職場の喫煙対策4個の基礎知識

「ちょっとタバコ休憩へ行ってきます」と喫煙者が就業中に席を外す時、非喫煙者としては「(どうしてタバコ休憩は許されるの?)」という思いがよぎります。
気分転換も必要ですが、社員の公平性という点では非喫煙者から不公平と捉えられても仕方がありません。
また、受動喫煙も問題視されており、企業には受動喫煙対策が求められます。

「企業が就業中の禁煙を強制することは問題ないのか?」など、職場の禁煙対策をする上で知っておきたい基礎知識を4つご紹介したいと思います。
喫煙者も非喫煙者も、社員が快適に働ける環境を作るのは会社の務めです。
これから禁煙対策を講じる予定の企業は、喫煙と禁煙をどのように捉えればいいのか、基本的な考え方を知っておく必要があります。

就業中の禁煙強制は問題なし?

法律では「喫煙の自由」が認められていますが、最高裁の昭和45年9月16日の判決では合理的な理由があれば制約できると考えられるという判決がでています。

たとえば、会社側がタバコ休憩で喫煙のために休憩に行くことを止めさせたいとします。
休憩時間を除き、勤務時間内に喫煙目的で業務を離れることで業務にマイナスの影響が出るなら、会社側は勤務時間内のタバコ休憩を制限できます。
就労者は「職務専念義務」により、自分の職務に専念する義務がありますので、休憩時間外のタバコ休憩を禁止することは可能です。

非喫煙者からすれば、「なぜタバコ休憩は許されるのか?」という不満を持つのも当然です。
休憩中に喫煙するのは問題ありませんが、「職務専念義務」や平等性を考えると、就業中の禁煙強制は合理的であると言えます。

受動喫煙対策も企業の安全配慮義務?

近年、受動喫煙の有害性が医学的に指摘されるようになり、受動喫煙対策を講じる企業が増えています。
受動喫煙対策は企業の安全配慮義務に含まれるとされ、もし義務を怠ると従業員から損害賠償を請求される恐れがあります。

では、喫煙室を設けていれば、きちんと受動喫煙対策しているとみなされるのでしょうか?
喫煙室からタバコの煙が漏れることもありますし、狭い喫煙室ではタバコの煙が充満して衣服や髪に付着しやすく、喫煙者の衣服や髪からニオイや有害物質がうつることもあるため、喫煙室を設けるだけでは不十分と言えます。

充分に受動喫煙対策を講じるなら、屋内は全面喫煙禁止にし、喫煙は屋外でのみ許可するなど、社内での喫煙を禁止する必要があります。

非喫煙者に限定して採用するのは問題ない?

日本には「採用の自由」という原則があり、どのような人材を採用するかは雇用者の自由であるとしています。
ですので、非喫煙者に限定して雇用することも可能で、喫煙者不採用を明確に謳っている企業もあります。

性別や年齢制限を設けることは雇用対策法で禁止されていますが、公序良俗に反していない採用基準であれば違法とみなされません。
接客サービスなど、喫煙の有無が無関係とは言えない業種もあり、喫煙を禁止する理由があれば非喫煙者に限定して採用することは可能です。

禁煙支援も含めた禁煙対策を

頭ごなしに禁煙を強制すると、喫煙者との間に摩擦が生じてしまいます。
まずなぜ社内を禁煙にする必要があるのかをしっかり説明することが必要です。
喫煙者に納得してもらった上で禁煙対策を講じないと、企業と喫煙者の関係が悪化するだけでなく、喫煙者対非喫煙者という対立構造が深まり、職場の雰囲気が悪くなってしまう恐れがあります。

企業には禁煙支援を含め、社内を禁煙にすることを社員に理解してもらい、喫煙者も非喫煙者もお互い快適に業務が行える環境を作ることが求められます。
受動喫煙対策は企業の義務ですので、喫煙者、非喫煙者の双方の立場を考え、一方的にならず、公平に働ける環境作りをすることが大切です。