誰でもやりがちな、行き過ぎた広告

ビジネスプランも練り終わっていよいよ事業を始めようとするようになったら、広告宣伝が非常に大事になってくる。特に小売業やサービス業のように一般消費者を相手にするような事業においては、いかに広くそのメリットを伝えられるかが事業の成否を握ることになる。しかし、いかにSNSの発達した現代においても、他社との違いを効率よく際立たせて目立たそうとすると費用もかかってくるし、限られた資金の中で費用を賭けなければならないとなるとなお一層、効果を求めたくなるのは誰しも同じだ。しかし、それを追い求めすぎるあまりにトラブルも絶えないのが現在。どんなところに気を付けなければならないのかー。

広告宣伝において、誰かの名誉を毀損したり、プライバシーを侵害したりすることが問題になりそうなことは常識として分かるだろう。その他にも、一般的な規制として「不当表示の禁止」が上げられる。これを定めているのが独占禁止法(独禁法)や景品表示法になる。

独禁法で定められている「不公正な取引方法」の中に「不当顧客誘引行為」がある。これは具体的には、商品の内容や取引条件について、実際のものや競合他社よりも著しく優良・有利であると顧客に誤解させることによって顧客を獲得しようとする行為と、正常な商習慣に照らして不当な利益を提供することで顧客を獲得しようとする行為がある。独禁法のこれらの定めを受けて、景品表示法はより細かく不当表示に関する定めを置いている(参考:https://www.jftc.go.jp)。

不当表示に要注意

景品表示法の定める不当表示の類型には、大きく分けて以下の4つがある。
①商品の内容に関する不当表示
②取引条件に関する不当表示
③おとり広告
④比較広告

①については、例えば、原材料の一部にしか国産の豚肉が使われていないにも関わらず、
「国産豚使用」として表示する行為や、実際にはリサイクル原料を使っていないにも関わらず使っているかのように「省エネ」などの表示をして販売したり、痩せる効果が明らかになっていないのに、痩身効果があるように見せかけて販売する食品などがある。
②では、例えば「二重価格問題」がある。実際に販売されていたのが2,3日しかない販売価格を元に、「通常価格より〇%OFF」などととんでもなく安いと勘違いさせるような行為があたる。
③は実際には販売・提供する予定のない商品やサービスを広告宣伝し、それを見て来店し
た顧客に、広告宣伝とは別の商品やサービスを販売・提供することを目的にする。それほどあからさまではなくても、商品の供給期間や対象者などが限定されているにも関わらず、その限定の内容を記載していない場合もこれに該当する。
④は競合他社の商品やサービスと比較して、自社の優位性を示すもの。比較については、
比較として主張する内容が客観的に実証されていること、実証された数値や事実等を正確かつ適正に引用すること、比較の方法が公正であることーが必要とされている。それらのことなしで、「〇〇社より〇倍も効果がある」などと銘打つのは違反ということになる。

景品を出すにも限度がある

景品の提供においても、その限度額が定められている。商品やクイズの回答の正誤により景品が提供されるのが「一般懸賞」。その限度額は5000円未満の取引に対して、最高額は20倍、それ以上なら10万円だ。そして総額でもその懸賞にかかる売上予定総額の2%が限度となっている。
商店街の懸賞のように複数の事業者が参加して行うのが「共同懸賞」。その景品の最高額は取引価格に関わらず30万円。総額で売上予定総額の3%と決められている。
「来店者にもれなく」配られるような「総付景品」は、取引価格が1000円未満であれば景品は200円、それ以上なら取引価格の10分の2となっている。

それぞれの業界にある細かな広告規制

独禁法や景品表示法以外にもそれぞれの業種ごとに広告規制が設けられていることもある。その代表的なのが薬事法による規制だ。薬事法では医薬品の虚偽・誇大な広告の禁止や、未承認の医薬品の広告の禁止、化粧品についても成分や効能の表示には詳細な定めがされ、医薬品と誤認混同しないようにされている。
このほかにも銀行法や保険業法、信託業法においてもそれぞれの金融商品について、一定の表示義務や虚偽広大広告の禁止を定めている。さまざまな業界でこうした規制がある。自分の関わるところではどんなものがあるのか、ないのか、一度確認をしておいた方が良いかもしれない。

広告の著作権でトラブル?

広告宣伝する際、著作権についてもトラブルの火種はある。効果的で印象深いキャッチフレーズを作りたくても、なかなかそう簡単に思い浮かぶものではない。故意にではなくても、たまたま思いついたものをそのまま使ったところ、後でそれが元のキャッチフレーズの著作権者の著作権を侵害していたということになりかねない。その場合、ある日突然に指し止め請求されたり、損害賠償請求に及ぶことも考えられる。

キャッチフレーズのような著作物は、仮に社内でそれを社員が業務として行った場合は、「職務著作」に該当し、その著作権や使用権は特段の契約等がない限り、会社にあるものされる。しかしもともと著作権はそれを創作する者に帰属するもの。例えば、ホームページの制作を業者に依頼した場合、その著作権は製作者である業者に帰属したままでは、せっかく自社のホームページを作っても著作権が自社にないために、後々思い通りにならないことが発生しかねない。そうならないように、著作権が自社に間違いなく帰属することを含めた契約書を作成しなければならないことに注意しよう。