日記で成功を手に入れる

いろいろな方にお話しを伺っていると、経営者の中でも日記をつけている方が意外に多くおられることに驚かされる。「意外に」と言ったのは、何かとお忙しく、夕方から夜遅くにかけても仕事などの付き合いで時間を取られることが多いイメージが頭にあって、1日の終わりに日記などをつけている時間も暇もないだろうと頭から思っていたからだ。でも私がこれまでお会いした経営者の方々はそうではなかった。やっぱり忙しいのはその通りとしても、時間を作ることが上手な方が多かった。そして、日記の効用について理解し、その実践を習慣にしておられるのだった。

日記と一口で言っても内容はさまざまだろう。私がそれぞれの日記を拝見したわけでもないので一概には言えないが、スタイルはさまざまで、それこそ一言だけで終わっている日記も中にはあるのかもしれない。しかし、まさにその日記が、「いい習慣作りをして成功を手に入れたり、感性を磨いて幸せを手に入れるのに役立つ」と主張する方がおられる。ご自身、「されど日記で人生は変わる」(三笠書房)という本を書いておられる日本そうじ協会理事長を務めておられる今村暁氏がその人だ。同氏は日記をもっともシンプルでかつ強力な「自己改革メソッド」であると紹介している。

書くのは5つのことだけ

何故日記にそれほどの力があるのか、毎日漫然と日記を書いているだけの私には分からなかったが、そのために日記で書くことがあるという。「ほら、やっぱり難しいことを言われそうだ」と思われた方もおられるかもしれないが、ご安心あれ。同氏が話される日記で書くことというのは、基本的にたった5つだけだ。分量も最初慣れるまでは1分~3分間程度で書けるくらいで十分だとおっしゃられる。さらに、「好きな時に好きなところで、何なら書きたい項目だけ書けばOKです」とまで言われたら、普段日記を書かない人も一度試してみる価値が出てくるのではないだろうか。

余計なことは後にするとして、その日記で書くべきことというのは、①「夢・目標」、②「やりたいこと」、③「今日の出来事」、④「今日の感謝」、⑤「今日の成功法則・学びの言葉」の5つだという。これを毎日書き続けることで、自分への理解が深まり、人生が好転するのだという。例えば、例として挙げているのを見ると、①「夢・目標」は「海外で仕事をする。ビジネス英語を身につける」。②「やりたいこと」は「セミナーを受ける。静かなところでゆっくり休みたい。…」。③「今日の出来事」は「実家に帰り母と会う。元気そうで何より」。④「今日の感謝」は「両親のおかげで今がある。ありがたい」。⑤「今日の成功法則」は「心構えとは心の構え。積極的にしてから物事に取り組もう」。といった具合だ。

「夢・目標」は朝に書く

このように書くのは5つなのだが、これを毎日朝と夜に2回に分けて書くのがコツだという。朝に書くのが①の「夢・目標」と②の「やりたいこと」の2つ。そして、夜に書くのが③の「今日の出来事」、④の「今日の感謝」、⑤の「今日の成功法則・学びの言葉」の3つだ。「夢・目標」は毎日日記の一番初めに書いて、自分の欲求がどこにあるのかを確認するのだという。このため、なるべく具体的にはっきりと書くことが大切と呼び掛ける。例えば、「大金持ちになりたい」というのでなく、「貯金で1000万円を貯める」と書くということだ。夢や目標が漠然としていると具体的な行動が起こせない。

「やりたいこと」というのは、「夢・目標」よりもっと短期的に実現したいことを指す。ここで大切なことは、できるかどうかではなく、「自分が今、やりたいと思うこと」を素直に、そしてシンプルに書くということ。面白いのは、その日のメンタルの調子によって、この「やりたいこと」が次から次へと出てくる人がいれば、まったく考え込んでしまう人もいることだという。なかなか思い浮かばないという人は、この日記を毎日続けることで、心の底に隠れている感性を少しずつこじ開けるように

自分を知る

「今日の出来事」や「今日の感謝」を日記に書くことの狙いは感性を上げることにある。だから「今日の出来事」では「何があったのか」より「どう感じたのか」を書くことが大切になる。喜怒哀楽について正直に書くことで自分のその時々の気付きが得られるのだが、何より自分が何に対してどう感じる人間なのかを知っていける。また感謝することは周囲をそれだけ観ることができるようになるということでもある。「少しも感謝できない」ということがもし続くようであれば、それは環境を変えても不満が続くことを意味する。それはそれで自分がそうと分かれば、自分の心の改善につなぐことができる。

最後に「今日の成功法則・学びの言葉」を書くのは、振り返ってみた時に自分なりの成功法則集として貴重なものになるはずだ。書店などですでに他人が書いた成功本が数多あるが、それを素直に読めなかったり、どうしても斜めに構えて読む人でも、自分の経験から得た成功法則であれば素直に心に響くだろう。「どうも今日は意欲が出ないなあ」という日があっても、自分の成功法則を読めば力が湧いてくるかもしれない。こうして日記を通して自分のことが良く分かってくると、物事も自然に好転し、毎日が楽しくなっていくのだと今村氏は指摘している。