左脳だけではダメ

「左脳経営」という言葉がある。数字や効率だけを重視して経営することを指す。
これに対して、「右脳経営」は、例えば従業員のやる気を掻き立てるといったことに当たる。

一見非効率に見える「人を育てる」ことにしても、経営にとって言うまでもなくとても重要な要素で、これを欠いては会社は成立しない。

人間に活動時間と休息・睡眠時間が必要なように、左脳経営と右脳経営の両方があって初めてバランスがとれるものと考えられている。効率ばかりを重視する左脳経営は、短期的に発展することはできても、長期的に見るとそれだけでは存続できない。ひらめきもアイデアも、決して理性だけで成立するものではなく、右脳的な発想が必要だとされている。

バランスが大切

子育てを例に挙げると分かりやすいかもしれない。子育ては実に非効率なものだ。子どもは当然のことながら、効率を考えて生きていない。その時々の楽しいことに夢中になる。そして、好きなことに対しては、大人が想像できないスピードで情報を吸収していく。

駅前で立ち食い蕎麦のチェーン展開をしている社長は、出店に際して、まず土地を決めるのだが、立地などの左脳的なデータももちろん必要なものの、道の前を通る人の表情や、「ここは繁盛するかもしれない」という勘も必要だと話す。「もっともっと右脳的な部分を使っていいのかもと思う。左脳的な思考だけで経営をしていたら失敗をする」と話す。

「直感」の奥深さ

また、この社長は、決算書や経営計画書、業務報告書なども、多忙でゆっくり読んでいる時間がないのが現実で、「書類を確認するときには、ポイントがどこにあるのかという見極めと、違和感のあるところはどこかということに意識を集中して見るようにしている」そうだ。

そうすると、決算書においても「気になる数字が見えてくる」のだそうで、「あれ、これは何だ?」と感じるという。
実際に気になる数字の部分を探っていくと、そこに問題があったり、無視してはいけない部分だったりする。
これは「直感」とも呼ばれるものだが、「これで十分チェックはできている」と話す。

最良の決断のために

この蕎麦のチェーン店の社長がそれ以外の書類を読む時も、まず全体を俯瞰しながら、気になる数字や単語を拾っていくのだそうだ。すると得たい結果に到達するためには、何が問題なのか、何を付け加えなければならないのかが自然に分かるという。

社長の行動を読み解いていくと、経営者にとって時間の無い中で最良の決断を下すには、まず具体的に目的を絞って意識を集中し、情報を収集することが大切なのかと感じる。

会社の経営者ともなれば、何となく時間を過ごすということができないものだ。のんびり語り合う時間が悪いわけではない。時間に余裕があることは素晴らしく豊かなことでもある。
しかし、意識を集中して左脳も右脳も使い切るぐらいにして、初めて拓かれる道もあることを教えてくれる。