やっているつもりでも結果がでないのは何故

どこで読んだのか、誰のお言葉だったのかも忘れてしまったがある有名な経営者の講演の記録の中で、「私は自分の生きることのできる年齢を80歳と決めている。だからそれまでにやっておきたいこと、やらねばならないことを逆算して決めている」と言った内容のことを読んだ記憶が残っている。その時その方は確か70代後半。目標としていた80歳を目前に控えておられた。「80歳を越えたらもう残りの人生は天からの授かりものとして好きに使おうと思っています」とのことだった。人生でも何でもそうだが、このように「逆算思考」というのは今やるべきことを明確にし、結果を出すことを容易にしてくれるものだと感心させられたことを思い出した。

起業したばかりの人たちのお話を聞いていると、「なかなか売り上げが上がらない」という悩みを持っておられる方が意外に多いことに気が付く。そんな方々のお話を聞いていると、まず自身の行動のスケジューリングができていないことが多いことが分かる。ご自身ではやっているつもりでも行動が伴っていなかったり、行動していても昨日と今日の行動が真逆だったり、とにかく一貫していなかったりする。これを読んでおられる方の中にも思い当たる節があるようであれば、最後から逆算して考えることで今やるべきことが明確になり、結果的に一貫した行動がとれるようになる「逆算思考」を試してみられると良いのではないか。

目標は明確か

羅針盤のない船に乗ったら迷ってしまい目的地に着けない。運よく目的地に着いたとしても無駄が多く、着いた頃にはもう日が暮れているのがオチだ。「逆算思考」は航海に例えれば北極星を最初に見つけることだ。最初にゴールを見据えて行動を起こしていくので、行動を最適化でき、最速で結果を出せる。このため「逆算思考」はビジネスだけでなく、スポーツ、個人の目標、中には恋愛に至るまで、あらゆる分野で利用されている。必要な行動を適切に行えば、誰でも成功できることは容易に想像できるだろう。だからこそ、目標を明確にして、後は例えは悪いが、馬車馬のように一心に走るのだ。

それでもビジネスでも多いのが、「目標があるにも関わらず、なかなかうまく結果が出ない」という悩みだ。その原因にはまず「目標がある」といっても、明確でないことが多いことが挙げられる。実際、その目標を聞いてみると、あやふやで言い淀まれることも多い。本当に明確なものとして認識できているのか、一番良いのは紙にでも書いて、机の前に貼って置くことだ。とにかく常にその目標を意識できるようにしておくのが良い。そして、次に多いと思われるのが、最終目標は明確に分かっているが、具体的にどうすればよいのかが分からないというものだ。

そもそもその目標は合ってる?

それは最終目標が具体的な行動計画に落とし込まれていないからだ。例えば最終目的として分かりやすく「3年後に年収1000万円」と掲げた人がいるとしよう。そうするためには、初年度、2年目には何をしなければならないのか、そのために初年度は毎月何をするのか、では今週は…といった具合に行動計画が具体的に順序だってあるか。そうしたら、後はPDCA(Plan→Do→Check→Action)のサイクルを回していくだけだ。という風に言えば、簡単そうに聞こえるが、それでできるなら誰も苦労はしない。問題はそれぞれの段階でもあるのだが、そもそも最初の目標設定が間違っていることもある。

目標は現状に何等かの問題(と認識されていること)がある時に、それを解決するために必要なものとして設定される。例えば、先の「年収1000万円」というのは、現状がそれに至らず、そのために思ったような生活ができない、周囲の人と比べて最低この程度は欲しいといったことから設定されたものかもしれない。しかし、「思ったような生活」というのはどんな生活なのか。仕事漬けで毎日を送り、そのためにはある程度家庭を省みなくても仕方ないと考えているのか。そうではなくて、夕食を家族みんなで過ごすことが大切と考えるなら、むしろそれを目標にすべきかもしれない。目標設定が間違っているとそこに至るための努力も本気になれない。

時間は有限

人の生き方としては「何もそんなに急かされるように生きなくても…」と思われるかもしれないが、何かそれなりの結果を出さなければならないと思う時には、限られた時間の中でどんな人になりたいのかということが極めて大切になる。たとえそれが世間で注目を浴びるようなものではなくても「自分はこういう人になりたい」、「せっかくやっているからには将来はこうなりたい」、「こういう人は格好いい」などというような憧れや目標があるものだろう。そして同時に、その憧れや目標以上に、人間には時間が限られているということも肝に銘じなければならない。

時間が無限にあると思ってしまうと、毎日の過ごし方が適当になってしまう。もしあと生きている時間が3カ月しかないという状況に迫られたとすると、今やることは絶対に変わってくる。やっていることのスピードや質、そもそもやること自体を変えるということも選択肢として出てくるだろう。この時間は限られているという絶対的なルールがある中で目標を達成し、たどり着くためにはどうしないといけないのかを徹底的に考えることによって、人は一層の成長を実現し、「結果を生み出せる人」に変わることができるのではないだろうか。