レベルの異なる不祥事

東芝や神戸製鋼、日産、三菱マテリアルといった大手企業の不祥事が相次いでいる。企業による不祥事は今に始まったことではなく、これまでも生産地や賞味期限などを偽る食品偽装や、一昔前なら公害や総会屋が絡む利益供与事件など多々あった。しかし、食品偽装などは特に中小零細企業が起こしたもので、一企業の不祥事が世界にまで影響を及ぼすことはなかった。

近年発覚する不祥事はそれとはレベルが異なり、日本の重厚長大産業を支えてきた超巨大企業の問題は、日本経済の信用を貶めただけでなく、その本質的な問題点をあぶり出しているように思える。

日本独自のガバナンスシステム

不祥事の案件は大きく「ガバナンス(企業統治)」の問題と、「コンプライアンス(法令遵守)」の問題に分けることができる。「ガバナンスは社長が企業を統治するとのニュアンスがあるがそうではなく、社長こそ株主や社外取締役から統治を受ける立場にあり、ガバナンスとはこの牽制作用です」と弁護士の久保利英明氏は説明する。

また、コンプライアンスは、統治を受けた社長が主体となって、役員や社員のリスクマネジメントを行うことだ。ガバナンスのシステムが機能していないのは決して東芝に限った話ではなく、「日本独自のガバナンスシステムが世界でも異例なのです」と久保利氏は指摘する。

コミュニケーション力がカギ

久保利氏はまた、米国の企業にはゼネラル・カウンセル(法務担当役員)という、社長に次ぐ高い地位と権限を有するポジションがあって、社長を守り、社の信頼を失墜させないための重要な役割を果たしているが、それが日本の企業にはないことから、「日本の経営者のガバナンス、コンプライアンスの弱さにつながっている」と指摘するが、どうだろう。

内部統制にいかに力を入れたとしても、現場で起こるすべての不正にまで目は届かない。事件を起こす企業に共通するものの一つは、社員のコミュニケーション力の不足にあるように感じられる。社内の風通しが良ければ、現場の社員から部門長、部門長から上層部へと不正の事実が伝わり、全社挙げてそれに対処するというムードが自ずと生まれてくる。

前例踏襲主義を打破しよう

企業の不正防止にはガバナンスやコンプライアンスが大切なのは当然としても、いくらその制度を改革してもそれを担うのは人間であることを忘れてはいけない。今回、大企業が起こした不祥事には、残念ながらコミュニケーション力も一流企業としての誇りも感じられない。

昔は役所の体質を揶揄する際によく使われていた「前例踏襲」なる思想が、これらの企業に共通してあった。これまで通りのやり方で良いのか、時には立ち止まって考えなければ時代についていくことはできない。大企業がこの問題にいかに対処するかだが、逆にここにも中小零細企業であっても大企業の間隙をつく余地は十分にあるはずなことが分かる。

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