実は内需依存の国

日本は「輸出大国」と呼ばれることも多いが、日本経済が実際にどの程度輸出に依存しているかご存知だろうか。否、皆さんご存知の方も多いとは思うが、私は恥ずかしながら最近その数字を知ってビックリした。何と高々16%ほどしかないのだ。オランダが66%、台湾が58.8%、アイルランドが57.8%、スイスが45.7%、韓国が43.9%と比べても各段に低い。日本は「貿易立国」とばかり思っていたのに、何だか肩透かしを食ったような感じだ。この数字からだと大きく内需に依存した経済だったのだ。

この数字は国民一人当たりの国内総生産(GDP)または国民所得に対する輸出入額の比率を指している。一般的にGDPが小さな国であるほど輸出依存度が高いといわれる。上記の数字はいずれも2014年度の財務省貿易統計による。日本はオランダと比べると、その差は50%もある。日米の間では1960年代後半に繊維製品、70年代に鉄鋼製品、そして80年代に電化製品と車が問題視され、貿易摩擦はピークを迎えた。日本が内需拡大と市場開放を強く訴えられたのはまだつい昨日のことのようだ。しかし、実際には80年代においても輸出依存度は今と同程度ほどの低い水準にあったということを聞いて、二度ビックリ。

これからが海外市場に打って出る時代

今、その国内消費が弱く、将来も人口の減少で市場が縮小する一方だとされている。だから企業は本気で海外市場に力を入れざるを得なくなっている。例えば、国内のイメージが強い木造注文住宅メーカーの中にも、私の身近にはアメリカやオーストラリアなどの海外市場で現地のハウスビルダーを買収して建売住宅を建築・販売したり、東南アジアで不動産事業を行ったりして、海外事業を急拡大している企業もある。こうした企業では当然のことながら、社員の英語教育を積極的に行い、人材の採用に当たっても英語力、国際性を重視した活動を行っている。

しかし、その一方で日本ではグローバルで成長する企業が育たないという声も後を絶たない。楽天の三木谷浩史社長は、新聞紙上でその原因について英語が話せないことを挙げている。日本で製品を組み立てて輸出する時代は終わり、多様な情報基盤の上でサービスを展開するビジネスにおいては、相手に何かを伝えずに製品の品質だけで勝負することはできなくなったという。日本製品の品質の高さにいくら定評があるといっても、グローバル社会の競争の中で、外国との格差は縮まりつつある。

製品力にものを言わせる時代でない

スーパーやコンビニ、物流といったサービス産業は、日本のきめ細かなサービスを売りにしている。モノであれ、サービスであれ、強みをしっかり伝え、ライバルに競り負けない交渉を行うための英語力の必要性があるのだ。また、働き方改革の中でも、企業のダイバーシティー(多様性)がキーワードの一つになっている。国内企業であれ外資系企業であれ、人材の多様化、外国人社員が急増している。この傾向は、外国の人材受け入れ拡大政策により、ますます拍車がかかることが予想される。

ある中小企業の社長は、「彼らが日本語を勉強すれば良いのだ」と話していたが、そんな狭い発想ではこれからの時代を生き残ることはできないだろう。外国人と同じ土俵の上に乗り、切磋琢磨しながら仕事を円滑に進めていくためには、英語でのコミュニケーションがこれまで以上に問われることになってくる。ある家電メーカーの経営者からは、「英語が必要かどうかといった悠長な議論はしていられない」というお話しを伺った。仮に今はそうでなくても、M&Aによってある日突然に英語が必須になるということもあり得るのだ。

サイバースペースでは8割以上が英語

英語ができることだけで評価される時代ではないが、英語が使えなければ厳しい仕事があることも事実だ。そして、それはこれまで見てきたように、ますます現実味を帯びてきている。実際に世界のコンピュータに蓄積されている情報の8割以上は英語だともいわれている。少なくともサイバースペースにおいては、すでに英語が基本となっている事実がある。今後英語を瞬時に日本語に翻訳してくれる便利なソフトウエアも開発されるだろうが、それまでは英語力の差による情報格差を甘んじて受けねばならない。そんな余裕があれば良いのだが。

英語を使いこなすことは、仕事の幅を広げ、私生活を充実させることにもつながる。これから否が応でも長く働き続けなければならない時代。変化をポジティブに捉えるためにも、今からでも遅くはない。昔習った英語を少しづつ再学習して、来るべき「その日」に備えるのも悪くない。折から、日本では年間の来日外国人観光客数が3000万人を突破し、4000万人をうかがう勢いにある。これからもラグビーのワールドカップ、オリンピック・パラリンピック、万博と大きなイベントが目白押しだ。英語の学習の機会を見つけるには今が絶好のチャンスかもしれない。