2極化する募集方法

最近、人材募集について新聞のチラシやネットでの情報を見ていると、間口をできるだけ広くして募集するパターンと、例えば、営業でどこの業界を攻略するためにその窓口を紹介できる人とか特定の生産技術における知見を持った人といったような限られた専門家を求めるパターンに2分されているように感じる。アルバイトやパートで人の出入りが激しい業種ではできるだけ募集のハードルを低くして、とにかく数をそろえなければならないのだろうし、企業との新規事業などで早急に成果を出したい時、従来の従業員の中にはその知見がなかったりするため、特定の分野に長けた人材が求められたり、それぞれに事情はあるのだろう。

いずれにせよ、人の募集は社内における人材を育てるシステムとセットで考えなければならない問題だ。間口を広くして採用するにせよ専門性の高い人材を採用するにせよ、できるだけその仕事の属人性を低くし、つまり作業を単純化することが必要とする意見が多いように思うが、むしろどんな仕事であっても、「人が育つシステム」さえ備えていれば、人材募集の在り方も少しは楽になるのではないだろうか。この人手不足の時代においても、東京ディズニーランドやマクドナルドなどでは、多くの学生アルバイトを集めて極めて高いレベルのサービスを維持している。

「人が育つシステム」はあるか

上司は部下に対して、自分の期待通りに動かなかったり、育たなかったりすると、「使えない部下だ」とばかりに不満を存分に言って、切り捨てることが簡単にできる。しかし、実は「人が育つシステム」を築けていない企業に非があることが多いのではないだろうか。最初から即戦力で働ける人など数多くいるわけではない。いかに専門家を求めても、期待通りにいかないのは、プロ野球のドラフトで入団する期待の新人のその後を見ていても明らかだ。また、すでに一定の実績を持つ選手がトレード先で思うような活躍ができなかったり、その逆に大化けすることがあるのも今に始まったことではない。

ここでは企業、特に中小・零細企業で実際にどんな「人が育つシステム」が実際に使われているのかを見てみよう。大手ならそれなりの部署があって専門に人を教育することはできても、中小・零細ではそのために人を割く余裕はない。余談だが、大手企業で人材教育を専門にしている友人がいるが、話を聞いていても、どことなく現場に精通していないことによる説得力に欠けるところがあるように思っている。やはり企業における教育の基本は、現場にあるように思うのだが、いかがだろうか。

〇様々に工夫された組織の例

逆に、中小・零細企業で多いのは「教育するより自分でやった方が早い」とばかり、そういったシステムづくりに熱心でないことだ。しかし、これは明らかに間違っている。教育にはそもそも時間もコストもかかるものだ。自分の子供を見ていたってそれは分かる。だから、いかにそれを皆の負担を少なく導入できるかが大切だ。

大阪市内に本社を置く従業員15人のネジのメーカーでは、リーダーとメンバー2人を最小単位にして、その上にさらにリーダーが付くという構造を積み重ねた組織形態をとっている。これだと専門部署など無しに、早い段階から従業員が育成する側に立つことができ、個々人にかかる負担感も少なくて済む。若手であっても育成する側に立つことになるが、逆に人に教えることで自分も成長でき、それがモチベーションにもつながるのだ。

また、同じく大阪市内にある従業員10人足らずの旅行代理店では、二人三脚による育成法を採用している。仕事は2人を1チームとし、若手とベテランが組むようにしている。チーム内では互いにフォローし合うことで、互いに自分1人が手掛ける仕事の2倍の経験を積むことができるようにしている。

全員で育つ

こうしたシステムの素晴らしいと思えるところは、誰かが誰か1人を教育するというのでなく、全員で一緒に育っていく形になっていること、そしてその結果、お互いに尊重する雰囲気が生まれているというところだ。難易度の高い仕事であっても、誰彼関係なく、いつの間にかできるようになるのだった。

「しなければならない」ことが「できるように」なれば、次に「したいこと」を見つけてそれを「叶えられる」ようにもできる。そもそもどんな立場の人でも、誰かに強制されて入社したのでない限り、当初はモチベーションを持っているはずだ。それが日が経つにつれ徐々に萎んでいくのが世の常だ。それを防ぐためにも、こうした「人が育つシステム」は有効なのではないだろうか。

さらに言えば、それは社内における良い雰囲気づくりにも有効に効く。「良い雰囲気」というのは改めて言うまでもないが、「仲が良い」ということではない。目的に向かってそれを達成しようとする意識の醸成を指す。これらはみんな関連してくる。人材募集を掛ける前に、こうした全体の流れをもっと考えなければならないと感じる。

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