非対面・非接触だけじゃない

新型コロナウイルスの感染拡大で事業の見直しを迫られている企業は多い。アフターコロナの時代をどう生きるか、それは人にとっても大きな問いであるが、企業も同じ問いを突きつけられている。それを考える時、今、時代を象徴する言葉の一つに「非対面・非接触」というのがある。従来の人の手によるものから、配信技術の進化によるオンラインでのライブ視聴であったり、ECによる買い物、サイネージやタブレットを使ったオンライン接客などの進化が加速している。それを何とか取り入れなければついていけないと焦る経営者は多い。しかし、ここは落ち着いてもう少し視点を広く持ってみてはどうだろうか。

「非対面・非接触」というのは、要はコミュニケーションの一つの形態に過ぎない。もちろんその進化についていくことは大切だが、企業のビジネスモデルを決定するのは何もコミュニケーションの型だけではない。ビジネスの要素というのは、「Who(誰に)」という対象、「What(何を)」、「How(どのように)」届けるのか又は価値を作り出すのか、「Why(何のために)」そのビジネスをするのかという、4つが絡み合う。「非対面、非接触」というコミュニケーションの型はそのビジネスの要素の「How」の中の1つの型にしか過ぎない。新規事業を考えたり、既存ビジネスのイノベーションに乗り出すなら、もっと全般的な視点があっていい。

好き嫌いは二の次に

それでも何もないところからいきなり新しいアイデアをと言われても考えづらい。その際に役立つと思うのが、実際の事業に乗り出す時の失敗を避けるための方程式だ。それは「勝てる市場選び」×「強みを生かす」というもの。この2つの組み合わせで考えることが重要だ。「勝てる市場選び」というのは、要は自分が最も詳しい業界であったり分野のこと。ここでの失敗が多いのは、「好きだから」という理由で選ぶ人が多いからだが、好きで詳しいのであれば「勝てる」ことにつながるが、ただ好きなだけでは「勝てる」とは限らない。そもそも市場として成立しないと話にならないし、競合が多ければ儲けも出ない。

この「勝てる」市場を選ぶ際に参考になると思われるのが、グーグルでの検索回数だ。例えば、「税理士」「住宅リフォーム」「エステティック」「ペットフード」「水泳」と5つの分野が新たな事業のアイデアにあったとする。それぞれのグーグルの検索回数を調べると、「税理士」が3万3100回、「リフォーム」が6万500回、「エステ」が3万3000回、「ペットフード」が2万9700回、「水泳」が3万3100回だった(調査する時期などによって数字は変化します)。これらは市場規模を表すと思っていい。しかし、それだけでなく、1クリック当たりの広告の入札単価を知ることで、当該市場での競争の激しさが分かる。

市場規模と同時に競争環境を調べる

その入札単価を調べると、「税理士」が1149円、「リフォーム」が565円、「エステ」が443円、「ペットフード」が118円、「水泳」が51円だった。どうだろうか、先の検索回数では「リフォーム」が最も市場として有望のように思うが、入札単価を見るとそれなりに高く、これは競争が激しいことを表している。そうして見てみると、「水泳」がこの中では最も事業として有望かもしれない。市場としてもそこそこあって、その割には競争が穏やかなように見える。これらは「グーグル」の「キーワードプランナー」で調べることができるので、具体的にアイデアをお持ちの方は一度試してみても面白いのではないだろうか。

そしてその詳しい分野・業界で、強みを生かすことが欠かせない。「強みを生かす」ということは今までにもおそらく幾度となく聞かされてきた言葉だろう。言ってみれば当たり前の事なのだが、じゃあ、具体的に何をどうすればよいのかとなれば、なかなかそれが分かりにくい。ここでは、あるコンサルタントが分析して考え出した成功してるビジネスモデルの型の分類を参考にしたい。それによると、成功しているビジネスモデルの型として7種類挙げられており、それぞれ「事業化代行」「販売代行」「仲介(マッチング)」「能力(自家発電)」「情報整理」「価値転換」「パッケージング」となっている。

いろいろなモデルを組み合わせる

例えば飲食業を例にとれば、祇園のお茶屋さんはお客様に来ていただいて、そこに仕出し屋から食事を持ってきてもらい、舞妓さんたちを派遣してもらうという「事業化代行」モデルの例として紹介できる。家庭などにシェフを派遣して料理を作ってもらうのは「仲介」モデルだ。「能力」モデルは自らオーナーシェフとして開店する例が当たるだろう。夜の居酒屋が昼間はカレー屋として営業するのは「価値転換」モデル。それら飲食店の開業を支援するのは「パッケージング」モデルだ。そこで、皆さんはそれぞれの強みを生かすのに、どのタイプを選ぶのだろうか、という問題だ。

今、街の本屋を考えてみよう。本屋は「販売代行」モデルであったり、「情報管理」モデルでもあるとみることができるだろうが、ここに「能力」モデルが加わればどうなるだろうか。それは例えば、本屋がお客様一人一人の悩みに応じて必要な本を選んでいくサービスにつながったりする。もちろん、そのためには本屋の従業員は人の悩みを聞くことに長けなければならないし、いろいろな本にも精通しておく必要がある。だから「能力」モデルなのだ。このような考えを応用することで、それぞれの固定観念を打ち破り、新たなビジネスモデルを考えることにつながる参考にできるのではないだろうか。

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