聞き下手は損

「どうすれば人の話をよく聞くことができるのか」ということをずっと追いかけてきている。マスコミに勤めていたサラリーマン時代は、人からどれだけ興味深い話を聞き出せるかがそのまま仕事の成果に直接つながっていたが、これはマスコミだから特別なことだったのではない。普通の会社の営業でも、管理職でも、どこに勤めていても、人の話をよく聞くことは良い人間関係を築き、それを維持し、深める上で絶対に必要なことだ。話を熱心に聞くことができれば、相手の人のことを気にかけ、大事にしていること、自分が相手の方と人間関係を築きたいと思っていることを分かってもらうことができる。

また、実際に話をよく聞くことができれば、それだけ重要な情報やアイデアが手に入りやすくなる。相手が何か困っている場合でも、「話を聞く気がないな」と感じられたら、誰もわざわざアドバイスをしようとは思わないだろうし、積極的にその人の役に立つのではないかと思うような話もしないだろう。そんなことは当たり前と思われるのに、それでも「人の話をよく聞くためにはどうすれば良いのでしょうか」と聞かれることは多い。それは私が何もよく人の話を聞いているからということではなく、私が就いていた仕事を知っている人が、「当然そんなことはお手の物だろう」と勝手に推測しているのかもしれない。

事前調査は徹底的に

しかし、私は今もそのことに悩んでいる。ひょっとして永遠の課題としてあるのではないかと思うほどだ。そんな私も最低心がけていることはある。それはまず、聞く態勢を整えるということだ。もしお会いすることが事前に分かっている相手なら、相手に対する質問はできるだけ用意しておく。もちろん質問を用意するためには、相手のことをできるだけ知らねばならない。それが会社の情報であれ、個人の情報であれ、インターネットで最近は随分調べる手間も減っている。その上で、お会いした時に何を話題にするのかを事前に考えておくのだ。

実際にお会いしたら、自分の関心をすべてその人に集中できるようにする。携帯電話をマナーモードにするのはもちろん、予め時間の制約がある場合でもなるべく時計を見ないで臨むのが良い。こちらでお会いする目的やどうしても押さえておきたいことがある場合などは、その目的を果たすまで相手が時間を気にしないように、壁の時計がその人の目に留まらないように席を勧めることも普通にする。相手を追い込むためではなく、すべての注意を相手に向け、また逆に向けてもらうためだ。そうして相手に集中することが、引いては相手を人間として敬った態度をとることができるのだと考えている。

何を話していないかにも注意を向ける

もちろん、よく言われることだが、話を聞く時にはしっかりと相手の目を見ることが大切だ。話をよく聞くというのは、ただ受け身で聞いていればいいということではない。相手の意見のどこが自分と同じで、どこが違っているのか、相手の話に分からないところがあれば素直に聞く、相手が強調する部分があれば何故そこを強調したいのか、それでどんなメリットがあるのか、そう判断する背景は何なのか…と次々に思い浮かぶ質問を相手にぶつけることで、相手の感情の変化にも注意をしながら話される内容を理解できるように努めることが必要だ。

また、同時に相手が何を「話していないか」に注意を向けることも大切だ。それはただ単に話し逃しただけかもしれないが、そこが言いたくなかった弱点なのかもしれない。交渉事の場合だとそれをつかむかつかまないかで流れが変わったりもするだろう。しかし、そのためには忍耐が必要だ。沈黙が生じるかもしれないが、すぐにそこに割って入ってはいけない。タイミングをよく見計らって質問をするのは悪いことではない。もちろん、相手の意図に外れたことを言うのは邪魔をしているだけになってしまうが、的を得た質問なら相手の話の主旨をより明確にすることができる。

笑顔も大切

人と話をする時に、自分がどういう態度をとっているのか、よく確かめてみる必要もあるだろう。誰しも人の話をよく聞いているとまでは言えなくても、まさか聞かない方だとは思わないものだ。しかし、相手の話がまだ続いているのに自分の考えを話し出したり、遮ってはいないだろうか。私が以前同行したセールスマンは、相手の話を聞く前に、まず自分の言いたいことを話していた。相手の言っていることに興味を示さず、相手に自分の言いたいことをまず聞いてもらってから、質問を受け付けようという態度だった。順序が逆だ。何のための話し合いなのか。相手が自分の意見と違うからといって、必要以上に身構えることも不要だ。

以前は自分の癖など、誰かに同行してもらって指摘を受けなければ、なかなか気づかなかったものだが、今ではポケットに入る録音機などもあって、その気になれば後で振り返ることはとても容易になった。どうしても聞くより自分が話したくなる人というものはいるが、そうであれば逆に意識して、「そのことについてあなたはどう思いますか」と質問をするように心がけるのもいいだろう。自分が話すのと、相手が話す割合はどうだろうか。聞き上手な人は、それが1対2の割合で相手に話をしてもらうことが多いとされる。

最後になったが、話し合う時の笑顔は大切だ。相手がたとえ誰であろうと、良好な関係を意識して会話を進める。それが礼節にかなった態度というものだ。

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