顧客にきちんと向き合っていない!

手元に2017年11月にインターネットで調査されたもので、顧客が営業担当者に感じる不満を順番に掲げた結果がある。興味深かったので引用すると、まず不満に思っている中で断トツに多かったのが「あなたからの質問やリクエストに対する反応が遅かった、または放置された」の55.6%、「あなたからの質問やリクエストに対する反応が的外れだった」の41.5%だった。つまりトップ2が「リクエストに対する反応の悪さ」に関するものだった。何故「反応の悪さ」といったことが起こるのだろう。これは推測にしか過ぎないが、私の経験からも合わせて考えると、それは営業担当者が求められる“効率”と相反するところがあるからではないか。

最近の“働き方改革”も推進される営業現場では、なるべく時間をかけないで営業する(結果を出す)ことが求められるあまり自然と会社の都合を押し付けるような営業の仕方になってしまって、顧客から見ると「反応が悪い」ように見えるのかもしれない。営業担当者は効率を求められるあまり、会社からは売る側の方針や目標に関する情報をますます大量に受け取るようになっている。そうするとただでさえ顧客の情報については情報不足に陥っているのに、顧客に丹念に聞いてみることもせずに一方的な営業になってしまっている可能性が高くなっているのではないだろうか。

「もう一度会いたい」と思ってもらえてますか?

このようなズレがあることは会社の営業に決定的なダメージを及ぼすものであることは明白だ。私の会社に来る営業担当者を見ても、打ち合わせや電話、メールの仕方などから、「この営業担当者は素晴らしい」と感じることは稀なように思う。世の中の多くの営業現場では「信頼関係を築くために顧客への訪問回数を増やして、小まめに連絡をとろう」などと指導をしたりしているが、これではどんなに接触や連絡の頻度を上げても、それで顧客の信頼を得られているのかははなはだ心もとない。早い話、皆さんにも「もう一度あの営業担当者に会いたい」と思うことが一体どの程度あるだろうか。

営業には、ただでさえ気付かないうちに自社に都合良く、顧客とズレた行動をとりがちになるという傾向があるとされる。このことは裏返せば、個性の違いはあっても、顧客との間にズレを感じさせないというポイントを押さえることができたり、ズレに気付いて解消し続けていくことができれば、自ずとある程度は成果を上げられるようになるということだ。人手不足のため肝心の顧客との接点まで“効率化”を追い求めてはいないだろうか。実際に売上を上げている会社では、実際に顧客と関わる時以外の業務はできるだけ効率化しているが、その効率化によって生まれた時間を顧客との接点に余裕を持って充てていたりする。この差は大きい。

価格を理由に逃げるのは営業の仕事ではない

なかなか成果を上げることのできない営業担当者が大体言うのは「結局顧客は価格で決める」という言い訳だ。確かに私自身を振り返っても、「安く買いたい」というのは常に思っていることで、それは自然な心理であろうと思う。しかし、この「安く買う」というのは、よくよく考えてみれば、「何が何でも他社より金額が安い」ということより、「費用対効果への納得感」であることが多い。もちろん、普段の生活の中で買う最寄り品・サービスなど他社より安いことを第一にするものもあるが、「費用対効果への納得感」からくる営業の可能性はとても大きい。

営業のクロージングで顧客から「もう少し価格が何とかならないか」と詰め寄られたら(実際に私もよくこれを言うが)、「高い」と言われてすぐに「値引き」につなげる営業は、価格以外に戦う術を知らないというほかない。「営業の勝敗は価格で決まる」と頭から思い込んでいるとしたらもったいない。「価格」と言われても、それが「費用対効果への納得感」を指しているのか、「他社と比較した金額」のことを言っているのか、よくよく考えなければならない。そして、冒頭の調査結果に戻るのだが、「顧客からの反応の悪さ」に対する不満は、「費用対効果への納得感」の欠如が大きいことをうかがわせる。

なかなか分からない企業の本音

BtoBの仕事に関わっている方のように、特に長期的な関係を求められる企業にとっては、この当たりの顧客(企業)の本音はなかなか読みづらかったりする。自社の提案が断られた時に、「他社の方が安かったから」とか「提案に内容が合わなかったから」といった所謂、“建前”の理由で語られることがほとんどだからだ。その他にも、「他社の提案が素晴らしかった」「会社の方針だから」といったように、まるで「あなたのところに落ち度はなかったのだけど」と言わんばかりの理由を並べられると、提案が通らなかったにしても言われた方も悪い気はさほどしないものだ。

しかし、その本音は冒頭の反応の悪さだったり、「営業担当者の対応が悪かったから」「既存の取引先の方が安心感がった」などだったりすればどうだろう。言わなかったけど、実際にはこう思っていたというやつだ。こうした本音が隠されがちなことも、成果が出ない営業が“壁”を乗り越えられない一因となっているのではないだろうか。願わくば顧客から本音を聞き出せるような信頼関係を築いていきたいものだが、そのためにはどうすればよいのか。それをこの後、引き続き考えていきたいと思っている(ご意見・ご感想を求めています)。