるということは、自分が重要な役割を担っているということかもしれないが、ひょっとしたら枝葉を枝葉として片付けているだけかもしれないという意味で、怠惰であることの表れかもしれないと考えるのだ。

対処療法だけで満足していないか

私が知っているある中小企業の経営者は資金繰りで苦労をしておられ、毎日銀行回りで本当に忙しくしておられる。言うまでもなく、資金調達で銀行から協力を得ることは大切な仕事だ。他の誰にも代えられないのかもしれない。だが、それだけで終わっていては銀行回りが必要なことの根本的な問題は何ら解決されておらず、経営者の仕事としてはいかがなものか。

念のために言っておくが、経営者は小さな仕事をするなと言っているのではない。小さなことも大切なのだが、経営者はその小さなことを通して将来を良くするための方向性を探り、取り組むべき重要な問題を見つけ、それに対処していかねばならない。

考えることを避けるな

だから、逆に「小さなことにいちいちかまっていられない」と考えるのも問題だ。資金調達は決して小さな問題ではないが、それ自体は経理担当者がいるのならその担当者に任せることもできる。しかし、そこで必要になる事業の立て直しの計画や今後の見通しなどは経営者自らが考えていかないと、資金調達のための銀行回りの必要性はいつまでも無くならない。

時間に限りがあるのは経営者だけではない。従業員だってそうだ。だからこそ、忙しさの中味をじっくり吟味する必要がある。そして、その忙しさがどこから来るのか、どうすればその忙しさを無くせるのかを考えることが大切だ。その考える手間を後回しにしてはいないか。

小さなことから大きな問題を探す

どうも人というのは、自分自身を振り返って見ても、できれば面倒なことは考えずに済ませたいと思う傾向が強いようだ。「忙しい」というのはそのための格好の言い訳になる。だから、顧客に満足してもらうために作ったマニュアルも、逆に顧客の状況やニーズに関わらず一律な対応になってしまい、当初の思惑とは異なり顧客満足度を下げる結果につながったりするのだろう。

小さな問題がなかなか無くならないとすれば、それは考えることのチャンスだ。小さなことが重要な問題につながっているのにそれが見つけられていないのか、問題に対処しているようで実は根本的な原因解決につながっていないのかもしれない。何よりそのことを考える時間を優先的にとらねばならない。