各種補助金や助成金の応募が始まるタイミング

新年度が始まってまだ間もないが、各種補助金や助成金の応募がすでに始まったり、始まろうとしている。これらは必要な資金の一部であったり、後日得られるものなので、そもそもやろうとしている事業に資金がそれほど必要でなかったり、自分で調達できる資金がまったくなかったり、あるいは今すぐに足りない資金を補う必要がある場合などには適当ではないが、条件さえ合えば事業に対する効果を大きくできる。

これら補助金や助成金には国が行っているもの、地方自治体が行っているものがあって、それぞれに目的や趣旨といったものがある。それで得られる金額も基本は事前の審査と事後の審査によって決まる。だから「何でも良い」というものではなく、自分の事業と合うものを見つけなければならない。ここではその全てを紹介できないが、興味のある方は是非ネットなどを使って調べてみることをお勧めする。

幅広い用途に利用

まず人気の高い補助金の一つに、中小企業庁が行っている「小規模事業者事業化補助金」がある。これは小規模事業者が各地の商工会や商工会議所と一体となって経営計画を作成し、看板やホームぺージの作成、チラシの作成などの販路開拓に対する取り組みを支援するものだ。実際の例としては、新商品を陳列するための棚の購入や新たな販促用チラシの作成・送付、販促品の調達・配布、ネット販売システムの構築などがある。一見しただけでもかなり幅広い使い方ができそうだ。この目的に沿ったものなら、原則50万円を上限に3分の2の補助金を受けることができる。実際に75万円を要する取り組みなら、補助金として50万円を受けることができるので実質の負担額は25万円で済む。

申請に当たっては、「経営計画書」「補助事業計画書」の写しなどを地域の商工会・商工会議所に提出のうえ、「事業支援計画書」「事業承継診断票」の作成・交付を依頼する必要があある。また、計画の作成や販路開拓の実施の際には、商工会や商工会議所の指導・助言を得ることもできる。

IT導入ならコレ!

同じ中小企業が行っているものに、「IT導入補助金」がある。これは中小企業や小規模事業者が、日々の経理を効率化する顧客情報などを一元化するクラウドシステムなどのITツールの導入を支援するために設けられたものだ。金額は450万円を上限に2分の1が補助される(下限は4万円)。補助対象は先に挙げたクラウドシステムのほか、従業員間のコミュニケーションシステムや飲食店のセルフオーダーシステムなどが考えられている。但し、ハード機器は対象外なので注意が必要だ。

申請ではITツールや国の補助金申請などの手続きに詳しくない人に対しても、本事業で登録されているIT導入支援事業者が、ITツールの説明・申請・導入・運用方法などの支援を行えるようになっている。

従業員がいるなら厚生労働省の助成金

もし従業員を1人でも雇っているのなら、厚生労働省の助成金も狙い目だ。上記で挙げた「補助金」と「助成金」の違いを疑問にされる方も多いが、結論から言えばそれほど気にする必要はない。あえて言えば、「助成金」は受給できる確率が高いということだろうか。厚生労働省の助成金は「人」にポイントを絞り、雇い入れや教育などを率先して行った企業を対象にする。

ただ、この助成金を受給できる条件がいろいろとあって、①雇用保険及び社会保険に加入していること、②労働保険及び社会保険料を納めていること、③過去6か月以内に解雇したことがないこと、④タイムカード又は出勤簿で時間管理していること…などとなっている。一つひとつのハードルは高いものではないが、申請の検討をされるなら目を通しておいた方が良い。

例えば、「生涯現役起業支援コース」は40歳以上の人が初めて起業する場合に受給できる助成金で、その金額も起業年齢が60歳以上の場合は200万円を上限にかかった経費の3分の2、60歳未満の場合は150万円を上限にかかった経費の2分の1となっている。認められる主な経費には、職業紹介の利用(支出上限95万円)、求人の掲載(同75万円)、就業規則の作成(同40万円)、研修費用(同10万円)などとなっている。受給の条件には先に挙げた条件以外にも、認定支援機関の創業支援を受けるか、実務経験が10年以上あるか、金融機関の融資を受けるかの3項目のうち、2項目を満たさなければならない。

地方自治体でも独自の取り組み

これら以外にも地方自治体でそれぞれ行っているものがあり、例えば阪神地域で言えば、大阪府においては新年度から「おおさか地域産業資源活用サポート事業助成金」が始まる。これはものづくりやサービスなどの事業で地域資源を活用した新たな取り組みを行うことを対象にしたもので、金額は200万円を上限に、3分の2を助成(期間は1年間)することになっている。

兵庫県では同じく新年度から「ミドル起業家支援事業」を始まる。代表者がミドル層(平成31年4月時点で35歳以上55歳未満)で平成31年4月から令和2年1月までに起業した(又は予定)の人が、社会性、事業性、必要性を満たす事業を対象に、その事務所開設費や広告宣伝費、初年度備品費などを助成する。金額の上限は100万円で2分の1を助成。

いずれも必ず応募要領などを確認の上、検討するようにして欲しい。また、余談だが、これらの応募に際して申請業者に任せる人も多いが、できれば自分たちで申請した方が事業の見直しなどにもつながり、より効果が大きくなるように感じている。