中小企業を支援する法的な枠組み

創業間もない企業も含めた中小企業の事業活動を支援するための法律として「中小企業等経営強化法」がある。この法律は新事業や異業種連携に挑戦する中小企業を支援するための法律だ。少し過去を振り返ると、2016年7月に、それまであった中小企業新事業活動促進法が改正されて施行された。この中小企業等経営強化法には7つの政策の柱がある。これは①経営革新支援、②新連携支援、③創業支援、④技術革新の支援、⑤地域における支援、⑥経営力向上の支援、⑦事業継続力強化の支援―の7つだ。これらの対象となる企業は、低利での融資や補助金、税制面の優遇措置、その他の支援などを受けることができる。但し、そのためには事業計画などを提出し、承認を受ける必要がある。

これらを簡単に紹介すると、
①経営革新の支援は、新商品の開発や新しい生産・販売方式を導入するなど、新しい取り組みをする中小企業を支援する。
②新連携の支援は、異業種の中小企業や各種機関との連携を行うことで、新しい事業活動をする取り組みを支援する。
③創業の支援は、これから創業する人や、設立5年未満の会社の新事業活動を支援する。
④技術革新の支援は、中小企業の研究開発を支援する。
⑤地域における支援は、新事業支援体制である地域プラットフォーム整備を行う都道府県等に対する支援。
⑥経営力向上の支援は、経営能力を強化し、経営の向上を図る中小企業、中堅企業等を支援する。
⑦事業継続力強化の支援は、防災や減災に取り組む中小企業を支援するためのもの。

創業支援はどうなっているのか

この中から③創業の支援の支援を見ていこう。
③創業の支援の対象には、これから創業する人だけでなく設立5年未満の中小企業の新事業活動も含んでいる点に注意が必要だ。まず資金面の支援として「新創業融資制度」、「女性、若者/シニア起業家支援資金」などがある。

新創業融資制度は、創業や新事業を行う者に対して日本政策金融公庫(国民生活事業)が無担保・無保証人での融資を行う制度になっている。担保や過去の勤務経験ではなく、事業計画の的確性を基に融資を行う。融資の対象になるのは、新たに事業を始める者や、すでに開業している場合でも税務申告を2期終えていない者が対象になる。創業する場合は、創業資金の10分の1以上の自己資金が確認できる必要がある。貸付限度額は3000万円(運転資金は1500万円)で、無担保・無保証のほか代表者の保証も不要となっている。

女性、若者/シニア起業家支援資金は、その名の通り、女性、若者、シニア(高齢者)の創業資金を支援する融資制度だ。貸付は日本政策金融公庫(中小企業事業/国民生活事業)が行っている。この制度の対象になるのは、女性や35歳未満の若者、55歳以上の高齢者で、新規開業して概ね7年以内の人となっている。貸付限度額は中小企業事業で、設備資金7億2000万円、運転資金2億5000万円、国民生活事業で設備資金7200万円、運転資金4800万円。貸付期間は設備資金が20年以内、運転資金が7年以内。

従業員を雇う場合の支援

なお、従業員を雇う場合、中途採用等支援助成金(生涯現役起業家支援コース)というものがある。
これは、40歳以上の中高年齢者が起業によって自らの就業機会を創出するとともに、事業運営のために必要となる従業員(中高年齢者等)の雇い入れを行う際に要した雇用創出措置(募集・採用や教育訓練の実施)にかかる費用の一部を助成する。主な要件は以下の通り。
・起業基準日から起算して11か月以内に計画書を提出し、都道府県労働局長の認定を受けていること。
・事業継続性の確認要件を満たしていること。
・計画期間内(12か月以内)に対象労働者を一定数以上、新たに雇い入れること。

なお、雇用創出措置助成分の助成金を受けた後、一定期間経過後に生産性が向上している場合は別途助成金の対象にもなる。計画書を提出した日の属する会計年度とその3年度経過後の会計年度の生産性を比較して、その伸び率が6%以上であることなることなどの要件を満たす必要がある。

小規模企業の支援

小規模企業は特に経営基盤がぜい弱なため、特別な支援策が実施されている。
まず資金面の支援として知られているのが「小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)」だ。これは小規模事業者が経営改善を行うための資金を無担保、無保証人、低利子で融資する制度(無利子ではないので注意!)。この制度では日本政策金融公庫(国民生活事業)が融資を行い、商工会・商工会議所が経営指導を行う。貸付対象者は小規模事業者である商工業者(常時使用する従業員が20人以下、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の場合は5人以下の法人・個人事業主)。

融資を受けるためには、商工会・商工会議所の経営指導員による経営指導を6か月以上受けること、税金を完納しており、同一地区内で1年以上事業を行っている必要がある。貸付限度額は2000万円で、貸付期間は設備資金が10年以内(据え置き期間2年以内)、運転資金が7年以内(据え置き期間1年以内)となっている。但し、1500万円超の貸付を受けるには、貸付前に事業計画を作成し、貸付後に残高が1500万円以下になるまで経営指導員による実地訪問を半年ごとに1回受ける必要がある。

「小規模事業者経営発達支援融資制度」は事業の持続的発展のための取り組みに必要な資金について低利で融資を受けられる制度。要件として、経営発達支援計画の認定を受けた商工会・商工会議所から、売上の増加や収益の改善、持続的な経営のための事業計画策定に当たり、助言とフォローを受けること。地域経済の活性化のために一定の雇用効果(新たな雇用又は雇用の維持)が認められることなどがある。貸付限度額は7200万円(運転資金は4800万円)で貸付期間は設備資金が20年以内、運転資金が8年以内。

小規模企業の販路開拓に関する支援には「小規模事業者持続化補助金」がある。小規模事業者が経営計画を作成し、その計画に沿って行う販路開拓の取り組みなどに関する費用を補助する。補助の上限は50万円、500万円(複数の事業者が連携した共同事業)、補助率3分の2となっている。

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