商品やサービスに独創性

事業を営んでいて何はともあれ一番気になるのは売り上げであることはほとんどの人に同意いただけるものと思う。何しろ売り上げが上がらないうちは儲けも何もないのだから。売り上げがあって、初めて儲けを上げる工夫をすることもできる。それに何より、売り上げというのは、その商品やサービスがいかにユーザーに受け入れられているかの指標ととらえれば、売り上げが上がらないというのはユーザーからその商品やサービスが支持されていないことの何よりの証となり、そんな商品やサービスを提供している企業は社会に存在する意味がないことになってしまう。

だから売り上げを上げることは大切だ。当たり前のことなのだがそれを実現するのは難しい。何故難しいのかと言えば、その提供している商品やサービスに大いに独創的で、誰が見ても特徴的なのであれば別だが、大抵は似たようなものがたくさんある中で自社の商品やサービスが埋没してしまっているからだ。ユーザーに他と似たような商品やサービスを提供し続ける以上、ユーザーが購買に当たってできるのは、どれが安いかという判断に基づくしかなくなっていく。そこでいかに自社の商品やサービスが他社とは異なるのかということを示すには、ユーザーが抱える悩みにいかに異なるアプロ―チで臨むかが大切になる。

発想を変える

例えば、スーパーの買い物客が長い列を作って清算するのを待っている状態があった時、その問題を解消するのに、「いかに待ち時間を短くできるか」という問いを掲げたとするとどうなるだろう。「レジを増やす」とか「カードで清算する人の専用レジを作ってできるだけお金のやり取りを無くすことで1人当たりの清算時間を短くする」といった対応や、その他大体似たような対応が出て来ることが予想される。でも、その問題を「いかに退屈な待ち時間を楽しくできるか」という風に変えるとどうなるだろう。現実的かどうかは別にして、「待っている人に向けて季節の野菜を取り入れた料理の仕方をビデオで流す」とか違った工夫が出て来るのではないか。

要はユーザーが抱える問題に対する問いの立て方が、どれだけ他と異なる視点でできるかということだ。そして異なる視点を持つためには、普段当たり前と切って捨てていることの中にも、実は当たり前ではないという考えをいかに持てるかが大切になる。そのためには生活の中でも、「何故○○はこうなっているのだろう」とか「何故△△がここにあるのだろう」といった問いを常に発するような考え方が必要になる。それが難しいと考える人は多いだろうが、それならもっと簡単だと思うのが、自分はこんなユーザーのこんな悩みを徹底的に解消していくという風に決めて、そのユーザーのことなら他の人に負けないくらいに考え抜くことだ。

認知度を上げる

そうして、独創的な商品やサービスができても、まずそれらがユーザーに知られなければ売り上げは立たない。売り上げというのは、その商品やサービスを知っている人がいて、かつその中で買う確率がいくらあるのかの掛け算で決まる。売り上げがまだまだ小さな会社で多いのが、事業年度初めに立てる年間の売り上げ目標を、例えば昨年度の2倍にするといった風に立てることだ。その結果、売り上げは昨年度の1.3倍に留まったとか、あるいは計画通り2倍に達したといって、一喜一憂している状態が多い。しかし、ある調査によると年度初めに立てた目標が達成できる確率は8%しかないと報告されている。

ここでの問題は2つ。目標を努力しないといけない要素の結果にしてしまっていることと、目標設定の期間が長いことだ。どういうことか1つずつ説明する。まず、目標設定だが、売り上げを上げるためにはその商品やサービスの認知度を上げなければならない。例えば認知度を2倍にするというのなら話は分かるが、売り上げを2倍にするとしたところで、何をどうすれば売り上げが2倍になるのかが分からない。また、目標の設定期間も1年間とするのは長過ぎる。1年間の間に必ず取り組みの強弱は生まれるものだし、仮に取り組みが不足してそれが分かるのが1年経ってからというのでは、成果を取り戻すタイミングが遅すぎる。振り返りの期間は長くても3カ月が常識的なところじゃないだろうか。

売り上げが上がる楽しさを追求

そして、それぞれにまだ問題はある。商品やサービスの認知度を上げる時、皆さんは何を使うだろうか。ここでも多いのはチラシや広告だが、得てして人は自分の知っている方法や、媒体を使うことに集中してしまいがちだ。失敗する人ほど、最初から選択肢を自分の知っていることに絞って、我流に囚われる。しかしそれでは世の中の変化に取り残されるだけだ。どんなに苦手であってもYou TubeやツイッターなどのSNSなどに取り組む必要があることを認めなければならない。もし自分がどうしても苦手なら、得意な業者を使ってでも対応する必要があるのではないか。

成果を上げるためには毎日の行動が大切になる。どんなに忙しくても、人は毎日歯を磨き、服を着るように、認知度を上げて、その中から買ってもらう確率を上げるために毎日の行動が大切になる。それを具体的に上げてチェックしていくことが必要だ。個人事業主の方の中には、「売り上げはもうほどほどで良い」と言われる方とお会いする機会もあるが、本当にそう思っておられるのなら残念だ。ユーザーに認められるほど売り上げは上がる。その広がりが、始めはその商品やサービスという「点」なのが、一連のサービスの広がって「線」になり、その評判が他のユーザーへのつながり「面」になる楽しさを放棄しているに等しい。その楽しさを実感できれば、売り上げはただ儲けること以上のものを伴ってくれる。