国連での大きな流れ

今や社会とのつながりを意識することは、規模の大小に関わりなく企業が存続するのにとても大切なことになっている。もともと「持続可能な開発目標」と訳されているSDGsは17のグローバル目標と169の達成基準(ターゲット)から成る国連の開発目標だ。2016年から世界的に導入が始まり、各国政府は目標を国の法律に落とし込み、行動計画を立て、予算を設定すると同時に、パートナーを積極的に募らなければならない。日本でも政府は「推進本部」を設置し、実施のための指針を決定している。経団連では特設サイトを立ち上げるなど、企業のSDGsの推進を後押ししている。

こうした流れを受けて、SDGsへの取り組みを始めている企業は多い。SDGsにあやかって目先の売上高を上げるためというよりは、それぞれの企業がこれからの社会の中で何ができるのか、どういったことで貢献ができるのかを積極的に考え、取り組んでいるのだ。そうした流れに、「そんなことに目を向けている余裕はない」と言ってしまうのは簡単だが、それでは最早長期的な発展は望めない。今抱えている企業の課題、例えば人手不足対策などもその良い例だと思うが、そうした課題を根本から解決することはできなくなっている。かといって、何も大上段に構える必要はない。できるところからやれば良いのだ。

社員食堂でも取り組みが始まっている

「MSC」や「ASC」のマークを見て、これが何を指すのか分かる方は、さすがにまだ少ないのではないだろうか。「MSC」は天然の水産物を、「ASC」は養殖水産物を対象にした国際認証だ。水産資源が乱獲と海洋汚染で危機的な状況にあることを知らせるため、こうしたマークを使ってその認知度向上に役立てている。

パナソニックは社員食堂で、この持続可能な漁業で獲られた水産物「サステナブル・シーフード」の普及に取り組んでいる。生産者から給食会社までのサプライチェーンを整備して、他社にも採用を促している。同社の社員食堂の前には、「MSC」や「ASC」のマークが付いた幟やパネルが並べられており、魚料理が敬遠されがちな中、人気の食材と組み合わせたり、女性視点を重視した見た目で選びたくなるメニューを開発したりしてアピールをする。

その甲斐あって、社員食堂の人気のバロメーターと言われる選択率20%を大きく上回る支持を得ているという。サステナブル・シーフードを選ぶ意義を知った社員は、スーパーなどで水産物を購入するとき認証マークが付いた水産物を選び、友人などにも紹介するようになった。さらに普及を確かなものにするために、パナソニックでは導入検討中の企業や自治体、団体とのネットワークも立ち上げている。

中小企業でも

神奈川県の中堅の印刷会社では3年前、事業活動で発生する二酸化炭素の排出を実質ゼロにした。他の場所で削減した二酸化炭素の削減量をクレジットとして調達し、自らの排出を打ち消すカーボンオフセット(炭素相殺)の仕組みを活用する。事業全般で発生する二酸化炭素全量のゼロ化は印刷業界でも初めての試みだった。

同社ではそれまで工場やオフィス、印刷物の輸送などで発生する二酸化炭素は年間175トンに及んだ。この中には、電力や燃料以外に水道の使用に伴う二酸化炭素も含む。それまでも印刷物の制作分の二酸化炭素の排出を無くすカーボンオフセットは多くあったが、事業全般に渡り無くすことで温暖化防止の意識の向上につなげた。

同社ではもちろん、二酸化炭素排出ゼロの表示を積極的に利用することで、広告宣伝効果を狙いもしたが、効果はそれだけではなく、これらの取り組みを通じて、自分たちの仕事が世界の課題とつながっていることが認識できたとしている。同社での取り組みはそれ以降も広がり、地域での活動も活発になっている。それが従業員の家族を含めた意識の変化をもたらし、それらがまた従業員の働くことの充実感を高めている。人材採用面なども含め、効果は2重3重に拡大している。

投資の視点にESG

SDGs自体が横文字で、しかも「国連の開発目標」とくれば、何だか小難しいもののようにも考えがちだが、ちょっと例に挙げただけでも決してそんな大変なものではないということがお分かりいただけたのではないだろうか。

SDGsが掲げる17の開発目標は、もともと貧困や飢餓といった問題から、働き甲斐や経済成長、気候変動に至るまで、21世紀の世界が抱える課題を包括的に挙げている。169のターゲットというのは、その17の目標をより具体化したものだ。開発目標の中には「働き甲斐も経済成長も」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「つくる責任つかう責任」というものなどもあって、「顧客満足の向上」を品質方針に掲げる企業には、より身近に思えるのではないだろうか。

横文字ばかりで恐縮だが、このSDGsへの取り組みを通じて、もっと多くの企業にESG(環境:Enviroment、社会:Social、ガバナンス:Governance)に目を向けてほしいと感じている。それは世界の投資家が、企業への投資をする際に、その会社の財務情報だけを見るのではなく、環境や社会への責任を果たしているかどうかを重視すべきという考えが主流になってきているためだ。その指標のためにもSDGsは欠かせなくなっているのだ。

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