独自で情報入手の大切さ

始めは一人で起業しても、そのうち事業を続けていれば従業員が1人、2人…と増えてくる。徐々に増えてくる従業員を見て、またやりがいを感じるのは大きな楽しみの一つだ。しかし、まだ組織化するに至らないまでも、早急に大きな問題に出くわすことになる。それがコミュニケーションの取り方だ。ここでいうコミュニケーションは、まずは経営者と増えてくる従業員との間とのことを指す。なかでも、従業員個々の考え方や性格の相違からくる認識の差はいかんともしがたいものがあって、そこから往々にして生まれる誤った判断をどう修正するかが、「経営者の力量」となってくる。

早い話、経営者が社内で報告を受ける時、従業員個々から出された報告をそのまま鵜呑みにすることはできない。なぜなら、そこには報告者の主観が入っているからだ。よくある話で、アフリカに靴の営業で向かった営業マン2人は、一方は「まったく靴なんて売れません。誰も靴を履いていません」と報告をしたが、もう一方は「市場として非常に有望です。靴を販売している企業がまだありません」と報告をした。これらの報告を経営者がそのまま鵜呑みにしていたら、両者で経営判断は180度変わってしまう。だから、経営者は独自で情報を入手するための努力も必要なのだ。

裸の王様にならないために

社内では経営者には本当の情報は入ってこないとさえ思っておかねばならない。従業員は「不都合な情報」を決して上司や経営者に上げようとはしないものだ。それを避けるために、従業員からの報告は悪いことからするようにと社内に通達を出している上場企業の社長がいるが、「なかなか徹底できなくて」と心中を吐露していた。そりゃ、従業員の側からすれば、そうは言われても簡単にはのれないだろう。下手をすれば自分の昇進にかかわるかもしれない。そこまでいかなくても、ボーナスの査定には響くかもといった不安はたとえ信頼関係を築いたように見えていても、余程でないかぎり拭えないものだ。

モノの見方は人によって主観が入り、結果は違うものになる。これではまるで「裸の王様」と同じではないか。知らず知らずのうちに状況判断を誤り、独善に陥ってしまう。だから、機会あるごとに「経営者独自の情報入手経路を持とう」とお話しをしている。あるいは、それが難しければ、「多方面から情報が集まる仕組み」づくりをすればいいのだ。そうすれば、それらの情報を集めることで、経営者は一方に偏らない判断、その場の状況に適した行動をとることができる。そして、それが「経営者の力量」につながるのだと考えている。これは企業の大小に関わりない。

広報って何?

その仕組みづくりという意味では、大企業にはまだ「広報」という部署が曲がりなりにもあって、一見整っているように見える。本当は「見える」だけで、実際にまともに機能しているところは少ないのだが。まあ、ここで大企業の話はさておき、問題は中小企業である。本来、「小回りの利く」ことが中小企業のメリットであるのに、それを活かせていない企業があるのは何故かと考えると、その原因の一つはまさにこの情報入手の仕組みづくりができていないことが大きいように思う。中小企業だから当然のごとく大企業が持つ広報に人を割く余裕はない。しかし、組織を作らないまでも、その機能を兼務する担当者を置くことは可能なはずだ。

情報の扱いについては、得てしてそれを発信することには熱心であることが多い。自社の商品やサービスの宣伝に始まり、ISOの取得や行政が携わる優良企業などの受賞、展示会の出展など、自社の都合の良いことの発信には積極的だ。それは良いのだが、顧客がそれについてどう考えているか、世の中がどう動いていてそれが自社にどのように関わるのかを考えていない。「考える時間がない」というが、それは邪魔くさいのか、取り組まなくても当面はやり過ごせることの言い逃れだ。神様が人間に口は1つしかないが、耳は2つお作りになったのも、聴くことの大切さを知らせるためだったからではないか。

情報管理を徹底すること

例えば、外からの情報の入手としてすぐに思いつくのは、顧客からのクレームがある。クレームには至らなくても、引き合いや問い合わせに対して、それをきっちり集め、経営者に伝わるようになっているだろうか。また、業界の動き、業界外の気になる動きについて常に監視できているだろうか。地域や事業に関わる行政の動きはどうか。これらは外の動きだが、企業内の動きについても、例えば複数の部署がある場合などは特に、それら部署間の動きはきっちり把握されているだろうか。もし、どうしても経営者一人で無理ということであれば、その役割を兼務する担当者を置くことが大切だ。しかも、その担当者は経営者の片腕となるような人物が望ましい。

今さらいうまでもないが、情報は企業の明暗を左右する。これは大企業だけの話ではない。中小企業においても、中小企業ならではの情報の活かし方がある。それに気が付かないままでいると、あるいは気付いていても対策を取らずにいると、それこそじり貧は免れない。繰り返しになるが、今後ますます情報を出すだけでない、受け取ることにも十分に配慮した経営が求められていると感じている。

株式会社 大阪エルシーセンター CUBE電話代行サービスグループ
CUBE電話代行サービスでは、実際に電話応対をしているオペレーターが、電話代行サービスの魅力やビジネスに関する情報を発信しています。日頃の電話応対のノウハウや様々な業種の導入事例等、電話応対にお悩みの企業様や、電話代行を検討している方は是非ご覧下さい。