今後の対策を具体的に立てられているか

折しも新型コロナの感染拡大が収まらない中、企業の中には減収に歯止めがかからず、厳しい決算を余儀なくされているところも多いだろう。こうした企業の中には往々にして「コロナの感染拡大が・・・」「国の景気刺激政策が不十分だったために・・・」などと減収の要因を外部環境に求めがちだ。そういった要因は確かにあるにしても、減収に至った原因を企業内部に探す経営者と比べると、同じことを経験していてもその後の対応は180度違ってくる。経営者であれば、たとえ逆風下でも自社の成長の機会にする姿勢を保ちたいところだ。

そのような企業が苦境にある時、専門のコンサルタント会社や金融機関などに助言を求めても、「一層の営業努力が必要です」「(必要な利益を確保するには)あと〇億円の売上を確保する必要があります」などといった提案しか得られていないことが多い。経営者にしてみれば、そんなことは単に事実を並べただけにすぎず、わざわざ外部から言われずとも「分かりきっている」と思うだろう。増して、そんなコメントをもらうのに大切な時間や対価さえ支払っていることも多く、そんな時はただ憤慨するばかりに違いない。

企業が対策を立てようとしたり、外部からの提案を受けることの意味は、事実を確認するに留まらず、企業が今後の具体的に取るべき行動や、整えるべき仕組みを考えることにあるのは言うまでもないことだ。

営業強化はまず顧客情報の収集から

それでは営業や販売体制の強化を行うためには、具体的にどのような行動を取ればいいだろうか。もちろん、企業によって行動は異なってくるだろうが、ここでは注意すべき一般的なポイントを見てみることにする。

まず、顧客情報の収集が十分に図られているか、ということだ。顧客情報の収集のためのツールとしてよく用いられているのが「営業日報」、あるいはそれに相当する記録だ。この営業日報をしっかり作成し、運用できているかどうかが問題になる。営業日報の効果として考えられるのは、
・営業担当者の行動管理
・顧客情報の収集
・上司や管理者がアドバイスすることによる営業担当者の育成
・日報の共有化によるナレッジマネジメントの浸透(製版の連携強化など)
がある。営業日報に目を通すだけで、決算書からも伺うことができない営業活動状況や管理レベル、営業担当者の能力などのさまざまなことが見えてくるものだ。

実際には、訪問先と訪問時間、簡単な訪問内容などしか記述されていない日報は多い。これでは営業担当者の行動管理しか行えず、上司が見てそのアドバイスや顧客情報の収集、営業ノウハウの共有化などを図ることはできない。収集すべき情報の項目を改めて見直し、必要なら日報の様式を改めなければならない。そして営業担当者と何のための営業日報なのか、その意義を話し合わなければならない。上司も回覧される日報にただ印鑑をつくだけでなく、きちんとしたコメントを残さなければ、営業担当者がやる気を失うのは言うまでもない。

形だけ整えても仕方ない

次は、せっかく営業日報で顧客情報を収集できても、企業内で顧客別に情報を蓄積するような仕組みがあるかどうかだ。もし無ければ顧客情報に基づいた戦略的な営業活動が行えず、万一営業担当者が退職でもしようものなら、それまでのすべての顧客情報が失われてしまう恐れさえある。こうした問題が生じないように、営業日報で収集した情報のうち、以降の効率的な営業活動を行うために必要と思われる情報は、「顧客カード」を作成して顧客別にストックすることが求められる。

そして、それらの情報の共有化が図られているかどうか。もし共有化が不十分なら、せっかく収集した情報も十分に生かすことができていないということになる。共有化する方法はさまざま。IT化して誰でも閲覧可能にするのが流行だが、そこまで行かなくても、全営業担当者に回覧する、会議の場で発表するなどして成功・失敗例を共有できれば、間違いなく営業力の底上げを図ることができるだろう。

上司や経営者がすべきこと

業績が低迷している企業にありがちなのが、訪問企業を営業担当者に一任していることだとされる。これでは営業担当者の立場からすれば、自身が行きやすいところには必要以上に訪問をしても、真に訪問が必要な取引先に対しては訪問できていない、ということが起こりうる。これでは企業にとって効率的な営業活動につなげることができないのはいうまでもないことだ。ここは営業担当者任せにするのではなく、企業として個々の取引先の取組方針を明確に定め、営業担当者に提示するくらいでないといけないだろう。

「積極的に営業すべき先を決めている」としている企業も多いに違いないが、その設定基準を聞いてみると、単に自社への売上高が多いところを重点取引先にしているというケースが多い。しかし、企業にとって顧客の重要度は単に売上高の多寡だけで決められるものではないはず。売上高が同じでも、拡販余地が違ったり、自社の利益への貢献が違ったり、他の顧客への影響力が違ったり・・・といろいろな観点から、攻めるべき顧客とそうでない顧客とに分かれるものだ。

そうして得られた訪問すべき顧客にどのようなスケジュールで訪問し、その結果はどうだったのか、訪問状況の確認・フォローを行わねばならない。こうしたことを通じて初めて業績は改善し、営業担当者や上司、そして企業が成長していくものだ。