【褒めて元気に】

ある店舗で覆面調査を行ってきた人が、「同じ店舗で覆面調査を長くしていると、段々効果がなくなってくる」と言います。彼はそれまで調査を行う際、目についた点などをまとめて、店舗の責任者に伝えていたそうです。

つまり、チェック項目に引っかかったところを、改善すべき点として挙げていたにも関わらず、段々とその改善効果が見られなくなってきたと言うのです。
そこで彼はある時、悪い点を探すのでなく良い点を探すように、180度評価方法を変えたそうです。

そして、アルバイトの女性が顧客に対する挨拶のとても素晴らしかったことを店長に伝え、その店長はアルバイトの女性を皆の前で褒めました。するとどうなったか。
アルバイトの女性は次の日の朝、いつもより30分早く来て、生き生きとした挨拶を皆にし出したそうです。


【結果だけ褒めてもだめ】

まあ、少し出来すぎた話かもしれませんが、誰にもよく分かる話ではないでしょうか。

しかし、その褒め方にもコツがあるようです。褒めて人を育てる「ほめ育」を提唱しておられる原邦雄さんは、そのコツを「結果を褒めるのでなく、行動や努力、そして人間性を褒める」ことにあると言います。

例えば、子供がテストで100点を取ってきたとき、
「100点を取って、えらいね」。

これは良くない。
もし次のテストで80点ならどう言うか。

同じように努力しても、いい成績のときもあれば、思ったほど点数が取れないときもあるはずです。
「いつもより早起きしてお勉強していたよね」。
「お友達と遊びたいのを良く我慢したね」。
と言えば、親の言葉は子供の心にしっかりと届くと言います。



【観察力を養おう】

対象が子供であっても、大人であっても、相手を良く見ていなければその人の心に届く褒め方はできない、ということです。
普段から無関心なままでは、どんな言葉も相手に届きません。

毎日、きちんと見ていないと言えない言葉というのがあります。そんな言葉を投げかけられると、相手も「自分のことを気にしてくれている、関心を持ってもらっている」と感じ、少なくとも悪い感じはしないものです。
職場に限りませんが、人間関係に悩み、傷つき、ストレスを溜める人のなんと多い世の中でしょう。

それももともとは、人間観察力の衰えが影響しているのではないかと思っています。
「嫌だな」と思う人ほど、観察をしていると意外なことが分かって、それが関係を再構築する突破口になったりします。
もっと周りに気を配ってみませんか。