前進する勇気が大切

今はなかなか先を見通しづらい世の中だといわれる。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)しかり、技術革新のスピードが速すぎて、自社の商品や取り組んでいるビジネスモデルもすぐに時代遅れになってしまう。社会の変化にうまく対応することがこれから先はますます難しい時代になろうとしている。

そもそも、今の時代を過去の産業革命になぞらえて語られることも多いが、馬車は一気に車に置き換わったわけではない。車の安全性を確かめるのに費やした年月があり、車に対応した道路やエンジンが徐々に開発されたり、新たな交通規制が作られ社会に浸透していったりと、その普及のスピードは私たちが受け入れられる範囲に収まっていた。

ところが、例えばシェアードエコノミーの代表格でもある配車アプリは、車を持っていて一定の条件さえ満たせば、誰でもすぐにタクシーの運転手になれるという。運転手や利用者に必要なのはスマートフォンだけだ。アプリを通して車に乗る場所と行き先を指定した瞬間に、最適なルートまで計算してくれる。支払いもスマホを介したカード決済なので、お金を出す必要さえない。そのサービスを提供するウーバーは、世界のタクシー業界を敵に回しながらもわずか6年で、81か国、581都市で毎月4000万人の利用者を抱える(2016年9月現在)までに成長した。

こうした動きがほとんどあらゆる分野で起こっているのが現在だ。だから10年先どころか、2,3年先さえ業界の動きを見通すことは難しい。こんな時代にどう対応すればよいのか、誰もが悩んでいる。しかし、だからといって足をすくませるのでなく、一歩でも前へ進んでいく勇気を持つことが大切になってくる。

集団内のワナ

もともと日本人が陥りやすい癖の一つに、「集団浅慮」というものがあるといわれる。これは、「自分たちの集団に対する過大評価・組織内に閉ざされた意識・同調圧力によって、集団の論理を最優先にする、所属する集団を守るために自分は何をすればよいかという考え方」が当たり前になっているというのだ。

このことは何も今に始まったことではない。古くから受け継がれているようだ。この一つの例が、江戸時代前期の元禄文化が華やかなりし頃、世界で最も早く微分積分の概念にたどり着くことのできた関孝和という数学者と、その後の日本における数学の発達の障害過程にも見ることができるとされる。

つまり、その後関孝和という数学者を囲むグループが形成され、関孝和の弟子たちは先生の学説を容易に否定することができなくなり、新たな発想が出て来づらくなったといわれる。だから日本では数学の分野でその後目覚ましい発達がなかったとされるのだ。

失敗に多いリカバリーチャンス

先を見通す力と集団浅慮。一見何の関係もないように見えるが、ともにリーダーに重要な要素の一つとして、上位目的を持つことの大切さを教えてくれているように思う。上位目的を持つことは、言い換えれば、より高いレベルの視点、俯瞰の目といってもいいかもしれない。

日本を代表する自動車、鉄鋼、電機、化学メーカーなどによる相次ぐ不祥事は、これまで積み上げてきた日本の品質に対するブランドを大きく棄損している。日本は長い間、誠実さ、確実な品質、製品の信頼性において他国の手本にもなっていたはずなのに。

自動車メーカーであれば、自分の企業は株主の利益や所属する部門の利益を最大化するために存在しているのではなく、優れた自動車を通じて世の中の発展、人々の生活に貢献するのだという上位の目的、俯瞰の目を持ってことに当たることが大切なはずだ。

リスクと失敗との関係については、面白い見方がある。一般に「大きなリスク」と考えられている挑戦には、意外に「失敗」している例が少ないのではないかという問題提起だ。よく「挑戦したうえでの失敗は許される」というが、これは単にその意気込みや姿勢が大切だというだけでなく、「挑戦」するような状況では「失敗」も目立ちはするものの、案外それをリカバリーするチャンスも多いのではないかという。

一方、会社が順調にいっているような状況では、少しくらいミスをしても目立たない。しかし、そのミスは知らないうちに市場への認識が甘くなったり、競合を見下して取り返しのつかない決断ミスをしてしまうことも多いというのだ。
 

挑戦が命運を左右

会社が好調な時でも小さなことや、おかしいなと思うようなことを「業績が良いのだから気にするな」とせず、何かのサインではないかと考えることは大切だ。同様に、上位の目を持って企業に挑戦する姿勢を根付かせることも大切だ。それがこの先、企業の命運を左右することになる。

このところ国会答弁で日本のエリートと呼ばれる政治家や官僚たちが、「知らない」、「忘れた」、「聞いていない」、「関与していない」を繰り返す様は、リーダーと見られているような人でも、いざとなれば責任逃れをする人が圧倒的に多いことを世界に印象付けた。企業の中でもまだ中小の域を出ない経営者が同じようなことをすれば、即それは企業の生死に関わってくる。他山の石とすべき事例は周囲に事欠かない。

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