エクセルにする?クラウドサービスを利用する?

起業したのはいいけれど「会計の記帳の仕方が分からない」という嘆きは多い。すべてを税理士に任せればそんな悩みは無くなるのだが、税理士報酬は当然高くなる。逆にすべてを自分でやればお金はかからなくて済むが、手間がかなりかかってしまう。記帳に限らないが、自分の不得手なことに時間をかけるくらいなら、やはりある程度費用はかかるのは仕方ないものと考え、その分自分の本業に力を入れることが大切かもしれない。そう考えると、自分で帳簿をつけつつ、きちんとしたものは税理士にお願いするというのが妥当なところなのではないだろうか。

ある程度の会計の記帳を自分ですることは、税理士に支払う報酬を低く抑えることにもつながるし、事業の調子をその都度見定めることにもなるので、一石二鳥だろう。自分で記帳するといっても、最近はfreeeなどのクラウドサービスを利用する方法もある。もちろん複式簿記をきちんと使いこなせる人は、弥生会計などの会計ソフトを使う手もあるが、新しく事業を始める人にとっては、はじめからクラウドサービスを利用すると良いかもしれない。また、そんなに取引が多くないということであれば、エクセルで簡単に管理することもできるかもしれない。

必要な帳簿は6種類

用意しておくべき帳簿は6つある。①現金出納帳、②預金出納帳、③売上帳・売掛帳(得意先元帳)、④買掛帳(仕入れ先元帳)、⑤賃金台帳、⑥固定資産台帳―の6つだ。それぞれを簡単に説明すると、

①現金出納帳
現金の流れを記録する帳簿。「日付」「支払先」「金額」「残高」「摘要」などの記載項目がある。「摘要」には何のために支払ったかを書いておくとよい。

例)2月25日 〇×文具店 800円 ボールペンを購入
なお、領収書は別途保管する。

②預金出納帳
預金の流れを記入するための帳簿。わざわざ帳面を用意しなくても、預金通帳に鉛筆書きで何についての出し入れなのかを記載することも多い。さまざまな取引はなるべく預金口座を通じて行うのが良いだろう。後に証拠が残ることになり何かと便利なだけでなく、正確な帳簿作成が可能になる。オンラインバンクを利用すると預金出納データをエクセル形式でダウンロードできるので、それを利用するのも良いかもしれない。

③売上帳・売掛帳(得意先元帳)
売上の管理を行う帳簿。掛けによる売上が多い場合は、売掛帳をしっかりつくらなければ
ならない。売掛帳は売上先ごとに掛けによる売上金額と回収された金額を記入する。必要
記載項目は、得意先ごとのページに、「日付」「販売金額」「入金金額」「売掛残高」「摘要」
だ。「摘要」には何月分の売上であるのか明記しておくと良い。

④買掛帳(仕入れ先元帳)
請求書払いの仕入れや経費の管理をする帳簿。売掛帳の逆。
 
⑤賃金台帳
給料の支払いを記帳する帳簿。給与台帳の作成は複雑になるので、給料の支払いを始める
前に税理士に相談した方が良い。

⑥固定資産台帳
10万円以上の資産を購入した場合に記録する帳簿。固定資産台帳に限った話ではないが、「固定資産台帳+エクセル」でネット検索するといろいろと出てくるので、それらを活用するのが良い。必要記載項目は、「資産名称」「資産種類」「取得年月日」「金額」「設置場所」の5つは最低必要になる。また、耐用年数も書いておくと後々便利かもしれない。

間違えやすいこと2つ

よく間違えやすいものとして、ここでは以下の2点について説明しておきたい。

まず、売上の計上についてだが、売上はお金を受け取った時に計上するのではないことに注意が必要だ。正しくは、「モノやサービスを販売、提供した時」である。飲食業のようにモノを提供するのと引き換えに現金をもらえる商売なら問題はないのだが、モノの引き渡しは1月に終わっているが、そのお金をもらうのは3月だったということが、事業によっては起きる。これはいわゆる「掛け売上」というもので、売上が上がるのは1月になる。

それから減価償却だ。
10万円未満で購入したものは、全額購入した会計期間の経費にすることができるが、それ以上の場合、その金額は購入年に全額経費にできるわけではなく、使用する会計期間に渡って経費にする。その際、「法定耐用年数」があって、主な資産については法律で何年使えるか予め予測してある。税金の計算上はこの法定耐用年数を使って減価償却計算を行うことになっている。長いものだと50年のものもあってかなり細かく設定されているので、ネット検索で調べてみると良い。
なお、減価償却の計算方法には、定額法と定率法の2種類があって、節税に強いのは定率法とされている。
・定額法=毎年一定額を経費(減価償却費)としていく方法
・定率法=毎年一定の割合を経費(減価償却費)としていく方法
また、よく「自動車などは中古で買った方が節税になる」とも言われるが、例えば新車でなら6年かけて経費にしなければならなくても、5年落ちの中古車の場合なら2年間で経費にすることができるということがある。

経費は常識的に考えて判断する

事業活動をするに当って経費の範囲について悩む経営者が多いようだ。「これは経費として落ちないのかな?」というわけだ。基本的に事業活動に関連する支出は会社の経費にすることができるが、そうでないのは経費にできない。当たり前のようだが、この経費にできるかどうかの判断基準として挙げられるのが、
①事業との関連性があり、それを明確に説明できるか
②常識的か
③良心の呵責がないか
だとされる。

例えば、税務調査で税務署の職員に「これは何のための支出ですか?」と問われた時に、堂々と説明できるかどうかが大切だ。顧客を紹介してもらった時のようにちょっとしたお礼などをすることも多いが、取引10万円程度の顧客の紹介なのに、100万円もするアクセサリーをプレゼントしたというのはどうか。今これを読んで「そんなバカな」と思っていても、創業して時間が経つと感覚が鈍感になっていく。私も自戒の念も込めながらこれを書いている。気を付けなければならないところだ。

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