オーラを持たないリーダーのリーダーシップ

組織の長となればもちろんだが、職場におけるチームのリーダーであっても、オーラを放ち、見るからに他を圧倒するほどの魅力あるリーダーシップを持てたなら、どんなにカッコいいだろう、と夢見たことは一度や二度ではない。若いころはそんなリーダーにどうしたら自分がなれるかと考え、何がしかの実行を試みたものだ。しかし、そんな器でないことはすぐに分かり、「自分にはリーダーは務まらないのかもしれない」などと弱気にもなったりした。

でも、約400万社あるといわれる中小企業の社長もそんなオーラを放つ人たちばかりではないはずだ。むしろ、仕事でお会いしても、失礼ながらオーラを周囲に放っている人なんているかいないかといったところが実感だ。だったら、そうでない人が採るリーダーシップの在り方があるはずだ。世の中にあるリーダーシップのあるべき姿を示す書籍の多さは、私と同じように悩む人たちがいかに多いかを示している。

生まれつきリーダーシップの要素に恵まれない人にだって、いざとなれば仲間を率いて戦わねばならない時がくる。事業を起こしたなら、まさにそれがその時だ。そんな時に、いきなり仲間の先頭に立って、「俺についてこい」式に旗を振っても、なかなかうまくいかないのは道理だろう。創業者の後をいきなり引き継いだ二代目経営者にも当てはまるかもしれない。もともと自分に合わないことをしても、仲間から白い目で見られるのがオチだ。

丁寧なコミュニケーションを

実際、私にもそれに似たような過去がある。入社して3年目に、ある企画のリーダーを任された。そこに集まったメンバーは、私より若い、入社1、2年目の者たちばかり。ただ、通常の業務以外の仕事だったので、皆がなかなかその企画のための時間を割くことも難しい状態の中での仕事だった。

私は「舐められたらいけない」と気負ったばかりに、企画の骨子を決め、強い姿勢で彼らに作業を割り振った。これが思わぬトラブルを呼び起こした。皆の思わぬ反発を招いたのだ。こちらとしては、締め切りに間に合わせるため、効率よく作業を進めることを考えて練りに練った案を出したつもりだったのに、あまりの独善的なやり方に皆がそっぽを向いてしまったのだ。

困り果てた私は上司に泣きついた。ところが、上司は上司で「それどころじゃない」といった感じで、一向に相談に乗ってもくれない。追い詰められた私は、「何とかするしかない」と腹をくくり、なぜうまくいかないのかを懸命に考えた。

そして、頭ごなしに仕事を割り振られて、一人ひとりの思いや考えをくみ取っていないという当たり前のことに気付いた私は、それから丁寧なコミュニケーションを取り始めた。「もっといい案はないか」と皆にも相談し、率先して体を動かし、汗をかいた。そうしてしばらくすると、ようやく彼らも一緒に動いてくれるようになったのだ。

相手を無理やり動かすのがリーダーシップではない

彼らの姿を見て思った。リーダーシップとは、相手を無理やり動かすことではない。そんなことをしても反発をくらうだけだ。それよりも、魅力的なゴールを示して、メンバーの共感を呼ぶことが大切だ。そして、皆の一人ひとりの主体性を尊重することによって、チームが自然に動き出す状況を作ることだ。こうして結果を生み出していくことこそが、私のリーダーシップなのだと。

じゃあ、そのために必要なものは何かと考えると、それは生来身についていないオーラを探し求めることではなくて、相手の気持ちを思いやることのできる繊細さを持つことなのだった。それから、私も何度か転職も経験し、それぞれの中でもいろんな組織でいろんな立場に置かれたりしたが、リーダーとしての基本的な考えはまったく同じだった。組織が小さくても大きくても。自分より先輩がおられようとおられまいと。

間違っても机の前にふんぞり返って、心地よい報告だけを聞き、自分の与えられた権力を振りかざして組織を動かしていると勘違いをすることだけはしないように、自分自身を戒めてきた。今はもうそんな時代ではないかもしれないが、ある程度年齢を重ねればそれなりの役職に就くことのできた頃は、周囲に鈍感な者もいて、どんなに迷惑したかは私自身も経験している。

リーダーシップこそが、仕事と人生を楽しくする

今、起業してみて思うのは、まだ組織も小さく、そんな大それたリーダーシップを発揮する場もないように見えるが、それは組織の外でも必要になってくる。仕事は決して会社の中の自分たちだけでしているわけではない。周囲にはそれを支えてくれている顧客、取引先、金融機関、役所の人たちなどたくさんのステークホルダーがいる。そうした中で自分たちの思う仕事をしていくのは、やはりリーダーシップを発揮していかねばならない。

確かに、繊細なだけでは仕事は進まないかもしれない。リスクを冒す勇気も必要な時だってあるだろう。しかし、それでもただ豪胆なだけではダメなのではないだろうか。その豪胆さの中に、繊細さを束ねたものがなければ、それはただ単に「盲(めくら)蛇に怖じず」と同じだと思う。

「優れたリーダーはみな小心者である」を執筆した株式会社ブリヂストン元CEOの荒川詔四氏は、その著書の中で「リーダーシップこそが、仕事と人生を楽しくする」と述べている。その域にはなかなか達しないが、なるほどと思う。それを実感するためにも今を頑張りたいと改めて思うのだ。

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