最初が肝心

人を雇う時のルールは法律で細かく決められている。たとえ従業員との合意があっても禁止されていることもあり注意が必要だ。雇入れ時には健康診断も実施しなければならない。そこでまず人を雇う時に明示しなければならない項目について挙げてみよう。特に以下の項目については重要なため、口約束ではなく書面を交付しなければならない。

①労働契約の期間(いつからいつまで働いてもらうのか)
②有期雇用の場合は、更新の有無と判断基準(更新しない・こんな場合に更新する)
③就業の場所と従事する業務の内容(どこでどんな仕事をしてもらうのか)
④始業・終業時刻(仕事の始まりと終わりの時刻)
⑤所定外労働を超える労働の有無(残業はあるのかないのか)
⑥休憩時間(休憩時間は何分間か)
⑦休日(働かなくてよい日はいつか)
⑧休暇(休日以外に労働を免除するのはどんな時か)
⑨交代制勤務(シフト勤務がある場合の組み合わせ時間)
⑩賃金の額(基本給はいくらか、月給か時間給か、どんな手当をいくら支払うのか)
⑪賃金の計算方法(手当の計算や残業・休日・深夜に働いてもらった時の計算方法)
⑫賃金の支払い方法(現金か、本人が指定する口座に振り込むのか)
⑬賃金の締切・支払いの時期(給与をいつで締めていつ支払うのか)
⑭退職に関する事項(定年はいつか、辞める時のルール、解雇されるのはどんな時か)

これら以外の項目についても、トラブルを避けるためにはできるだけ書面で確認するようにするのが良い。

違約金などはダメ

また、雇用契約を結ぶ時、本人の合意があった場合でも、以下のような事項は盛り込むことが禁止されている。
①従業員に違約金を支払わせることや、損害額をあらかじめ決めておくこと
例えば、「1年以内に辞めてしまった場合は罰金○○円」「会社の備品を壊したら修理費用の半額は従業員が負担」など、事前に賠償額を決めておくのは禁止されている。しかし念のためにいうと、実際に会社に損害を与えた場合、従業員に対して損害賠償を請求できないということではない。
②従業員に働くことを条件にお金を貸し付け、毎月の賃金から天引きして支払う契約
これは借金が残っている間、会社を辞めることができなくなるような約束はできないということ。
③強制的に社内預金をさせること
但し、労使協定を結んで労働基準監督署に届け出れば積み立て預金をすることができる。親睦会などの会費であっても、労使協定を結んで監督署に届け出ない限り、給与から差し引いて支給することはできない。

健康診断は会社の規模に関わらず、雇入れ時に11項目の実施が法律で義務付けられている。但し、3か月以内に健康診断を受けた人が、健康診断証明書を会社に提出する場合、それに該当する健康診断項目は会社が実施しなくても良いことになっている。健康診断は雇入れ時だけでなく、年に1回の実施が義務付けられている。また、仕事の内容や深夜労働・労働時間の長さによっては必要な診断項目や回数が増えたりすることがある。

パート労働者に気配りを

最初から正社員を雇うのが難しい場合でも、「ちょっとした事務仕事などを手伝ってもらうのにパート(アルバイト)でも雇えばいいかな」、と気軽に考え勝ちだが、パート労働者とはいっても労働時間が短いという点を除けば、一定時間以上働くパート労働者なら社会保険の加入や健康診断の受診も通常の正社員と同様の法律が適用されるので注意が必要だ。むしろ、正社員より細かな気配りが必要になるといった方が良いかもしれない。

パート労働者には冒頭で示した書面で交付しなければならない事項に加え、「昇給」「退職手当」「賞与の有無」「相談窓口(パート労働者からの相談対応者の氏名等)」も加わる。そして、何よりパート労働者で多いのが、「扶養の範囲で働きたい」という要望だ。これを確認せずに雇用してしまうと、年末の一番忙しい時期に「103万円を超えそうなので来年まで来ません」などということになりかねない。

パート労働者は仕事と家庭の両立のため、限られた時間内で働くことを望んでいるのがほとんどだろう。もし残業でもお願いする可能性があるのなら、事前に確認しておくことは必須だ。そうでないと気持ちよく働いてもらうことなどできなくなる。

また、今はパート労働者として働くことを希望していても、「将来子供の手がかからなくなった時には正社員で…」と考えていることもあるかもしれない。そうした希望も事前に聞いておくことで、将来のキャリアアップ計画や採用計画に役に立つ。何より業務に精通したベテランのパート労働者に突然辞められてしまうのはとてももったいないことだ。

在留カードの確認

外国人は「出入国管理及び難民認定法(入管法)」で定められている在留資格の範囲内において就労活動が認められている。外国人を雇い入れる際は、その「在留カード」等によって就労が認められているかどうかを確認する必要がある。万一それを怠って不法就労の外国人を採用した場合は、不法就労助長罪に問われかねないので注意が必要だ。

会社で仕事をさせたい業務の内容が、採用しようとしている外国人が持つ在留資格の範囲内の活動でない場合、その会社がスポンサー企業となり、採用予定の外国人の就労ビザの申請・取得を行う必要がある。このようなビザ申請の際には、入国管理業務を専門としている行政書士などにアドバイスを求めると良いかもしれない。