後悔の必要のないミスもある

仕事の上に限った話でもないが、何をするにしても人が関わる以上、ミスはつきものだ。ミスを起こしてしまった以上は反省する必要がある。しかし、ミスにもいろいろある。挑戦したことによるミスは、反省はしても後悔する必要はない。挑戦なくして人として、また仕事そのものの成長はあり得ないからだ。私も小さな頃から「継続は力なり」といわれ続けてきたが、もちろんそれは同じ事だけをただ繰り返して、極力ミスを避ければ良いという意味ではない。継続で得た力や発見を次につなげ、行動をするから、その力が生きてくるのだ。

私も挑戦した結果のミスなら、その経験が自分の生き方をより多彩に、そして面白くしてくれると信じている。よく「楽観的なんですね」と言われるが、そうかもしれない。それでも、ミスをしてしまった時、どうしても「しまった!」と心は乱れる。ミスが怖くないかと言えば嘘になる。でも、自分を信じて行動していくところに他からの信頼も集まってくるのだと考えている。仕事でミスが怖いなら、そんな仕事は真っ先にロボットにでも任せればいい。周囲にも「自分を信じてミスを恐れず、まず一歩を踏み出してみよう」と私は言い続けている。

 

準備不足を避ける

一方で、後悔の種になるミスは無いに越したことは無い。そんなミスの原因は、準備不足、確認不足、見逃しなどにあることが多い。それを防ぐにはまず、何事も余裕を持って仕事に取りかかることが第一であることは言うまでもない。しかし、疲れていて体が動かず、ついボーッとしているうちに時間だけが過ぎてしまったということもありがちだ。そんな状態にある時に、良い仕事ができるとは思えない。日頃から体のケア、毎日のスケジュールの調整などは最低気をつけておきたいところだ。プロスポーツの選手などが試合に入る前に縁起を担いで、同じ仕草をすることは珍しいことではないが、これも見方によれば、自分の体の声を自然に聞いて調整に役立てているのだと考えることもできる。

最近は出退勤の時間がまちまちな職場も多くなり、以前のように、始業前にまず掃除や整理整頓をしてから仕事に取りかかることも少なくなっているように感じるが、掃除や整理整頓は常に職場にあっては基本中の基本ということをわきまえなければならない。これがオフィスだと意識しづらいかもしれないが、例えば、それが建設現場のようなところだと、その基本を怠ったが故に直接自分の命に関わる事故が起こることもあり得る。デスクの中に使い捨てのお掃除シートを入れておき、さっとパソコンの画面や上のホコリを取るだけでも、その日の仕事に気持ち良く取りかかれるものだ。

仕事の本質をわきまえる

よく「報連相」ということが言われるが、これも仕事を進める上での基本だろう。実際には、「相連報」の順番で事が起きる。まず、何か迷ったり、不安がよぎるようなことが起きた場合に、自分一人の経験値で判断するより、周囲のアドバイスを聞くことで思いもつかないようなアイデアも生まれる。しかし、この「相談」をすることに何故か抵抗感を持つ人がいる。ひょっとしたら職場の雰囲気に問題があるのかもしれないが、「相談するなんて判断力がないと思われないか」「こんなことで相談するのは恥ずかしい」・・・といった仕事本来の目的じゃないところで悩むのはやはりおかしい。

「連絡する」ことを怠るのは、単純ミスによるものが多い。つまり、「後で連絡するつもりがうっかり忘れた」といった類いのものだ。大切な連絡は「即する」ことが鉄則。目の前の仕事が多少中断されたとしても、伝えなくてはならないことが発生したら即行動することが大切だ。この伝え忘れが引き起こすミスは、後悔しても仕切れない。そして、最期に必ず「報告する」。日報を提出することをルールにしているところも多いだろうが、マンネリ化していては意味がない。中には上司に報告さえしておけば、自分の責任回避になるという発想の人もいるが、それは明らかに仕事の本質を見失っているので要注意だ。

自ら足を運んで確認する

最近のデジタル社会では、自ら取り組む仕事の一つひとつの現場との結びつきを感じることが難しくなっていることが傾向としてあるように感じられる。そうした際、特にその仕事に取り組んで日が浅い内は、現場に「足を運ぶ」ことを厭うようではいけないだろう。わざわざ足を運ばなくても、ネットで済ませられることも多いだろうが、そんな場合でも常に仕事は人と人との関係の上に成り立っているものであることを肝に命じておかねばならない。何より自分の目で確かめる習慣がついていると、ミスは自然と起きにくくなるものだ。

人間の心理は複雑なものだ。本当はきちんと理解できていなくても、顧客に気を遣ったり、上司の信頼を失うことを恐れたり、後輩の手前メンツを保つために、「分かったふり」をすることも多い。しかし、うやむやの内に進める仕事ほど大きなミスにつながるリスクが大きい。仮にミスにつながらなくても、仕事の効率は悪くなる。建設現場に例えれば、命綱なしで仕事をするようなものだ。やはり目先の心情に囚われることなくしっかり確認して仕事にとりかかりたい。私も「もしこれが建設現場なら」といった危険な現場を意識することで、仕事の基本を怠らないようにしている。