雇用は起業以上の決断?

起業する多くの方は最初は1人で事業を始めるケースが多いと思う。しかし事業が拡大していくにつれ作業量も増えていき、1人ですべての業務を遂行することは難しくなっていく。もしも業務と時間のバランスをとることが困難と感じるようになってきたら、その時が従業員を雇うべきサインかもしれない。

それがどんな形であれ初めて人を雇い入れることは、大変な勇気が必要かもしれない。人を雇えば今まで不要だった人件費や社会保険料などのコストもかかってくる。人を雇うということは、ひょっとしたら起業以上に大きな決断となるかもしれない。それだけに人を雇う場合に関係する助成制度を利用することができれば、それこそ何らかの助けになるのではないだろうか。

雇用の維持には雇用助成金

雇用に関する助成制度には一般的にどのようなものがあるのか見てみよう。
まず「雇用調整助成金」がある。これは景気の変動などによって事業の縮小を余儀なくされた企業が、休業や出向、教育訓練などを行うことによって、雇用を維持する際に費用の助成をする制度。この制度の適用は中小企業に限定はされていない。助成率は休業手当又は賃金相当額の2分の1、中小企業の場合は3分の2となる(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例は別途)。

通常この制度を利用するための要件として、売上や生産量が一定以上減少していて、休業・出向・教育訓練のいずれかを行う事業主である必要がある。利用の際には、事前に休業等の実施計画届を都道府県労働局長又は公共職業安定所(ハローワーク)に提出する必要がある。その上で休業や出向等行った後、2か月以内に支給申請書を提出しなければならない。

新たに雇い入れる場合や正規雇用への転換にも助成金

「特定求職者雇用開発助成金」
これには2つのコースがあり、「特定就職困難者コース」では障がい者等、特に就職が困難な人、「生涯現役コース」では65歳以上の離職者を雇い入れた企業に対して交付される。

「トライアル雇用助成金」
これは職業経験の不足などから就職が困難な求職者をトライアル雇用(原則3か月)する場合に支給されるもの。トライアル雇用は常用雇用への移行を原則としたものではあるが、常用雇用が義務付けられているというわけではない。奨励金の受給額は対象となる労働者1人につき月額4万円(原則)で、3か月分が上限となる。

「キャリアアップ助成金」
これは労働者のキャリアアップを目的とした助成金で、有期契約労働者など正規雇用労働者以外が対象となることに注意しなければならない。その目的も、非正規雇用から正規雇用への転換を主にしている。

待遇改善には退職金共済制度

ちょっと異なる視点から、勤労者退職金共済機構が運営する「中小企業退職金共済制度」がある。これは従業員の退職金を支援する制度だ。
この制度は中小企業者が勤労者退職金共済機構と共済契約を結び、従業員ごとに事業主が毎月の掛け金を納付する。そして従業員が退職した時に、同機構から所定の退職金が直接従業員に支払われる。
毎月の掛け金は5000円から3万円までの種類があり、事業主が従業員ごとの掛け金を任意に選択することができる。この税法上の特典として、中小企業の場合は掛け金が損金として算入でき、全額非課税になることだ。
余談だが、小規模企業の事業主を対象にした退職金制度には「小規模企業共済制度」があり、両者を混同しないようにしなければならない。

この中小企業退職金制度の対象となる従業員について、平成23年1月からは事業主との間に使用従属関係が認められる同居の親族も加入できるようになった。また、掛け金に対して、以下のような助成措置も加わった。
・初めて加入した中小企業者に対して、掛け金月額の2分の1(上限5000円)を従業員ごとに加入後4か月目から1年間、国が助成をする。
・1万8000円以下の掛け金を増額する中小企業者に対して、増額分の3分の1を増額した月から1年間、国が助成をする。

魅力を伝えて人材確保に役立てよう

これら助成制度以外にも、各都道府県では「ジョブカフェ」が設置されており、特に若年者にカウンセリング等を通じた就職支援や、中小企業の魅力発信等の人材確保支援をワンストップで提供している。

この対象企業は若者を採用する意欲のある中小企業。主な支援内容としては以下の通り。
・地域中小企業の魅力情報発信
冊子やホームページ等の媒体により、中小企業の魅力情報を求職者に発信する。
・人材確保、定着支援のコンサルティング
・職場定着支援事業
経営者、人事担当者、若手社員等を対象に、新入社員とのコミュニケーション力を向上するための研修等を実施し、早期離職を防止する。
・企業と若者との接点提供
企業説明会や若者との交流イベントの開催等により、若者に対して地域中小企業の魅力をPRする機会を提供する。

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