箇条書きは楽だが…

「長々とした文章を書かないで箇条書きにして」と言われる人は多いだろう。
特にビジネスで使う文書では、読む側からすれば長い文章を読まされるより、はるかに内容をつかみやすくなる。

入社以来こうした教育を受けているためか、いつの間にか「箇条書きは分かりやすい」と思っている。

しかし、箇条書きにも欠点はある。
箇条書きされた各項目のウエートの大きさが分からず、その互いの関係も良く分からないというものだ。

それに慣れていると、ひょっとしたら物事を深く考えなくなっているのではないかと思ったのは、あるセミナーを見た時の経験が元になっている。

図解の過程で深い気付き

そのセミナ―自体はまったく別の主旨のものなのだが、私がセミナーの主旨を箇条書きにして書きとどめていると、最後に付箋をつかった図でセミナーの講師がまとめた際、気付かなかった内容の深さにいたく感動したものだ。

考え方が2次元から3次元に変わったというか、そんな経験を持った方はいないだろうか。

それで思い出したのが、私のかつての同僚がパソコンを使う前に、まず紙で図を描いて考えをまとめていた姿だ。

当時は「なるほどそんな方法もあるのか」としか思わなかった。
しかしなかなか作業自体大変なのだが、その分図解作業の過程を通じて物事の構造がより明確に見えてくることが分かった。

思わぬアイデアも

図解に当たっては、箇条書きした各項目をグルーピングすることから始める。

面白いのは同じ事を聞いて同じような項目を箇条書きして出していても、グルーピングしてそれぞれの関係性を図解する段階にまで来ると、人それぞれにまったく異なった図になって現れることだ。
「なるほどそう聞いていたのか」と気付かされることがとても多い。

始めは面倒だと思っていた人達の間でも、その面倒さが「頭の中が整理されて思わぬアイデアが次々に湧いてきた」「今まで深く考えたことのなかったことが、図にすることで一歩踏み込んで考えることができた」といった感想に繋がっていることが良く分かり、図解を使うことの有効性を体得していた。

図解は成長する

「私たちは自分の理解のレベルに応じて、知識のレベルに応じて、その時々で描ける図解には限界がある」と話すのは久恒啓一宮城大学教授。

「ある時点ではそれがベストだと思っていても、何カ月か経って知識や考えが深まったらもっと良い図解ができたということはよくあります」と話す。

だから完璧な図解というのは元々ないということだ。
図解は自分の成長とともに発展すると考えれば、気楽に取り組めるし、他の人のアイデアも参考に取り込むことができる。

私は今では間違ってもいいから、どんどん図解を利用するようにしている。
そうしていくうちに、いつか思考も深まり、図解スキルも自然アップするだろうと期待している。