商品やサービスの売り上げを左右する価格。今回はその価格の設定に関わるいろいろな戦略をまとめてみた。

いろいろある価格の設定方法

〈コスト志向の価格設定〉
コスト志向の価格設定においては、製品やサービスの原価に一定の利益を上乗せすることで価格が設定される。この方法は「コストプラス法」とも呼ばれるが、流通業では「マークアップ法」と呼ばれることもある。製造業では、コストは製品の製造原価となるが、流通業ではコストは仕入原価になる。流通業の場合は、仕入原価に一定の値入率を掛けた値入額を算出し、仕入原価に上乗せして販売する。

〈需要志向の価格設定〉
需要志向の価格設定では、消費者の需要に合わせて価格を設定する。この方法によると需要が供給より大きければ高い価格を設定し、需要が供給より小さければ低価格を設定する。例えば、旅行のパッケージツアーなどでは、需要の多い季節には需要の少ない季節の数倍もの高い価格で販売されていることも珍しくない。

〈心理的価格設定〉
消費者の心理を重視して価格を設定するのがこれだ。この中にはいくつかの種類がある。
・名声価格
「威光価格」とも呼ばれる。あえて高い価格をつけることで、消費者に高い価値があることを認識させるような価格。例えば高級時計などのブランド品は、値段が高い方がステータスが上がり、低い価格を付けた時よりも売れることがある。
・端数価格
端数価格は980円など、あえて値段を端数にした価格の設定を指す。9や8が付く端数価格を付けると、消費者は実際よりも値段を安く感じることが多いため、食料品や日用品などで特によく用いられている。
・慣習価格
慣習価格は消費者が慣習的に一定の価格のみ受けれているような価格。例えば120円で売られていることが多い缶ジュースなどがそれに当る。缶ジュースは120円より高くなると、需要が急激に減るとされている。よって120円という価格の線が守られているというわけだ。

〈競争志向の価格設定〉
競争志向の価格設定では競合の価格を重視して価格が設定される。その代表的なものとして実勢型価格設定と入札型価格設定がある。
・実勢型価格設定
実勢型価格設定は競合企業の実勢価格に従う。一般的には価格を支配的に決定しているリーダー企業の価格に追随することが多い。例えば、家電量販店では競業の店舗より安いことを売りにしている店舗が多くある。このように実勢型価格設定は、消費者が価格差に敏感な製品によく使われる。
・入札型価格設定
入札型価格設定は、契約が入札で決定される場合に用いられる。入札では最も価格が安い企業が契約を受注できるため、入札に参加する競合企業の価格を予想しながら価格を設定する必要がある。

新製品を出す時に考えるべきこと

特に新製品の価格設置には以下の2つの戦略がある。
〈上澄み吸収価格戦略(スキミングプライス)〉
これは「初期高価格戦略」とも呼ばれる。新製品の発売当初、高い価格を設定し、価格にそれほど敏感でない消費者に販売する方法。新製品の発売当初は価格が高くてもその購入に走る消費者層が一定程度いて、そうした顧客層を狙って高価格で販売する。
上澄み吸収価格戦略のメリットは利益率が高く、新製品のコストを早く回収できることだが、一方で価格を高く設定したばかりに、実際にはあまり売れない恐れも抱える。上澄み吸収価格戦略が成立するには、新製品の品質やイメージが高く、競合ときっちり差別化できており、模倣されにくいことが必要だ。
しかしどんな新製品でもいずれは競合に模倣されて価格競争になっていく。始めは上澄み吸収価格戦略で高価格を設定しても、次第に価格は下がっていくのが一般的だ。

〈市場浸透価格戦略(ペネトレーションプライス)〉
「初期低価格戦略」とも呼ばれる。上澄み吸収価格戦略とは逆に、新製品に安い価格を設定し、大量に販売することでシェアを早期に高める戦略を指す。
市場浸透価格戦略のメリットは一気にシェアを高めることで、競合よりいち早く安いコストで生産できるようになるため、将来的に競合より安い価格で販売を続けることができることだ。この戦略が有効な条件は、消費者が価格に敏感であること。つまり、価格を下げた場合に消費者が敏感に反応し、需要が増加することが必要となる。
市場浸透戦略は模倣されやすい最寄り品でよく見られる戦略だ。

製品の組み合わせによる価格設定方法

〈抱き合わせ価格〉
複数の製品を組み合わせてセットで販売する方法。上下セットの服や、ソフトが予め組み込まれたパソコンなどがその例だ。

〈プライスライニング〉
プライスラインという段階的な価格帯に沿って製品を販売する方法。スーツやメガネなどでプライスラインを設定している店舗があるのはご存じの通りだ。プライスラインを設定することで消費者に製品を選択しやすくすることができる。

〈キャプティプ価格〉
メインの商品を安くし、それに付随する製品を一緒に購入してもらう戦略。メインの商品を安くすることで顧客を取り込み、付随する製品で儲けるのが狙い。

商品やサービスの価格は一度設定すれば終わりではなく、需要の変化や競合の状況などによって調整してやる必要が生じる。そこではいろいろな割引が行われることになる。価格は事業活動にずっとついて回る大切な戦略の要素であることを改めて肝に銘じよう。