人材育成にも対応

人手不足で嘆いているのは日本ばかりではないようだ。アメリカでも似たような事情だと言われている。実際、アメリカの労働市場はここ20年間で最もひっ迫しているという。アマゾンがニューヨーク州ロングアイランドシティとバージニア州アーリントンに第二本社を置くことにした1つのきっかけも優秀な人材の獲得にあった。才能を持った人にとっては、今は完全な売り手市場にあるのだ。

そのため、各社は最高の人材を引き付けてつなぎとめるために、従業員には給与以外に様々な特典が与えられている。そして、これらの特典は働く意欲を高め、健全なチームスピリットを育むのにかなり有効とされている。その結果、次世代のマネジャーを社内から育成するうえでも重要な役割を果たしているそうだ。

アメリカにおけるビジネスの世界では、今や給与以外のこうした特典が注目の話題となっている。職場での卓球台の設置や、会社が提供するバースデーケーキ、それに従業員の持ち株制度などは目新しいものでもなくなっている。しかし、特典の内容を競う際にも、中にはかえって仕事への集中を妨げたり、生産性を阻害したりしかねないものもあるようで、特典の効果を十分に得るためにどのようなものが良いのかは十分に検討の余地がありそうだ。

ペット保険も当たり前

そのアメリカでは今、どんな特典が話題になっているのだろうか。
洗剤や食品、ヘルスケア製品などの消費者向け製品を作っている会社では、何と最高で40%まで割引を受けられる社内割引制度があるそうだ。この制度は一般の消費者に対する遠慮もあってか、あまり会社からそれを吹聴することはしていないようだ。航空会社やホテルのチェーンで、特に空席や空室がある時に従業員やその家族に値引きをするのと同じなのだが、扱っているのが生活必需品なのでその恩恵は余りある。

日本ではまだ珍しいだろう、ペット保険も話題になっているものの一つだ。ペットに対する医療の質が、私たち人間が享受しているものと同じレベルにまで上がっていることで、獣医療費が急騰していることが背景にある。アメリカの会社のすでに60%ほどもが従業員特典としてペット保険を既に提供しているとされている。

アメリカのミレニアム世代の60%近くがペットを飼っていて、30代のアメリカ人の75%がイヌを、51%がネコを飼っていることが分かっている。だから、会社によっては、ほとんどの従業員が、少なくとも1匹はペットを飼っていることだってありえるわけだ。

特典に現れる会社の姿勢

また、育児休業制度などの特典に対しては、男女の性差による区別をなくそうとしている会社が増えている。特に子供が赤ちゃんの時期は、母親だけでなく父親も子供ときずなを結ぶ大切な時期とされていることから、育児の責任を平等に分担することを後押ししている。

このほかにも、従業員は仕事のスケジュールを柔軟に立てることができる特典も人気のあるものの一つだ。会社が従業員を尊重し、従業員自身に働く時間や場所を決めさせているのだという。午前中の方が仕事がはかどる人がいる一方で、午後が一番調子の良い人がいる。中には自宅で仕事をする方がうまくいく人もいるし、子供のいる従業員は仕事を早めに終わらせて家族と夕食を共にすることに充実感を得ることもできる。

また、進んだ考えを持つ会社の中には、有給休暇の日数に制限を設けていないところもあるという。従業員が病気休暇や家庭の用事などで会社を休んだ日数を記録しないのだ。その代わりに、先ほどの仕事のスケジュールの自己決定の時もそうだが、会社は従業員が仕事で優れた成果を挙げることを期待している。性善説に立って、従業員を責任ある人間として扱う代わりにそれなりの成果を求めるということなのだろう。

特典に工夫の余地あり

実はアメリカでは休暇を使い切る人の方が、昇進する可能性が高いとも言われているそうだ。そうした人たちは、一生懸命に働くべき時と、休みを取って英気を養うべき時を分けることを心得ているからだとされている。

勤務時間内専用のボランティア制度を採り入れ始めている会社も多いようだ。会社が地域社会に利益を還元することの重要性に気付き始めているのだろう。ボランティア活動をする従業員を積極的に後押ししている。日本でも近年ボランティア活動に取り組む人たちは多いが、それを自分の多忙なスケジュールに組み入れることはなかなかできずにいるのが現状なのではないだろうか。

また、アメリカでは学生ローンの支払いに苦労している人が多いと言われ、そうしたローンの支援や教育費の補助も人気があるそうだ。一方で、通勤手当のように日本の会社では標準的なものだが、アメリカではそれほど普及していないものもある。これは車や自転車で通勤する人が多いからかもしれない。

人手不足に対して特典を設けることは日本でも取り組まれているが、その内容はそれぞれの社会や業界の事情も反映して面白い。他国の例であっても参考になるものがあるのではないだろうか。

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